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知識・Tips
2024年05月27日
【ロボコンOBによる、初心者向けみどころ解説】高専ロボコン2023全国大会編
昨年開催された高専ロボコン全国大会。ここでは高専OBでロボットメーカーのユカイ工学に勤務する和田義久さん(小山高専出身)と、同 花守拓樹さん(北九州高専出身)を招き、全国大会を振り返りながら、各高専のチームの背景や、ロボットの特徴、勝敗を分けたポイントなどについて、初心者のみなさんも楽しめるように解説していただきました!
花守:第1回戦から、いきなり試合の醍醐味が出ていますね。鶴岡の「かっとび君」は本大会で最も車高が低い機体でした。その一方で、対戦相手となった高知のfruity bearは今回のスタンダードなフォルムです。車高が高く、そのままの状態で(展開しないで)1周目を走り回りながら、上に吊るされたフルーツを収穫できるように製作されていました。一番高い高さはfruity bearくらいが多かったです。この試合の面白さは、一番低い車高と一番高い車高のロボットという組み合わせになったことです。
花守:第2試合は特徴的な機体同士の戦いでした。まず徳山の「プルトスワロー」は、なんと言ってもトゲトゲの緑色のタイヤが目を引きました。このタイヤは園芸用の針金を1本ずつ手で折り曲げて「リムレスホイール」にしたもので、段差を上手くクリアしていましたね。
花守:福島の「白虎」は見た目ではわかりずらいのですが、こちらも個性的な機体です。2周目のロープを乗り越えるとき、ロボットを傾けて足を順番に伸縮させる方式でした。車幅があるのでタイヤをかなり高く上げる必要があり、機体が傾いてヒヤヒヤしました(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=5964)。白虎の走行性能が高いのは秘密があります。グリップの強い車輪が同じ方向に向かって素早く駆動力を発揮するため、効率よく力を伝達できます。その特徴が走行時によく出ていましたね。
和田:長野の「よっこらShot」は見た目どおりのパワフルな機体で低重心で安定していました。2輪のタイヤとソリがついています。タイヤが大きくて重いので、なかなか制御が大変だったかもしれませんね。
花守:第4試合は大きなロボット同士の対決でしたね。見た目からいうと苫小牧の「キャサリン」のデザインへの力の入れようが目を引きました。デザイナーの思いが詰まった独創的な世界観を醸し出していましたね。一方、熊本の「Highbrid」のデザインはシンプルですが、力のあるパワフルマシンでした。クローラーとメカナムホイールという異なる駆動方式を使っているのでハイブリッドという名前になっています。
和田:この試合は旭川の「クグラン」が前日のテストランから通信障害を抱えていたので心配でした。やはり途中から動けなくなってしまい残念でしたが、フルーツを取れて試合の駒を進められた点は幸いでした(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=7701)。クグランは、名前のとおりロープの潜り抜け機構を工夫し、欠けがある輪っかでロープを機械的に渡すアイデアを取り入れていました。段差のほうはクローラで走破していましたね。
花守:佐世保の「響嵐」は空気で脚を上下させて段差を乗り越えていました。ロープ越えは低車高なので、そのまま高速で通り抜けるしくみ。ハイライトは、何といってもフルーツの採り方にありました。機体中央に風を送る機構があり、センターゾーンのフルーツを風力で落とし、機体上部のカゴで受け止めるアイデアです。長野のアイデアと似ていますね。やはり風力でフルーツを落とすのは難しく、あと一歩という感じ。最後にミックスフルーツがひとつ採れたときは会場も大いに沸きましたね(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=7842)。
和田:この試合は両者とも大きなボディ同士の戦いで、機能的にも似ていましたね。鈴鹿の「鈴鹿夜行」は巨大なメカナムホイールを自作して段差を乗り越えていました。何よりも「おばけ機構」と呼ばれるロープのすり抜けが非常に上手くいっていました。東京高専のSφPNIRと同様のしくみです。フルーツの採り方は、アームグリップのスポンジで把持しますが、ロボットを停止した状態でもグリップが微調整できるように工夫され、位置を決めやすかったようです(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=8196)。
花守:北九州は私の母校ですが、この「ベストハーベスト」もロープの潜り抜けは鈴鹿と同様にメカで解決していました。。(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=8124)。また段差の乗り越えは、扇形のプレートが角材と接触しながら回転する方式で、あたかも大きな車輪のように機能させる点がユニークでした。
