知識・Tips 2026年07月31日

大人になってから科学技術館へ行ったら、子供の頃より楽しんでしまった

 皆さんは東京都千代田区にある科学技術館に行ったことはありますか?子供のころに行ったことがあるという方は多いかと思います。大人になってから行ったことはありますか?子供に頼まれて一緒に行った。そういう方もいるでしょう。
大怪獣と戦うあの作戦の本部があった場所にも特別に入れていただきました。通常は立ち入り禁止エリアです。
大人になった今こそ科学技術館です!
科学技術で作られる素晴らしい未来の世界を想像して興奮したあの時。目の前で起こる不思議な現象を見て声を上げて驚いたあの瞬間。そんな子供の頃の気持ちを思いだしてノスタルジックな気分になれるだけではありません。昔とは違った目線で見て、感じることで、あの時とは違った楽しさが生まれるのです!
今回は、科学技術館でそんな体験をした話です。

1964年に開館した科学技術、産業技術の博物館

木々に囲まれた科学技術館の建物入口。科学技術館ホームページより。
科学技術館は、木々が生い茂る皇居外苑の北の丸公園内にあります。東京国立近代美術館、日本武道館などの近くです。星型の穴が開いた外壁が特徴的な建物は、科学と自然の融合というような独特の雰囲気があります。
外壁の星の数は22,392個。科学技術館の公式SNSによると「にゃんにゃん、サンキューにゃん!」で覚えるそうです。
今回、対応いただいたのは、常務理事の大久保さんと、学芸員の松浦さんです。ありがとうございます。
まずは簡単に科学技術館について説明していただきました。
左が松浦さん。右が大久保さん。
科学技術館が開館したのは1964年(昭和39年)4月。最初の東京オリンピックが開催された年です。現代から近未来の科学技術や産業技術に関する知識を広く国民に対して普及・啓発する目的で、公益財団法人日本科学技術振興財団が設立しました。上野にある国立科学博物館は、その名の通り国により作られたものになるのに対し、科学技術館は民間により設立された施設と言えます。
建設資金を寄付した企業や団体などの名前が刻まれた1階ロビーにあるパネル。今とは違う名前の会社もあり、これを見ているだけでも楽しい。
館内は、2階から5階までの4つのフロアに、自動車、建設、薬学、光学、金属、電気、音響など、約20のテーマに分かれた展示室が設けられています。科学技術館の展示は、参加体験型のものが多いのが特徴です。参加型の実験イベントや、研究者による科学ライブショーも多く開催されています。
見て、触って、中に入って、動かしてみる。専門家の話を聞いたり、実験したり。リアルに感じて楽しみながら科学技術を知ることができるのが、科学技術館の醍醐味です。
戦隊ヒーロー物とかに出てくる地球防衛隊本部みたいな形をした科学技術館。科学技術館より。
他にも、現在のテレビ東京の元となる放送局をもっていたとか、学校を作ったとか、ゴジラやウルトラマンなどの特撮映画の撮影に使われたなどの話もありましたが、非常に長くなるのでそのあたりは割愛します。
 
とにかく、60年以上もの長きにわたり、多くの科学の芽を作り、育て、科学技術の持つ夢や希望を発信し続けてきた施設。それが科学技術館なのです。今こそ行こう、科学技術館!

これは見て、体験してほしい!気になった展示を紹介

それでは実際に展示されているものを紹介していきます。先ほどの説明で書いた通り、科学技術館には約20のテーマに分かれた展示室があります。20テーマ内の全ての展示内容を詳細に紹介したいところですが、とんでもない量になるので、注目していただきたい展示に絞って紹介していきます。あくまで私目線のおススメなので、なぜアレを紹介していない!なんてことも有るかと思いますが、そこはご了承ください。

通路の途中にあるちょっとした体験展示も、なかなかいい味出ています。触るとピリピリ感じる手。

設置からまだ3回しか回ったことが無い歯車

最初は、5階の展示室です。科学技術館の5階は、フォレスト(FOREST:Footsteps Of Rallying Education, Science, and Technology)と呼ばれる展示室が並びます。1996年に展示が開始されたこのエリアは、「遊び」、「創造」、「発見」を重視して展示が企画され、遊ぶように科学の世界を感じられる「森」のような雰囲気であるのが特徴です。

