モルタル塗り仕上げ│アンカーピンニングエポキシ樹脂注入工法(全面注入)
アンカーピンニングエポキシ樹脂注入工法(全面注入)
外壁改修工事では、その仕上げの種類や劣化現象等の複合要因により、種々の工法が実施されていますが、当サイトにおいては標準工法として、4つの外壁改修工法を選定しています。
1.コンクリート打放し仕上げ外壁の改修
2.モルタル塗り仕上げ外壁の改修
3.タイル張り仕上げ外壁の改修
4.外壁シーリングの改修
こちらでは、モルタル塗り仕上げ「アンカーピンニングエポキシ樹脂注入工法(全面注入)」をご紹介いたします。
工法のご紹介

1.改修範囲の確認
浮きの状況を確認し、改修範囲を決定する。
- テストハンマー等により、はく離のおそれがある浮き部について確認し、範囲をチョーク等で明示する。
【使用する機材】
- テストハンマー
- チョーク等
2.マーキング
アンカーピンの本数と位置を決定し、マーキングする。
- 浮き部分に対するアンカーピン本数は、特記による。
- 特記がなければ一般部分は13 本/ m2、指定部分(見上げ面、ひさしのはな、まぐさ隅角部分等をいう)は20 本/ m2、狭幅部は幅中央に200mm ピッチとする。
- 浮き面積が1 m2以下の場合は、標準位置グリッド図を当てはめた最大本数程度とする。
【使用する機材】
- チョーク
- スケール等
アンカーピン本数(本/m2) | 注入孔の本数(本/m2) | ||
---|---|---|---|
一般部分 | 指定部分 | 一般部分 | 指定部分 |
13 | 20 | 12 | 20 |
(注)指定部分とは、見上げ面、ひさしのはな、まぐさ隅角部分等をいう。
3.アンカーピン注入口の穿孔
スーパーアンカーピン固定部の穿孔を行う。
- コンクリート用ドリルを用い、使用するアンカーピンの直径より約2mm 大きい直径とし、壁面に対し直角に穿孔する。
- 穿孔は、マーキングに従って行い、構造体コンクリート中に30mm 程度の深さに達するまで行う。
【使用する機材】
- 電動ドリル等
4.孔内の清掃
穿孔後は、圧さく空気等で切粉等を除去する。
- 孔内をブラシ等で清掃後に行う。
【使用する機材】
- ブラシ
- 圧縮空気等
5.孔内の確認
穿孔内の乾燥状態を確認し、湿潤状態のときは、監督員と協議を行う。
6.浮き代の確認
穿孔部の浮き代を測定し、監督員に報告する。測定は、浮き面積1 m2当たり3 箇所とし、その平均を浮き代とする。浮き代の測定は、コア抜きする方法の他に、細針金等をL 字に加工した浮き間隔幅測定端子や内視鏡を用いる方法がある。
7.計量・混練
アンカーピン固定用エポキシ樹脂を製造所の仕様により、均一になるまで混練りする。
- 主剤と硬化剤を正確に計量する。
- アンカーピン固定用エポキシ樹脂はJIS A 6024 硬質形・高粘度形相当品とする。
【使用する機材】
- はかり
- 混練容器
- 混練具等
- EP48
8.注入
アンカーピン固定用エポキシ樹脂を挿入孔の最深部より徐々に充てんする。
- 注入用グリスガンを用いる。
- 充てん量は特記による。
- 特記がなければ注入孔1箇所当たり25cc(約30g)とする。
【使用する機材】
- グリスポンプ等
- EP48
9.ピンニング
適切な長さのアンカーピンを気泡の巻込みに注意してモルタル表面より5mm へこませて挿入する。
- アンカーピンはステンレスSUS304、呼び径4mm の丸棒で全ネジ切り加工とする。
- アンカーピンのネジ切り部分にアンカーピン固定用エポキシ樹脂を塗布してから挿入する。
【使用する機材】
- 全ネジ切りアンカーピン等
- EP48
10.養生
アンカーピン固定用エポキシ樹脂が硬化するまで適切な養生を行う。
- 衝撃を与えないようにし、降雨等からも適切な養生を行う。
- 夏期では15 時間程度、冬期では24 時間程度養生を行う。
【使用する機材】
- 養生用具等
11.残存浮きの確認とマーキング
残存浮き部分を確定し、マーキングする。
- テストハンマー等により残存浮き部分を確認し、注入孔の位置をチョーク等でマーキングする。
- 残存浮き部分に対する注入箇所数は、特記による。
- 特記がなければ一般部分は12 箇所/ m2、指定部分(見上げ面、ひさしのはな、まぐさ隅角部分等をいう)は20 箇所/ m2、狭幅部は幅中央に200mm ピッチとする。
- 浮き面積が1 m2以下の場合は、標準配置グリッド図を当てはめた最大箇所程度とする。
【使用する機材】
- テストハンマー
- チョーク等
12.注入口の穿孔
注入口の穿孔を行う。
- コンクリート用ドリルを用い、壁面に対し直角に穿孔する。
- 穿孔は、マーキングに従って行い、構造体コンクリート中に5mm 程度の深さに達するまで行う。
【使用する機材】
- 電動ドリル等
13.孔内の清掃
穿孔後は、圧さく空気等で切粉等を除去する。
- 孔内をブラシ等で清掃後に行う。
【使用する機材】
- ブラシ
- 圧縮空気等
14.計量・混練
注入用エポキシ樹脂を製造所の仕様により、均一になるまで混練りする。
- 主剤と硬化剤を正確に計量する。
- 注入用エポキシ樹脂はJIS A 6024 中粘度形、低粘度形を選択する。
【使用する機材】
- はかり
- 混練容器
- 混練具等
- EP35、EP48
15.残存浮き部へ注入
注入用エポキシ樹脂を浮き部全面に注入する。
- 注入はグリスガンを用いる。
- 注入孔から注入材料がもれないように注意して、残存浮き部に内圧がかからないように下部から上部へ、片端部から他端部へ、打診しながら注入する。
- 注入量は、特記による。
- 特記がなければ注入孔1 箇所当たり25cc(約30g)とする。
【使用する機材】
- グリスポンプ等
- パッキン等
- EP35、EP48
16.仕上げ
パテ状エポキシ樹脂等で仕上げる。
- 目立たぬ色のパテ状エポキシ樹脂等で仕上げる。
【使用する機材】
- パテベラ等
- EP45、EP80 等
17.養生
注入用エポキシ樹脂が硬化するまで適切な養生を行う。
- 注入後24 時間程度、振動や衝撃を与えないよう養生を行う。
【使用する機材】
- 養生用具等
18.清掃
注入部以外に付着した材料は、適切な方法で除去し清掃する。
【使用する機材】
- ワイヤーブラシ
- ディスクサンダー
- 皮スキ等
19.自主検査
アンカーピン固定部、注入部及びその周辺500mm にわたり打診により検査を行う。
- その結果を監督員に提出し、承諾を受ける。
- 浮きが発見された場合は速やかに監督員に報告する。
- 浮き部の補修は、監督員の承諾を受けて行う。
【使用する機材】
- テストハンマー
- 目視
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