花守:この試合もユニークな機体同士の戦いでした。富山の「GOちゃん」は、あえて凹む唯一無二のエアレスタイヤを3Dプリンターで自作し、スムーズに段差の乗り越えを実現していました(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=8624)。1個作るのに100時間もかかったそうです。タイヤが持つクッション性により、エアなしで使えるようにしたもので、宇宙探査のローバーなどで使われている車輪です。このチームは2年生が主体で、限られたリソースを上手く使って勝ち上がってきた点が凄いですね。
花守:小山高専のデザインは毎回ロボコンの見どころの一つです。外装に至るまでのストーリーが作り込まれていること、障害物のクリアなどの動き方も特徴だと思います。見習いのケーキ職人がフルーツを収穫して、未完成だったケーキを完成させていく様をイメージしています。
井上猛雄
産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、株式会社アスキー入社。「週刊アスキー」副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにエンタープライズIT、ネットワーク、セキュリティ、ロボティクス、組込み分野などを中心に、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書は、「災害とロボット」(オーム社)、「キカイはどこまで人の代わりができるか?」(SBクリエイティブ)など。
【1回戦】第1試合 鶴岡高専 vs 高知高専
なぜ、このようにロボットのコンセプトに差が出るかというと、競技のルールにあります。障害物に角材段差ゾーンと、ロープゾーンがあること、さらに得点源となるフルーツが高所に配置されていること、この「死の3重奏」が織りなす競技の難しさにあります。それをどうクリアしていくかで、各チームのロボット設計が異なってくるわけです。とりわけ難所となるロープのクリア方法については、「ロープを跨ぐ」「ロープをくぐり抜ける」「ロープをすり抜ける」「ロープを踏みつける」という選択をしなければならず、そこでロボットの構造が決まってきます。その選択の違いが如実に第一試合から現れていますね。
和田:コンセプトについては、どの選択も正解なのです。どういう戦略で試合を戦っていくかで、各チームの個性が出てきますね。かっとび君は低い車高でロープをくぐり抜けるタイプで、fruity bearは脚を上げてロープを跨ぐタイプになっています。かっとび君は名前のごとく、シンプルなボディで機体が飛ぶように高速走行します。
花守:かっとび君はタイヤがすごく小さく、ロボットの前に付いたソリで車体を斜めにしながら勢いよく段差を超えていくのが大きな特徴で、関係者の間では注目されていましたね。
和田:そうですね。段差を乗り越えるというよりも、ロボットの勢いで一瞬ジャンプするという感じでした。この場合、着地したときの衝撃が大きく、ロボットが壊れてしまいかねないので大丈夫なのかな? と見ていてドキドキしましたが(笑)、こういった気持ちにさせてくれるのも高専ロボコンを見る楽しみのひとつですね!(https://www.youtube.com/live/dDdRVrF7438?si=daWfF69g4FrQQlIv&t=5310)
花守:一方、高知のfruity bearは、脚を上げて段差やロープを超えていくので動きが安定していました。センターゾーンのフルーツを採るときは、下からフルーツを押し上げてS字フックを外す手法を採用していました。この方式が今回の試合でかなり多かった手法だと思います。
和田:フルーツを採る際には、どうやって採れば良いのかわからないため、まずルールが公開された時点で、どうやれば具体的に上手く採れるのか、手がかりを考えることから始まります。たとえば高専生がホウキなどを使って実際に競技を行い、あれこれと試行錯誤している様子が目に浮かびますね。我々も同じようなことを昔やっていましたから(笑)。それによってロボットのしくみを考えて、いろいろな機構のアイデアが生まれてくることを想像するのも、高専ロボコンを見るうえでの醍醐味のひとつになると思いますよ。
第2試合 徳山高専 vs 福島高専
和田:こういうアイデアを思いついても、世の中では部品も売っていないので、自分たちで作らなければなりません。そこで材料を選定して、「柔」と「剛」のちょうど良いバランスを保持できるような園芸用の針金に辿りついたのは素晴らしいですね(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=5933)。
和田:それからプルトスワローは展開機構も特徴的でした。通常だと畳まれたアームが展開するのですが、「火の見やぐら」のような箱型の昇降機構になっており、剛性が高い点がポイントでした。とても丁寧な作りでしたね。白虎のほうは、おたすけアイテムの2つの細いアームをフラフラさせながら上下に動かしてフルーツを採っていました。フィールドに落としてしまったフルーツを、ブラシ状の部品で引っ掛けて回収できる機能が付いていたのも特徴でした(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=6016)。