科学的思考センスを養うための基本プロセスとして、「遊び」、「創造」、「発見」を重視。
例えばメカのエリア。こちらの展示では、歯車、てこ、ねじ、クランク、コンベアなどさまざまな機械部品の動きから物理の原理を体験できます。中央の展示は、人の力だけでは動かすのが大変な大きさの鉄球を、様々な機械要素を組み合わせて動かしていくものです。
触って、動かして、機械の働きを見てみよう!
こちらは、てこを使って鉄球を持ち上げて一段ずつ横に移動させていく部分。てこを押してみると、それぞれかかる力が違うことに気づきます。支点と力点と作用点との位置がてこごとに変えてあるため、てこの原理により同じ鉄球でも押す力が変わるという仕組みです。ただ、それについて細かい説明は展示に書かれていません。
こいつ動くぞ!押す時の重さの違いを感じてみよう!
とにかく動かして楽しむ。でも、動かした時にここと、あそこでは何か動きが違う。なんで?と思えたら、それが科学の始まりです。松浦さん曰く、体験して、何?なぜ?と思った時には、館内を歩いている怪しげな笑顔を浮かべながら徘徊する森(FOREST)の妖精(スタッフ)たちが、それとなくヒントをくれるそうです。
松浦さん、大久保さんも推しの展示 の「びっくり25200000回」
そんなメカのエリアで見ていただきたいのがこちらの展示。松浦さん、大久保さんも、こちらは推しの展示の一つだそうです。大小の歯車を組み合わせて作られた「びっくり25200000回」の展示です。
 
装置右側のハンドルを回すと、連動して内部の全ての歯車が回ります。25200000回ハンドルを回すと左側の巨大な歯車が1周回るのですが、1996年から展示されてまだ3周しか回っていないそうです。ハンドル下のカウンターを見ると、取材日の時点でハンドルは8300万回以上回っていました。私も追加で回しておきました。
1周したメモリアルの日が貼られています。
ちなみに、手前の巨大な歯車を、誰かが回してしまうのでは?なんて思った方がいるかもしれませんが、人が手で押しても少しだけガタガタするだけで絶対に回りません。歯車は回転の速度や力、方向を変えるために使われるもので、入力と出力の歯車の大きさにより反比例で・・・と、細かく説明するとややこしくなるのでそこは省きます。気になる方は現地で確認を!

演奏結果のスペクトログラムも出る音ゲー

続いて、同じく5階のサウンドのエリア。こちらには音の姿を感じることができる展示がいくつかあります。その中で特に目立つのはこちらの展示。

音ゲー(音楽ゲーム)の感覚で音の性質を知る
ジャンボ・ピアノの展示です。足元の鍵盤を踏むと音が出るもので、ナビ演奏モードの場合は画面上から落ちてくる図形に合わせて踏んで演奏していきます。音楽に合わせてボタンを押したり足で踏んだりするゲームと同じような感覚です。
初めての音ゲー
単に演奏するだけだと大きなピアノということになるのですが、そこは科学技術館。このピアノは、最後に自分の演奏がリピートされて、解析もしてくれます。スペクトログラム(音の周波数や時間、大きさを色の濃淡などで表したグラフ)も表示されます。
倍音が・・とか、フーリエ変換で・・とか、大人は演奏したあと色々話し合ってください。
子供たちにとっては何のことだかよくわからないので、体を動かして演奏だけ楽しみ、最後は見ないで飛ばされてしまうことが多いそうです。音は波の性質があるというのが、なんとなく感じられればいいのではないでしょうか。
音による波の変化がよくわかります
音の性質がわかるという点では、こちらで見ていただきたい展示がジャンボ・ピアノの横にあるアクア・ウェーブ。スピーカーから出る音で、右側の筒の中の水に波が起こります。画面を触って指を動かすと、音の周波数や音量などの数値が変わり、それに合わせて出来る波の形が変化するという展示です。
波は重なって打ち消しあったり、大きくなったりします。その様子を、アート作品でも見る感じで観察できるので、ピアノだけでなくこちらも体験していただきたい。
ジャンボ・ピアノやアクア・ウェーブが実際に動いている動画は、科学技術館のホームページにあるのでそちらをご覧ください。
 

リアルクレーンゲームができるぞ!

続いて紹介するのは、建設に関するさまざまな体験ができる4階の「建設館」です。展示室内は建設現場をイメージした作りになっています。

鉄骨で組まれた建設館の展示エリア。
注目していただきたい展示は、実際に操作ができるこちらの展示。
タワークレーンの操作体験。
高層ビルの建築現場などで資材を吊り上げる時に使われている、タワークレーンの操作体験です。ここでは、実際に操作室からタワークレーンを操作して、ボールをつかんで移動させます。まさにリアルクレーンゲーム!
免震装置のある場合と無い場合の地震を体験できます。
他にも、建設館では地震免震装置の効果を体験できる展示があります。

クラシカルな自転車やパーツ類、電動アシスト自転車の初号機もある!

