家庭用 2019年11月21日

3Dプリンターの造形物をくっつけよう! ~熱溶解積層方式編~

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家庭用プリンターとしても使われることが多いFDMプリンター。今回は、フィラメントの中でも使用される頻度が特に高いPLAABSを検証しました。

熱溶解積層方式(材料押出堆積法)とは

FDM(Fused Deposition Modeling)/FFF(Fused Filament Fabrication)とも呼ばれ、主に熱で溶かした樹脂をノズルから押し出し、積み上げてモデルを造形する方式です。プラスチック製部品とほぼ同等の強度の造形が可能であり、代表的なABSPLA(ポリ乳酸)のほか、PLAとエラストマーやカーボンを混合した特殊なフィラメントが多数開発されています。

FDM造形物の表面

熱溶解積層方式は造形ピッチを細かくしても、表面に網目形状が残ってしまいます。このような表面形状の場合、点で接着してしまいます。

  •  瞬間接着剤のような低粘度なもの
  •  溶剤で表面を溶かして接着するもの

の方が面接着に近い表面状態を作れるため、強い接着が期待できます。

PLAの表面

評価結果

PLA

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使用プリンター:Stratasys F370(Stratasys)
材料名:PLA(Stratasys)

瞬間接着剤 難接着素材用
エポキシ系
ドープセメント
3000多用途 EP001N ABS用
造形協力:ストラタシス・ジャパン

img_3DFDM_003.jpg

使用プリンター:3dp-20(HICTOP)
材料名:Polylite PLA(Polymaker)

弾性多用途
(速硬化)
瞬間接着剤 難接着素材用
エポキシ系
ドープセメント
スーパーX
ゴールド
3000多用途 EP001N ABS用
造形協力:3Day プリンター

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使用プリンター:3dp-20(HICTOP)
材料名:Verbatim PLAフィラメント(三菱ケミカルメディア)

弾性多用途
(速硬化)
難接着素材用
エポキシ系
ドープセメント
スーパーX
ゴールド
EP001N ABS用
造形協力:3Day プリンター

img_3DFDM_005.jpg

使用プリンター:3dp-20(HICTOP)
材料名:Creality 3D PLA(Creality 3D)

弾性多用途
(速硬化)
難接着素材用
エポキシ系
ドープセメント
スーパーX
ゴールド
EP001N ABS用
造形協力:3Day プリンター

300_200_dummy.png

使用プリンター:Delta

素材名
瞬間接着剤 弾性多用途
(標準)
ドープセメント
3000多用途 スーパーXホワイト ABS用
PLA Blue(SainSmart)
PLA White(SainSmart)
PLA Black(SainSmart)
テラマックCLEAR(ユニチカ)
Premium PLA White(Raise3D)
造形協力:3Day プリンター

評価方法

  • 破壊状態がCF・AFのいずれかで、接着強度が1.5MPa以上の場合/破壊状態がMFの場合 ⇒◎
  • 破壊状態がCF・AFのいずれかで、接着強度が1.0MPa~1.5MPaの場合 ⇒○
    ※MF、CF、AFの解説はこちらからご確認ください

ABS

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使用プリンター:Stratasys F370(Stratasys)
材料名:ABS(Stratasys)

瞬間接着剤 難接着素材用
エポキシ系
ドープセメント
3000多用途 EP001N ABS用
造形協力:ストラタシス・ジャパン

img_3DFDM_007.jpg

使用プリンター:3dp-20(HICTOP)
材料名:Polylite ABS(Polymaker)

弾性多用途
(速硬化)
瞬間接着剤 難接着素材用
エポキシ系
ドープセメント
スーパーX
ゴールド
3000多用途 EP001N ABS用
造形協力:3Day プリンター

img_3DFDM_008.jpg

使用プリンター:3dp-20(HICTOP)
材料名:Verbatim ABSフィラメント(三菱ケミカルメディア)

瞬間接着剤 難接着素材用
エポキシ系
ドープセメント
3000多用途 EP001N ABS用
造形協力:3Day プリンター

img_3DFDM_009.jpg

使用プリンター:3dp-20(HICTOP)
材料名:Pxmalion ABS(Pxmalion)

弾性多用途
(速硬化)
瞬間接着剤 難接着素材用
エポキシ系
ドープセメント
スーパーX
ゴールド
3000多用途 EP001N ABS用
造形協力:3Day プリンター

評価方法

 

  • 破壊状態がCF・AFのいずれかで、接着強度が1.5MPa以上の場合/破壊状態がMFの場合 ⇒◎
  • 破壊状態がCF・AFのいずれかで、接着強度が1.0MPa~1.5MPaの場合 ⇒○
    ※MF、CF、AFの解説はこちらからご確認ください

オススメ接着剤

ドープセメント『ABS用』

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  • 素材同士を溶かしてくっつける溶着タイプ
  • ハケ付き
    液の色:透明
    動かなくなるまでの時間:10分
    ※有機溶剤を含みます。ご使用の際は必ず換気をしてください。

溶剤によって表面状態がどう変化するかを検証したところ、ジクロロメタンを使用するとある意味、”溶かし過ぎる”ことがわかりました。

樹脂の溶かしやすさの指標としてSP値というものが使用されており、SP値が近いほど溶かしやすく、離れるほど溶かしづらいとされています。

一般的なPLASP値は11、ジクロロメタンのSP値は9.7と近いため、ジクロロメタンではPLA造形物を溶かしすぎてしまうようです。実際、ABSに用いる溶剤(アセトン、酢酸ブチルなど)は表面を溶かしすぎず、仕上がりがキレイになりやすいと考えられます。

(左)ジクロロメタンを使用したPLA表面

(右)「ABS用」を使用したPLA表面

■その他の接着剤

 

  • 瞬間接着剤3000多用途…すばやく接着したい時にオススメです

 

  • 多用途接着剤スーパーX」「スーパーXゴールド…熱・水・ショックに強く、はがれにくいのが特長です。幅広い素材に使えるため、造形物同士のほか、造形物と他の素材を接着したい場合にも適しています。

 

  • 弾性エポキシ接着剤EP001N2液混合タイプの接着剤です。強固に接着したい時にオススメです。

 

造形協力

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