第3試合 長野高専 vs 香川高専(詫間)
花守:長野は外周のフルーツを採らないコンセプトで設計されています。とにかく2周目のセンターゾーンに早く入って、フルーツを採る作戦でした。フルーツの採り方も独特で、ゴミを掃除するブロアーを利用し、その風力で下から上に釣り竿を一瞬だけ高く伸ばしてフルーツを押し上げる方式を考案しました。シンプルに作ることを心がけ、モータ類も5個ぐらいしか使っていないようです(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=6427)。
和田:機械的に展開して重心を高くするよりも、下にすべてのユニットを集め、フルーツを採るときだけ釣り竿を風で上げるという発想は素晴らしいですね。ただフルーツを採るときの位置合わせが難しいという弱点もありました。
花守:そのためフィールドのX軸とY軸に人を配して、ロボットの位置決めポイントを手の動きで「もっと右もっと左」というように合図しながら決めていましたね。だから超巨大な「人間クレーンゲーム」をしているようなイメージです。この辺が今年の競技の難しい点だったかもしれません。
和田:フルーツを採る際のロボット位置決めにカメラの画像処理を活用して解決するチームもありました。ただし、やはり自分が競技者であれば人による方法が最も確実だろうと感じました。
花守:対戦相手の香川のFlawlessは大会最高クラスの車高です。障害物をクリアするために、脚を上下させて越えるのですが、その駆動源に空気を利用していました。ただ、そのエアタンクの位置が高く、重心が上にあります。定石では重心を低くするのですが、機体中間部に配置したのは、勇気ある設計だと感じました。脚まわりには2種類のタイヤを使っており、柔らかいウレタンタイヤと中脚のメカナムを使い分けている点も大きな特徴でした(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=6465)。
和田:香川といえば、やはり先輩から代々引き継いでいる伝統のプロポの話も外せません。ラジコンで使うコントローラですが、15年前ぐらいから同じものを使っています。なぜ、そんなに古いものに拘るのかと思われるかもしれませんが、国技館は電波的にかなり特殊な会場で、けっこう電波障害が多く、本番でトラブルが発生して本来の力を発揮できずに負けてしまうチームも多いのです。このプロポは、若干ですが通信帯域から外れているようで、干渉を避けられるようです。だから本番で使っても「絶対に大丈夫」ということでずっと使っているわけです。
第4試合 熊本高専(八代)vs 苫小牧高専
和田:ただ、そういう意味ではキャサリンも異なる方式の車輪を使っているのでハイブリッドとも言えます(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=6789)。キャサリンは機体中央に放射状のホイールがあってロープを越えるのですが、横にある脚が邪魔になるので畳む形になります。
花守:熊本のHighbridは、横に糸を張ったおたすけアイテムを機体の上下機構に取り付けて、すべてのフルーツの高さに対応できるようにしていますね。(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=6866)。
第5試合 大阪公大高専vs 東京高専
和田:大阪公大の「鴉」(からす)は、とにかく考え抜かれた機体でした。センターゾーンにいち早く入って、高得点のフルーツを取りまくるという方針が一貫していました。この戦いでは、東京高専の「SφPNIR」(スレイプニル)が通信障害でほとんど動けなかったのが無念でした。
花守:そうですね。個人的な感想ですが、東京高専のSφPNIRはフレームの組み方や板材の配置などが凄く上手くて、機構設計が本当に美しく、個人的に大好きな機体なんですよ。1台のロボットですが、物理的には2台のロボットが合体している状態と同じで、その上下のロボットの通信が上手くいかなかったため、今回は発進できなかったみたいですね(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=7173)。
和田:大阪公大の鴉のほうは、フルーツにアクセスするための展開機構の折り畳み方が凝っていました。こんなに幾重にも折り畳むと、普通なら誤差が累積してしまうのですが、ちゃんと機能しているところが凄いですね。また三脚構造で剛性を強化していました。わざわざ難しい設計にしているのは、できるだけ車高を低くして、そのままロープをすり抜けたいからです。その辺に強い拘りを感じました。