続いて紹介するのは、過去から現代にいたる自転車の形や技術を学べる2階の「自転車広場」です。

身近な乗り物「自転車」の歴史や機能について学べます。
大人も子供も乗れる便利な乗り物の自転車。最近は、自転車への青切符制度の導入により、自転車の交通ルールや安全な通行が話題となっていますが、自転車の原型となるものが発明されたのは今から200年ほど前の話になります。
1817年に発明されたドライジーネ。自転車の始祖と言われています。
そこから何度か構造が変わり、今の自転車の形になったのは120年ほど前の話です。そこから自転車の基本的な構造は現代まで大きく変わっていません。
1900年前後に開発された自転車。現代の自転車とほぼ同じ。
もちろん、安全性、耐久性、乗り心地などを追及した改良は多く施されてきました。ということで、注目していただきたいのがこちらの自転車!
世界初の電動アシスト自転車。綺麗に残っているものは全国に数台しか無いそうです。
このような量産品の工業製品というのは消耗品なので、大体が使って古くなって捨てられてしまいます。博物館で展示できるような綺麗な状態の物はほぼ残っていません。日本では、工業製品は量産品で希少性が薄いため、文化財として保存されることはあまりありません。松浦さんによれば、この電動アシスト自転車も、綺麗な状態では日本に数台しか無いそうです。超貴重! 
電動アシスト自転車の体験もできます。科学技術館ホームページより
ちなみに、「PAS」は、独立行政法人国立科学博物館が2008年から実施している「重要科学技術史資料」の登録制度(愛称:未来技術遺産)で、令和4年に登録されました。世界で初めて作られた、ペダルを漕ぐ力をモーターで補助する運転免許証の要らない自転車は、200年以上続く自転車の歴史に新たなカテゴリーを作った偉大な製品なのです。
 
そんな貴重な展示品を見つつ、電動アシスト自転車体験などもできます。

貴重な研究資料が見られるぞ!

最後にもう一つ紹介したい展示があります。それがあるのは5階の「ワークス」の展示エリア。

展示や実験ショーに使われる物の試作がこちらで行われています。
こちらのエリアでは、実験ショーに使われる物の試作や、ワークショップが行われているだけでなく、人が入ることが出来る大きなしゃぼん玉を作る装置や、竜巻を見ることができる装置なども置かれています。
シャボン玉に入れる装置。
紹介したい展示はこちらです。
紹介したい展示はこちらです。
空気砲を体験できる展示です。空気砲は、あの有名な先生がテレビでもよくやっていたのでご存じかと思います。箱の両側を叩くと、前の穴から空気の塊が飛んでくるアレです。見ていただきたいのは、その隣のパネルになります。
科学の芽が育って実になった結果。女の子は現在、大学で研究の職についているそうです。
こちらのパネルは、ある小学生の女の子が空気砲に興味を持ち、自分で空気砲を作ってロウソクの消え方を研究してまとめたものです。予測、実験、結果、考察、次への課題が実に丁寧にまとめられています。まさに、科学技術館が設立された目的である「科学技術や産業技術に関する知識を広く国民に対して普及・啓発する」が形になったものだと思いました。
 
これは一見の価値あり!科学技術館で見てください。

科学技術館に行って大人も体験しよう!

この他にも、角度をつけることで光がほとんど反射しないため、中が真っ暗に見える角のブラックホールとか。銅製品ができるまでを方法別に分かれて進むすごろくとか。ベアリングの有り、無しで、移動がどれだけ変わるか体験できる装置とか。
 
挙げ始めるとキリが無いほど、面白く、楽しい、興味深い展示が幾つもありました。ただ動かして楽しむのもよし。もう一度、学校の教科書を引っ張り出して、なぜそうなっているか、原理を確認して理解を深めるのもよし。取材を忘れそうになりながら科学技術館を楽しんでしまいました。
 
科学技術館で過去に展示されていたものについてはホームページにアーカイブがあるので、そちらを見て懐かしむのもおススメです。

では、最後に博物館のお楽しみ。ミュージアムショップの気になった商品を幾つか紹介して終わります。

テストの時には着ていけない!科学技術館オリジナル、元素周期表Tシャツ
元素周期表Tシャツは『MEN'S NON-NO』や『POPEYE』に掲載!
元素周期表トートバッグもあるよ!
宇宙食の在庫も豊富です!
自由研究おたすけキットで夏休みの宿題も安心!
ダンゴ虫や、懐かしのシーモンキーを飼育するキットもあるよ!
以上、科学技術館のミュージアムショップの気になる商品群でした。
オンラインストアもあるので、ぜひご覧ください。
 
今こそ行こう、科学技術館!
 

ライター:馬場吉成
工業や製造業関係の記事を専門とする製造業系ライター。企業紹介、製品紹介、技術解説など、製造業企業向けのコンテンツを各種書いています。料理したり、走ったりして書いた記事も多数あり。2022年に埼玉県寄居町へ移住して古民家を改修し、シャワールーム付きの飲食店(ランニングステーション)の経営も行っています。
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