家庭用 2020年02月28日

3Dプリンターの造形物をくっつけよう! ~マルチジェットフュージョン方式(MJF)編~

高強度なナイロン素材を使った短時間での造形が可能になる新方式として注目を集めているマルチジェットフュージョン方式プリンター。今回は、特に使用頻度の高い「ナイロン12(PA12)」への接着性を検証しました。

 

※焼結方式、積層方式のナイロン12については、こちらからご確認ください

マルチジェットフュージョン方式とは

MJF(Multi Jet Fusion)というHP社独自の新方式になります。粉末焼結とは異なり、パウダーを積み上げた後に、結合剤を配合し、加熱することで一気に固形化します

製造物に異方性が出ないため、実用に耐えられる強度を出す事ができ、 PA12(ナイロン12)のほか、その強化品であるPA12GB、非常に柔軟なPA11(ナイロン11)の3つの素材が選択可能です。(2020年2月時点)

マルチジェットフュージョン方式造形物の表面

▲ナイロン12の表面 (左:研磨前、右:研磨後)

今回の調査では、表面の研磨の有無による接着性の相違を比較しました。

研磨を行った場合、内部の完全に焼結した層が接着面となります。
【研磨あり】と比較して【研磨なし】の方が、接着強度・破壊状態共に良い結果が得られたことから、マルチジェットフュージョン方式造形物の表面と内部とでは接着性が異なると考えられます。

評価結果

ナイロン12

img_3DMJF_004.jpg
img_3DMJF_005

使用プリンター:Multi Jet Fusion 4200 (HP)
材料名:PA12

瞬間接着剤 難接着素材用
エポキシ系
3000多用途 3000多用途
(研磨ナシ)
EP001N EP001N
(研磨ナシ)

難接着素材専用
瞬間接着剤
エポキシ系 アクリル系
PPX ハイスーパー5 メタルロック

造形協力:DMM.make

評価方法

 

  • 破壊状態がCF・AFのいずれかで、接着強度が1.5MPa以上の場合/破壊状態がMFの場合 ⇒◎
  • 破壊状態がCF・AFのいずれかで、接着強度が1.0MPa~1.5MPaの場合 ⇒○
    ※MF、CF、AFの解説はこちらの記事中にある「壊れ方に注目」をご確認ください

オススメ接着剤

弾性エポキシ接着剤『EP001N』

mg_3DMJF_006.jpg

  • 2液を混ぜた化学反応で固まるタイプ
  • 接着しづらいプラスチックに対応
  • 弾力をもって固まり衝撃に強い
  • 混合後の色:白
  • 動かなくなるまでの時間:混合後40分

ナイロン12は表面の極性が低く接着し難い素材であるため、エンジニアリングプラスチックによくつく「EP001N」が推奨されます。

表面を研磨すると、より接着が難しい層が表面に出てしまうため、研磨は最小限に止める方が良さそうです。

■その他の接着剤

 

  • 瞬間接着剤3000多用途…すばやく接着したい場合にオススメです

 

  • エポキシ樹脂系接着剤「ハイスーパー5」…2液混合タイプの接着剤です。位置調整の時間を確保しつつ、短時間で強固に接着したい場合にオススメです。

 

  • アクリル系接着剤「メタルロック」…2液混合タイプの接着剤です。エポキシ樹脂系に比べ靭性が高いため衝撃に強く、短時間で接着したい場合にオススメです。

 

造形協力

img_3DMJF_007.png


 

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