花守:鴉が動くしくみは、段差を超えるための大きなタイヤとクローラ(キャタピラ)を利用し、前からも後ろからも段差を乗り越えられる機構になって脱出できるようになっています。さらに福島の白虎と同様に、4つの車輪が独立で動きます。(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=7213)。これだけのサイズにこんなに多くの機構を入れ込むのは凄く大変です。あとで聞いた話ではひとつの機構に一人の設計者が付いていて開発したようですね。
和田:そういう分業体制で設計すると、それらを取りまとめる人も大変ですよね。私も同じような立場で仕事をしたことがありますが、みんながやりたいことを入れ込もうとするので、それを最後にまとめることに苦労します。そのへんの開発体制をどうやっているのか、我々もマネジメントを参考にしたいですね。
第6試合 旭川高専 vs 佐世保高専
第7試合 鈴鹿高専 vs 北九州高専
第8試合 富山高専(本郷) vs 近大高専
和田:一方、近大の「moggy」はキリンのような風貌が印象的でしたね。脚回りに全方向に動くオムニホイールというタイヤを4つ採用していました。またフルーツのモギ方も、オペレータの手の動きにハンドが連動するしくみなので、見ていて大変面白かったですね(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=8781)。
第9試合 長岡高専 vs 仙台高専(広瀬)
花守:9試合目では、ロボットの展開機構が両チームともパンタグラフ式を採用していました。見た目では長岡の「ダブルラリアット」のインパクトが強かった印象です。おたすけアイテムのダブルアームが折れそうな感じでヒヤヒヤしました。機械屋的な視点で萌えてしまうのは、やはりおたすけアイテムの機構です。動力を根元にある3つのモータに集約させて、滑りのないベルトと3枚のギアでアーム先端まで動力を伝達しているところが素晴らしいですね。たぶんベルトが上手くたわんでくれたので、アームが折れそうで折れなかったのではないかと想像しています(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=9177)。
和田:仙台の「フルーツ狩り体験」もパンタグラフ式の展開機構になっていました。縮小時にロープの下をそのまま走り抜けます(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=9115)。脚回りは4輪の自在ホイールを用いており、全方向で移動していました。原因は不明ですが通信不良か何かのトラブルがあり、思ったように動作しませんでした。
第10試合 小山高専 vs 鳥羽商船高専
和田:母校の小山は見せるロボットに拘ってきました。ワンダフルケーキ君は、とにかく一周目のフルーツを確実に採ることが目標で、お菓子に見立てたクシでキウイを引っ掛け、グラスを模した大きな口に入れるスタイル。電波状況が悪くて、無線コント-ラーで操作するのが大変そうでした(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=9483)。
花守:それからロープのすり抜け方も、前方の口を開けるという細かい演出があって可愛いかったですね。おなかの中に上下の機体を支える機構が3ヵ所あり、そこを順次開放しながらロープを通していました。前面から見ると、タイヤが絶妙な感じで斜めに設置され、ロープの傾きに合わせていることがわかりました。タイヤ径をできるだけ大きくするための工夫だと思います。そうすることで一回転あたりの進行速度も上がりますから。
和田:鳥羽商船の「ろーりんぐあたっく」は、観覧車のようなリムレス大車輪が大きな特徴で、これによりロープを跨いでいきました。ロープを跨いだあとに前傾姿勢を取って、地面に付いた前輪をローラで回してロープから脱出するしくみでしたね(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=9515)。
花守:ろーりんぐあたっくは面白い機構でしたが、旋回に時間がかかりすぎた点が弱点でした。あと少し早くスタート地点に戻れば高得点をゲットできたはずですが、いかに一周目に速く回るかによって、採るべき戦略が変わってくる点も見どころになっていました。
第11試合 阿南高専 vs 沖縄高専
花守:阿南高専の「果糖丸」は地区大会から全国大会に向けて、かなり機体を変更してきたようでした。大幅な変更を加えるのは勇気がいることなので、チャレンジしてきた感じでした。見どころとしては、パンタグラフの展開方式が安定しており定評があったことだと思います。またL字にベルトが張られており、上からロープを常に後ろに繰り出せるように工夫していたことも特徴でした。全国大会はロープが地区大会より低くなっており、引っ掛かってしまったようですね(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=9930)
和田:沖縄の「獅子舞プロジェクト」は、もぎもぎフルーツの言葉どおりに、獅子舞が口をパクリと開けてフルーツを飲み込むというダイナミックな動きが印象的でした(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=9856)。本大会では獅子舞の首の自由度をひとつ加えてコミカルな動きになっているのも面白かったですね。
