ものづくり 2026年10月19日

ヘボコン2026レポート

 世界で人型ロボット運動会が開催され、自動運転の車が町を走る中・・・
 
ヘボいロボットを作って戦わせる「ヘボコン」が今年も堂々と開催されました。
 
100年後の人が年表を見て、2026年の欄に「人型ボット運動会」と「ヘボコン」が並んでいるのを見たら非常に混乱するでしょうね・・・!

ヘボコンとは・・・

最近はSNSの影響か、

なんとなくこんな気負いが漂っているような気がしませんか。
 
ヘボコンでは、そんな気負いはゼロ。ほんとうにゼロ。
ロボを作って持ってきているだけで合格(たまに持ってくるのを忘れる人もいる)。
当日に急ピッチで製作して機械部分がむき出しだっていい!
 
作ったロボ同士を相撲させるけど、勝ってもいいし負けてもいいコンテスト、それがヘボコン。目的は勝利ではなく、「自分で作ってみる」「みんなに見せてみる」。
ざっくり作ったロボはもろく壊れやすいため、接着剤やテープのコーナーがしっかりある!
観戦していると、「なんだこのロボ!」と笑っているうちにいつしか、
こんな気持ちが芽生える不思議な大会です。

2026年ハイライト①:配信中断のピンチ・・・!

技術はヘボくても、アイデアは無限大。

肩の力が抜けているため(というか元から力んでない)、失敗を気にせずやりたいことを詰め込めます。
 
時として2つのアイデアが意図せぬドラマを生むことも・・・!
 
私の心に深く刻まれたのは1回戦第2試合。
 
出場したロボットはこちら。
華やかな「カーニバル」と、ロボットを食らう「カニバリズム」の要素を併せ持つロボ。
 
武器のマカロンの中には磁石がしこまれているのだそう!
 
対する相手は、
ベロが出っぱなしのハムスターロボ!
 
製作チームから「試合中に口からベロを出して相手を驚かす予定が、製作中のミスで出たまんまになりました」とのこと。
 
ピンクでプルプルの舌が動物を感じさせます。
アイデアが詰まったロボ2体によるバトル、開始!
 
あれ・・・?
これ、画が際どいんじゃないか!?
 
亀太郎の桃色の舌の位置があやうい・・・! 
会場が「勝敗」ではなく、「配信して大丈夫なのかどうか」を焦点にざわめきます。
 
そして!
最悪の事態に至るまでに、 カーニバリズムが場外、とっとこ亀太郎の勝利です!
 
会場から漏れる安堵の声!(ちょっと一回足をなめてた気もするが・・・!)
 
とっとこ亀太郎のチームから一言。 
「あらゆる方面に謝罪したいです」
 
「ヘボ」ゆえに生み出される謎のサスペンス、ありました。

2026年ハイライト②:ついにAI搭載ロボ搭乗!

ヘボコンには「ハイテクノロジーペナルティ」があります。高い技術を使用したロボは減点の憂き目にあうのです。

 ヘボコンの生態系を守る条約みたいなものですが、大体のロボが基本の機能すらもうまく生かせていない状態なので、このペナルティが発動されることはあまりありません。
 
しかし今年、
対話が可能なAIをひっさげた犬のロボ「HEBO-GPT」が登場!!なんと音声認識で動く!
審査員も目を見張る!(ヘボコンにはなぜかしっかりした来賓の審査員がいます)
ギャル電

これはハイテクノロジーペナルティでは?



にわかに議論がまきおこりましたが、
 
製作者の小林さんがHEBO-GPTに、
「対戦相手のロボ、重くない?」
 
と語りかけたところ、
HEBO-GPT

しょっちょくではなく、これは高度な戦術的透明性です



あ、これは・・・
司会:石川

なんか、ちょっとポンコツ感あるのでいいことにしましょうか

HEBO-GPT

ある意味正直そのものです。音声認識もバッチリですよ



HTP(ハイテクノロジーペナルティ)には留保があります。それは
「高度な機能であっても、実装に失敗し、全く機能していない場合はペナルティにならない」というもの。
「このAIは大丈夫かもしれない」とひとまず開戦となりました!
 
しかし、AIって最近なんかめっちゃ賢いし、ヘボいロボットなどあっさりと圧倒してしまうのでは・・・!?
わ!
 
AIロボが負けた!スッと押し出されて負けた!
 
最新鋭の技術を載せてもヘボは保たれる・・・!会場全員の目からうろこが落ちました。
負けても何かを喋り続けるロボ。
小林さん

負けました!

HEBO-GPT

接触を確認

司会:石川

試合が終わった今、『接触を確認』って言ってますね



初回から12年経っても、人間の脅威となるロボットが一体も出てこない、それがヘボコンです。

2026年ハイライト③:みんなうまいこと言おうとする

ヘボコンでは、ロボットを作った出場者に思いの丈を語ってもらうシーンがあります。

歯ブラシの4本足に、下あごの歯の模型(こちらが尻)。それらをビニールテープでぐるぐる巻きにして仕上げた一体。

電動歯ブラシを使う予定でしたが、お金をかけるのが嫌でやめました

「お金に糸目をつけずに作った」みたいなエピソードはよく聞きますが、その真裏を初めて耳にしました。
 
対戦相手はその名も「夏の日の思い出」

100円ショップで夏っぽいものを片っ端から買って製作したとのこと

新入社員の子に『一緒に出場しないか』と誘ったけど、来てくれませんでした

はつらつとしたおしゃべりにそぐわぬ切ないエピソード...!
 
それでは対戦開始!

