接着剤の基本4.「塗ること」「固まること」のまとめ。

第2章で、「接着剤を塗る」というのは、「モノの表面によく馴染ませるということ」だと学びました。また、第3章では、硬化方法(=固まり方)を理解してきちんと固めることで、馴染みっぱなし=くっつく状態にすることが出来るのだということを学びました。
ここでは、それぞれの作業時に気をつけるポイントを整理してみましょう。

まず、塗る前に、くっつけるモノの表面を綺麗にしておくということです。
なんとなく、「多少汚れていても、接着剤が〝汚れごと固めて〟くっつけてくれるんじゃないか」と、都合の良い淡い期待を持ってしまいそうになりますが、そんなことはありません
例えば、ザラザラと砂埃が付いたコンクリートの壁面に、セロハンテープを強く押しつけて貼ってみても、あっさり取れてしまった経験をお持ちの方も多いかと思います。接着剤でもそれと同じ事が起きます。

接着剤も、つけるモノの表面が、ホコリで、水で、油で、汚れていたら馴染めません
馴染めていない状態で固まっても、馴染めていないっぱなしですから、要するにくっつかないわけです。つけるモノの表面は、きちんと拭いたり、しっかり乾かしておきましょう。
また、接着する面が塗装されている場合は、塗装面に接着してしまうことになり、「塗料のつく力より、接着剤のつく力の方が強い」ため、塗料が塗装下地から剥がれてしまうことがありますので、あらかじめ、接着面の塗装は落としておくようにしましょう。

次に、塗る作業におけるポイントは、「薄く均一に」が基本
くっつけたい2つのモノが一体化するわけですから、間に挟まる接着剤はなるべく薄い方がベターです。また、塗りムラがあると接着強度が弱くなる原因になりますので、ムラなく均一に塗り広げるようにしましょう。

最後に、固まる時のポイントは、第3章でも学んだ通り、どんな方法で液状化されているのかを考えること。
それによって硬化方法(固まり方)は違ってきますから、説明書に書かれてある硬化機構をよく確認して下さい。
必ずしも「いきなり塗って、すぐ貼り合わせる」ばかりじゃありません。「混ぜてから塗る」とか、「塗ったら、乾かしてから貼る」とか、必ず書かれてありますから、要チェックです。

それから、硬化時間についても、ポイントを押さえておきましょう。
ここでのポイントは、「動かなくなるまでの時間」と「強度が出るまでの時間」は別、ということです。
たいてい、パッケージに書かれてある時間は「手で押してみて、動かなくなるまでの時間」です。この時間は、5秒であったり、30分であったり、6時間であったりと様々ですが、「強度が出るまでの時間」は共通して24時間程度かかります。ここポイント。

これは、両面テープでも同じです。両面テープは粘着テープですから、最初は粘着力でピタッとくっつきますが、この時点ではパッケージに書かれてある様な強度は出ておらず、あくまでも「軽く手で押したり引いたりしても動かなくなっている」にすぎません。
両面テープや粘着テープは、貼った後、「しっかり上から圧力をかけて押しつける」ことが重要で、さらに、強度が出るまでは24時間程度待つ必要があります。粘着テープは、固まりはしませんが、圧力をかけて馴染ませ、その状態が馴染みっぱなしになるまでは24時間程度はかかるということです。ここポイント。
両面テープで貼るタイプの粘着フックがすぐに落ちてしまった経験がある方もいらっしゃると思いますが、初めからいきなりフックに何かをぶら下げてしまったことが原因だったりします。

繰り返しになりますが、「塗る」「固まる」という共通ポイントを覚えておけば、どんな接着剤も大体理解できますし、上手にくっつけることが出来ます。


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