花守:そうですね。ロボットがキャラクターとして完成しているという点でいうと沖縄が一番良かったかもしれません。フルーツを採るという行為を目的にするなら、本来は必要ない機能なのですが、わざわざ演出のための機能を満載していました。ロープのすり抜けも獅子舞の脚上げと連動しながら動かしている点も大好きなポイントでしたね(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=9896)。
特に沖縄高専の場合は、名前の獅子舞プロジェクトでわかるように、2020年の大会から先輩が開始した獅子舞ロボットから始まり、2021年の獅子舞の頭部製作や、2022年のロボットとオペレータが連動するコントローラの開発、2023年には仲が良い都城高専の「フルーツを食べる機構」まで載せていました。そういった過去から引き継いできたロボットのオマージュとして、さまざまな機能が詰め込まれていることも見どころになっていますね。
第12試合 広島商船高専 vs 産技高専(荒川)
花守:この試合は、両者とも重心が高い機体の対決で、なおかつ脚回りのメカが独創的で、他に例を見ない作りが目をひきました。まず広島商船の「風鈴崋山」は、人力車のような3輪リムレスホールを採用して高速走行し、ロープを安定して跨ぎました(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=10278)。今回はリムレスホイールも何チームか採用していましたが、スポークにも各チームそれぞれに拘りがあったようです。スポークが少なすぎると回転時にガタガタします。一方でスポークが多すぎると、今度はロープに引っ掛かるリスクが高くなり、段差乗り越えで引っ掛かりにくくなります。
和田:そういう視点で見ると、広島商船と鳥羽商船の機体は対照的で面白かったです。広島はリムレスホイールのスポークがスカスカで、逆に鳥羽は密に詰まっている構造でした。
花守:産技の「Fruits Full 2」も脚回りが目を引きました。複数のギアで動く装置を自作し、ロープを踏みつけながら乗り越える、大会唯一の方法を採用しました(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=10285)。また正面から見たときは普通の4輪車なのですが、ユニットの間隔を中心方向に縮めることで、一時的に3輪車的にしてロープ中央の弛みを乗り越えて通過する工夫もユニークでした。
和田:フルーツの採り方は、広島商船の場合、2つのおたすけアイテムでS字フックの中に引っかけて、上に振って傾けながら2個同時に採っていました(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=10331)。産技もおたすけアイテムでフルーツをフックから外す方法をとっていました。当初は産技のほうが得点を取っていましたが、最後に両チームともスタートゾーンまでギリギリで戻れて、フルーツを多く採れた広島商船が逆転しました。帰還するタイミングの妙と冷静な判断が素晴らしかったですね。
第13試合 豊田高専 vs 呉高専
花守:呉高専の「♭HARVESTER」は極薄でロープをすり抜け、かっこよくて大好きでした(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=10738)。肉抜きで軽量化し、F1みたいなレーサーの血と無骨な良さを感じました。サスペンションもF1の「プッシュロッドサスペンション」を使用しています。ロボットの前が上がり角材を乗り越えました(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=10745)。
呉は展開にパンタグラフ方式を採用し、動力源はモータと動滑車を組み合わせたウインチを採用していました。そこにおたすけアイテムを付け、フルーツを斜めから採っていました(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=10797)。面白いのは熊手をベルトで回していること。フルーツを掻き込んで押し込むような動きがオシャレですね。ただ残念だったのは、帰還する際にパンタグラフを縮めてフルーツのカゴを後ろに移動させるため、重心位置が後方にずれ、段差の乗り越えが難しくなってしまったこと。呉は悔しかったでしょうね。
和田:豊田のほうは外観だけ見るとファンシーな感じですが、実はハイテクが満載されていました。よく見るとおたすけアイテムに特殊なカメラが搭載されており、フルーツとの奥行の距離を認識し、カメラ映像からフルーツの位置と種類をAIで割り出していました。フルーツ画像を6万枚も学習させて検出できるようにしたそうです。豊田はこれでミカンとキウイを一気に3つ採れました(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=10829)。
