家庭用 2022年09月30日

環境配慮型のバイオマスマーク認定商品「スーパーXナチュラ」を開発(担当者インタビュー)

セメダインはバイオマス原料を使用した環境配慮型の新商品「スーパーXナチュラ」を2021年12月に発売しました。近年、カーボンニュートラルの観点からバイオマス原料への関心が高まっていますが、当社でも環境問題への取り組みとして実用化に向けて研究開発を進めてきました。二酸化炭素(CO2)削減に貢献すると同時に、接着性能の面でもプラスチックや金属などの異素材接合に広く使用されている「超多用途弾性接着剤・スーパーX」のシリーズ品として遜色のない接着性、耐久性を実現しました。

「スーパーXナチュラ」は、一般社団法人日本有機資源協会より、生物由来の資源(バイオマス)を活用し、品質および安全性が関連する法規、基準、規格等に適合している環境商品として「バイオマスマーク商品」に認定されています。

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製品概要

超多用途弾性接着剤「スーパーXナチュラ」

(規格:20mL/品番:AX-246/オープン価格)

・バイオマスマーク認定商品 ・・・・・ 生物由来の資源を接着剤に50%配合
・超多用途 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 様々な材質に対応
・熱・水に強い ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 屋外でも使え、−40℃〜120℃に対応
・垂直面に対応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ タレにくく、垂直面に使用しやすい
・凹凸面に対応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 硬化後も肉ヤセがなく、凹凸面も接着できる
・ショックに強い ・・・・・・・・・・・・・・・ 弾性接着層がショックを吸収しハガレにくい
・クリーン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ いやなニオイが少ない、無溶剤タイプ
・曲げに対応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 革・布など素材の柔軟性を損なわない

バイオマス原料とは

化石燃料由来と比べて環境負荷が少なく、持続可能な生物由来の資源のこと。「スーパーXナチュラ」はバイオマス原料としてホタテの貝殻を使用しています。ホタテは、ブルーカーボンで注目を集めている藻類が主食で、藻類同様に炭素の固定化に寄与しています。燃焼時に二酸化炭素(CO2)を放出するものの、大気中のCO2からの還元物としてカウントされ、新規の放出物としてはカウントされない「カーボンニュートラル性」を有しています。

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ブルーカーボンについて

ブルーカーボンは、海域で吸収・貯留されている炭素のことで、2009年に国連環境計画(UNEP)によって定義されました。ブルーカーボンは海草藻場(アマモ場など)やマングローブ林、塩性湿地などの植生のある浅海域生態系の堆積物中にたくさん貯留されており、大気中のCO2濃度を減少させ、気候変動を緩和するとされています。

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担当者インタビュー

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セメダイン株式会社 技術部 技術グループ 技術統括チーム  磯﨑 丈志

 

接着剤メーカーの責任として環境負荷低減に取り組む

近年の持続可能な開発目標(SDGs)に対する取り組みのなかで、当社は多くの石油由来の原料を使用する接着剤メーカーとして、環境への負荷をどうやって低減できるかを検討してきました。その結果、生物由来のバイオマス原料を使うことにより、接着剤自体の環境負荷低減を目指すべく開発をスタート。材料構成比50%をバイオマス原料であるホタテの貝殻に置き換えることに成功し、2018年頃に製品のプロトタイプを完成させました。その後、さらに製品の改良を進めるとともに、バイオマスマーク認定の取得手続きや耐久性・耐候性等の促進試験、量産体制の整備などを進め、社会の環境問題に対する意識・ニーズの高まりを考慮したうえで、2021年12月の「接着・接合EXPO」開催のタイミングに合わせて発売を開始しました。

試行錯誤の末に従来品と同等の性能を実現

バイオマス原料を使用する最初の商品に選んだのが、当社の基幹製品である「スーパーX」シリーズです。開発に当たって苦労したのは、工業用にも適用できる「スーパーX」シリーズの優れた性能をいかに維持しながら、バイオマス原料に置き換えるかということでした。そこでホタテの貝殻以外にも、牡蠣殻や卵の殻など様々な材料を試しました。接着剤としての液の流れやすさや塗布時の吐出しやすさ、最適な粘度などを実現するために、材料選びから粒の大小まで細かく試行錯誤を重ねました。さらにこれまで長年の製品開発で培った経験を生かし、粘度や安定性などを調整する添加剤を付加することで、従来の「スーパーX」と同等の性能を維持することに成功しました。また、原料である養殖ホタテの貝殻パウダーを安定供給してもらえる調達先の確保にも苦労しました。

製品ラインナップを拡大しさらなる持続可能な社会に貢献

「スーパーXナチュラ」の発売後、材料メーカーからの新たな材料の提案や、従来のBtoB製品についてユーザーからバイオマス化の要望を受けるなど多方面から注目されています。当社としても「スーパーX」シリーズだけでなく、建築用のシーリング材やタイル用の接着剤、木工用接着剤など、一般消費者向け、建築・工業向けに関わらず、様々な製品についてバイオマス化を進めていけたらと考えています。今回の技術を応用できるものに限らず、新たな技術や材料を探索しながら、なるべく早く第2・第3の環境対応製品を打ち出していくことで、持続可能な社会の発展にさらに貢献していきます。

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