うわっ!夏の思い出からなんかいっぱい出てきた・・・!
 
対する歯ブラシザウルスは全く動かない!

結果、夏の日の思い出の勝利!
 
敗退してしまった「歯ブラシザウルス」チームのコメントをきいてみると、

『歯』が立ちませんでした

「会場も『お~』ちゃうねん」と思いました。みなさん、ロボットに注目してください。
 
そのほかにも、

 敗退したロボ「ティッシュ」のチームから、

「相手の方が『一枚』上手でした」

負けた湿布とハイヒールロボのチームからは、

「スポーツマン『シップ』にのっとって戦えました」
 
うまいこと言おうとする敗退コメントが続出しました。

謎めいた潮流。思わず頬を赤らめましたね・・・。

2026年ハイライト④:ヘボコン新世代、台頭。

私は昨年のヘボコン大会も会場で観戦したのですが、今年は子どもたちの参加が増えていました。

蟹インスパイアのロボ「カニ倶楽部」で出場の「カスタマイマイ」さん!
 
呼気で泡を吹かせるギミックが光ります。(吹いたとて相手の攻撃にはならないそう)

ロボ「矢部ろん坊将軍」をひっさげて出場のロボット研究部チーム「しかみたい」!
 
「矢部ろん坊将軍」は顧問の矢部先生をモデルにしたそう。イベントの際には、顧問を思いっきりイジっても無礼講!(銀色に光る剣を持ってて何気に怖いロボ)

ロボ「いももち・かにみそ・さかなDX」を製作したのは、見ているだけで夏休みを思いだす少年チーム「そーすーなー」!
 
ロボのリモコンが枡なのがいい。

フィールド上に、チームメンバーで伊豆大島に行った時のアクスタを設置。「おれたちの思い出を倒せるか?」という揺さぶり攻撃・・・!

「死神君」というアツい名前のロボを作ったのは、チーム「ジョニー独別委員会」!

チームメンバーがチーム名を打ち間違えて、「撲滅」のはずが「独別」になりました

チーム名のネーミングセンス、入力ミスのエピソード、どれもかなりいいぞ!
 
たくさんのキッズが市販のロボキットを作って終わりにするのではなく、アレンジを加えてオリジナルロボを作り上げている・・・。

ヘボコンで初めて未来の希望を感じました。
 
しかもしかも、準決勝に残った4チームのうち、3チームが子どもで結成されたチーム・・・!
 
そして決勝に進んだのは、

チーム「ねじたりナイッス」が送る、

釣り竿のギミックを武器にしたロボ「顔面だけイキリロボット」と、

前年優勝者のチーム「TECH☆TECH(from NID)」の、

箱形体躯の安定性で決勝まで駆け上がった、強すぎてヒール感すらある「テクロボくん」!
 
仲良し少年2人組のロボと、頭の周りが機械でガチガチのお兄さんのロボが一騎打ち!

さてどうなる!

スタートしてすぐに、「顔面だけイキリトラック」の荷台が「テクロボくん」をすくい・・・!

すごい!「顔面だけイキリロボット」の勝利!
 
めっちゃかっこいい勝ち方や!

コンピュータ搭載の「テクロボくん」に、釣り竿が勝った瞬間です!
 
若いチームが大活躍、2026年はヘボコン新世代台頭の年でしたね・・・

ヘボコンは異様に敷居の低い大会

ヘボコンはウソ・虚飾抜きで老若男女が参加しています。

親御さんの介護で大変な中、参戦した中年の男性、

単独で会場参加の女の子・・・、

お父さんと小さな娘さんの親子・・・。
 
昨年は海外チームも参加していました。幅広いとしか言いようがない参加者層!その人たちをつなぐものが「ヘボいロボット」というこの状況!なにこれ!

試合終了後、あらゆる世代の参加者が自由にロボをバトルさせる風景も
 
色んなアニメ映画でこういうユートピアを見てきたけど、ヘボコン会場で具現化されてるなんて・・・。
 
みんな「とりあえずロボを作りたい・たたかわせたい」という意気込みでここに集ったのです。
 
そのことを思うだけで、

胸に「いい・・・」が溢れてきました。

「最もヘボいロボ」として参加者投票で最ヘボ賞に選ばれたのは「ティッシュ」。
ちっこくて初戦敗退のロボもキラキラ輝く大会!

観戦してみよう!参戦してみよう!ヘボコンは異様に敷居の低い大会です!

 
 
【オマケ】

1回戦敗退ロボたちが、ボーリングのピンを倒すエキシビジョンの混沌。

ロボットとともにスケートに挑戦(凍らせた2リットルペットボトルを足に敷いて立つ)する、前回審査員をしていたこやしゅんさん

ペットボトルがころがり出て舞台から落ちそうになる瞬間

焼肉ロボ、その名も「焼肉おいしいな」

ヘボコン冒頭で紹介されていた、チーム数の少なすぎるトーナメント表、実は私が書き損じたものです。このお披露目の時、会場全体がポカンとしていて裏で震えあがりました。

あわてて書き直して壁に貼ったトーナメント表。仲良く剥がれ落ちそうになっていたみたいです。




唐沢むぎこ(からさわ むぎこ)
ライター。大阪府生まれ。主にデイリーポータルZで活動中。台湾の文化にまつわる記事のほか、チェキで盆栽を撮ったり、トルコの極小ギョウザを作ったり雑多な制作記事を執筆。学芸員を目指していたはずが、気が付いたらこんなことになっていた。大阪大学大学院文学研究科博士前期課程卒業。
ブログ:「唐沢ジャンボリー」

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