【2回戦】第1試合 和歌山高専 vs 高知高専
和田:第2回戦の第1試合は、地区大会で400点超えの高得点を獲ったシード校の和歌山高専が出場しました。ところが、ここで誰も予想しなかった大波乱が起きました。同校の「剛機果断」が敗退してしまったのです。まさに国技館には魔物がいるという感じでした。剛機果断は最初の段差超えのとき、黄色ラインを踏んでリトライになりました。これだけならリカバリーできたのですが、2回目のロープすり抜けの失敗が痛かったです(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=11499)。
花守:和歌山のエラー原因ですが、剛機果断は上下に連結部があって、それが上手く機能しなかったようです。ロープすり抜け時に、機体の上部と下部が分離して元に合体する際に、かみ合わせができなくなったのではないかと推測されます。
和田:本来であれば、トラブルが起きても正常な状態に戻して冷静に次に進む行動が求められるのでしょうが、こんな緊張した場面では自分でも上手く対処できる気がしないですね。このエラーは今回初めて経験することだったのかもしれません。
花守:確かに機体の上部と下部が外れてしまうのは、かなりの大事件だったと思います。これを直すためには、2人で上部を抱えて、下部とのかみ合わせ位置を合わせる必要があります。直すための治具を用意していればリカバリーできたかもしれませんが、後だしジャンケンで見ている我々は何でも言えますから、現場は大変だったでしょうね。これはもう想定外の想定外で、本当に運が悪かったとしか言いようがありません。
和田:我々も実際に本大会で何度か操縦した経験があるので、普段どおりの力を本番で発揮するのは本当に難しいことだと実感しています。
花守:すべての風景がまったく違ってみえたりしますからね。ロボットの速度すら違う気がしました。だから和歌山に限らずに、本来の力を発揮できなかったチームが全国大会に至るまでに努力してきた経緯もしっかりと見て欲しいと思います。彼らもX(旧Twitter)などのSNSでたくさん情報を発信していますから。
和田:高知のほうは脚のタイヤの先についた「ピロピロ」(結束バンド)が、ロープを超えるときに上手く補助する働きがあり、これが地味に良い仕事をしていましたね。身近なものを使って、いかにアイデアとして落とし込むのかも高専ロボコンの面白いところだと思います(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=11447)。
花守:この試合では、香川が序盤の段差で転倒するアクシデントに見舞われました。第1試合のときに指摘させて頂きましたが、やはりエアタンクが上にあり、重心の位置が高かったことが裏目に出てしまったようです(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=11852)。今回のような高身長タイプの機体に起こりえるリスクでした。
和田:福島の白虎の戦略は一周目にフルーツを採らず、とにかく早く2周目のセンターゾ-ンに入って高得点を狙うというものでした。ただリトライのリスクもあるため、やはり1周目でフルーツをしっかりと採ってきた香川の戦術の勝利という感じですね。
第3試合 熊本高専(八代)vs 大阪公大高専
和田:ネタバレになってしまいますが、実質的な決勝戦1試合目ですね。基本的に大阪公大は前試合の白虎と同様にセンターゾーンに入る戦法ですが、それがピタリとはまった感じでした。
花守:先ほど一周目にフルーツを採らないところがリスキーであるという話をしましたが、本競技ではセンターゾーンを先に制するのは勝利には必須です。だから「リスクはあるけれども、それでもやろうね」というのが大阪公大のコンセプトです。鴉は一週目の戻りが20秒、2周目のセンターゾーンには40秒ぐらいで入っていました。そこからセンターを完全制覇して、おたすけアイテムのアームを斜めに傾けながら、立ち位置を変えずにアームを動かしてフルーツを採り、同時に対戦相手である熊本のHighbridの進入を上手くブロックしていましたね(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=12433)。
和田:対戦相手をセンターゾーンに侵入させない戦法がルール上で認められていました。ルールブックの規定をしっかりと読み、戦略を立ててシミュレーションし、実行することの大変さと重要さがみどころの一つだと思います。熊本も反対側からセンターに入るアプローチや、鴉の帰還を阻止するという手段もあったのですが、その場合でも鴉はセンターゾーンの前後から脱出できる構造なので、逃げることができてスキがなかったですね。
第4試合 旭川高専 vs 鈴鹿高専
花守:鈴鹿夜行は試合を通じて安定性がありましたね。ロープすり抜けの「おばけ機構」も見ていて気持ちがよかったです(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=12843)。鈴鹿はカーボン素材でできたプラスチックを伝統的に使うチームですが、フレームが折れたときにガーゼで巻いてギプスのようにして接着剤で固める修繕方法を採用していると聞いたことがあります。こういう方法もあるのか! と感心しました。
和田:一回戦でも少し触れましたが、フルーツの採り方もおたすけアイテムのグリップにスポンジを使って優しく把持しています。3本爪のうち2本の爪が動くようになっていて、フルーツを離したときに可能な限り同じ方向に落下させるような点も細やかな配慮になっていました。
花守:一方、旭川のクグランはリトライ後に上手く稼働できず、そのままタイムアップしてしまいました。前日のテストランから通信が不調だったようで本当に残念でした。このあたりは運営側にも何とかしていただきたいところですが、昔は電波管理委員会というものがあったそうです。この環境で動かすのに毎年、各チームが苦労しています。
和田:そうですね。通信系や制御系や回路系はロボットのインフラまわりなので、それこそ動いて当たり前と思われるかもしれませんが、そのぶん担当者のプレッシャーは相当大きなものになっています。陰で支える「縁の下の力持ち」的な存在として、ぜひ彼らの尽力にもスポットを当ててあげたいですね。
第5試合 近大高専 vs 長岡高専
和田:とにかく自分たちが実現したいことをやるチーム同士の戦いだったので、見ていて本当に面白かったですね。実際にお互いに上手くやっていました。近大のmoggyはキリンのような長いアームでフルーツにアクセスしてモギモギして可愛かったですね。
花守:確かに人気投票があったら上位に来そうだなと感じました。一方で、個性的な長岡のダブルラリアットは、単に見せ場づくりだけでなく、着実に設計して安定して動いていました。1試合目に続いてダブルでフルーツをもぎ取れたのも大きな見どころでした(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=13285)。
第6試合 小山高専 vs 沖縄高専
和田:第6試合も個性的なロボット同士のバトルになりました。こちらはお互いにフルーツをパクリと食べるタイプのロボットが集まりましたね。得点も僅差で高専ロボコンらしい良い試合でした。
花守:小山のワンダフルケーキ君のロープすり抜けは、マニュアル操作で頑張って凄い技量だと感じました。それから沖縄の獅子舞プロジェクトは、ロープを跨ぎ終えた後に喜んで口をパクパクさせる操作が好きなんです(笑)。これもオペレーターの手動のグローブセンサーと完全連動していました。こういう遊び心は良いですね。
和田:そうでうね。もちろん勝負は大事ですが、制限時間内に可能な限り見せ場をつくる心意気が素晴らしいですね。こういうロボットは、競技の余白でどのくらい遊べるかということも大事ですし、これが高専ロボコンならではの見どころの一つだと思います。そういう点では、沖縄の首の軸はかなり注目でした。首をかしげられることで、喜びの表現の豊かさが一気に増し、エモーショナルなポイントになりました。この首の狭い空間に、さらにロールの1軸を追加するのは。エンジニアリング的に大変なことですが、それにあえてチャレンジしていました。
花守:それから沖縄の小獅子がくるくるとアクロバットのように回転してフルーツを落とす所作も面白かったです(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=13736)。このおたすけアイテムは、一昨年の競技課題で獅子がオーバーヘッドキックをしたときのセルフオマージュになっています。
あと小山のアイテムのほうは、お菓子のデザインが統一され、ウエハースや棒状チョコなども細かく配置されてキレイでしたね(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=13754)。サイズ制限で機体のお尻のイチゴが切られたというエピソードもありました。
第7試合 広島商船高専 vs 豊田高専
花守:この戦いは、広島商船の風鈴崋山に得点能力的に分があるという下馬評でした。風鈴崋山は大きな車輪が特徴的ですが、機体の下におもりを載せて重心を低く寄せているので、突進して機体が傾いても転倒しないようでした。
和田:おもりが乗っていて重量があるため、人間を引っ張れるくらい強いモーターを3つも使っていましたね。
花守:それから豊田のCATchくんのロープ潜りの機能は面白かったですね。機体の中をすり抜けるタイプですが、普通だとセンサーでロープを見て、上部と下部を繋ぐ支柱を解除していくのですが、CATchくんは3本の支柱を解除するためのバーを、ロープと同じ速度で連動させながら、並走していくことで、上手に送り出せるようになっています。機構の技術に面白さがありました(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=14153)。
【準々決勝】トーナメント表
第1試合 高知高専 vs 香川高専(詫間)
花守:準々決勝の第1試合は、高知のfruity bearと香川のFlawlessという四国同士の戦いになりましたね。この試合は、そこそこ重心が高く、脚の上下で段差を越えるという同じ機構のミラーマッチでした。ほぼ速度も同じぐらいでした。準々決勝ぐらいになると、どれも高レベルな仕上がりにしてきますので機体の差がつきにくかったです(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=16124)。
和田:fruity bearはおたすけアイテムのアームが2本、Flawlessは1本でしたが、この状況ではフルーツの収穫にあまり影響がありませんでした。香川はブドウを1個採れた段階で、30秒を残して帰還したのは英断だったと思いますが、ミックスフルーツを落としたことが痛手になりましたね。最終審議でベスト4に勝ち進んだのは高知でしたが、本当に僅差の良い勝負でしたね。
第2試合 大阪公大高専 vs 鈴鹿高専
和田:この試合は安定感のある機体同士の対決でした。鈴鹿夜行はセンターゾーンに入らない戦略を取りました。外周を回ってフルーツを採ることで、大阪公大の鴉にプレッシャーを与え、ワンミスを狙うというものです。いつもの戦いどおり、鴉が先にセンターゾーンに入り、時間いっぱいまで高得点のフルーツを採りました。しかし、ぎりぎりのせめぎあいの中で、鈴鹿も非常に良い動きをしていましたね。これでも負けてしまうのかという感じ。それだけ大阪工公大の機体が群を抜いていたのかもしれませんね。
花守:そうですね。大阪公大に先にセンターゾーンに入られると、あとはブロックされてお手上げになるのですが、それでも攻略法として周回してフルーツを採りまくって、反対側からセンターゾーンに素早く入りました。とにかく鈴鹿は手札をすべて切りました。こういう戦いを他チームに対して示せたのは素晴らしかったと思います(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=16784)。
第3試合 長岡高専 vs 小山高専
花守:第3試合は戦い方もコンセプトも対照的な機体の戦いですね。小山のワンダフルケーキ君はゾーンごとに機体のマカロンのカラーが変わっていますね。青ゾーンになるとマカロンも青くしています。こういう細かい拘りは好きです(笑)。
和田:試合では両者とも最初のロープに引っかかってしまいましたね。特に長岡はリトライ時間が後に影響し(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=17312)、結果的に51点で負けてしまいました。小山は確実に外周のフルーツを採りにいく作戦が功を奏して60点で勝てました。通信環境が厳しく、タイムラグが発生するなかで、よく頑張ったと思います。
第4試合 広島商船高専 vs 熊本高専(八代)
花守:この試合は広島商船がセンターゾーンに先に入ってブドウを採りましたが、ミックスフルーツを2つとも落としてしまったのは残念でした。こういうとき回収機構が役立ちます。あとから熊本もセンターに入り、フルーツを採れたのが勝利の要因でした(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=17929)。
和田:この試合は、どちらもミスらしいミスはなかったですね。ここまで勝ち上がってきたチームは実力も伯仲しています。あとは耐久力の勝負でしょう。段差の衝撃も確実に吸収する機構でないと、だんだん機体が壊れやすくなってきますからね。
【準決勝】トーナメント表
第1試合 高知高専 vs 大阪公大高専
花守:準決勝の高知と大阪公大の戦いですが、やはり公大がいち早くセンターゾーンには入りましたね。高知のfruity bearは、準々決勝で鈴鹿が大阪公大と対峙したときの作戦に倣った形ですが、外周を2周回って着実にフルーツを拾っていく作戦。それに見合うスピードがありました。
和田:大阪公大のほうは始終安定していましたね。センターゾーンでフルーツを採りまくり、フルーツを落とした場合に備えて回収機能まで用意していましたね(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=18613)。それでも230点。一方で、高知は外周を回り191点まで得点を伸ばして接戦に持ち込みました。fruity bearに通信トラブルがなければ勝負の行方はわからなかったでしょうね。
第2試合 小山高専 vs 熊本高専(八代)
和田:小山は準決勝まで来れたのでOBとしても嬉しかったですね。自分は5年間かけて3試合ぐらいしか戦えなかったので、ここまで試合ができて羨ましいです。この試合でも外周だけで60点をコンスタントにあげて安定した戦いぶりでした。とにかく丁寧に戦って、ワンチャンを狙おうとしていました。
花守:熊本のHighbridはセンターゾーンのミックスもブドウも採りましたが、戻ってくるまでハラハラドキドキでした。最終的に熊本が逆転しましたが、リトライになっていたら危なかったかもしれません(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=19178)。熊本は帰還してからフルーツを回収するのがトップレベルで速いと感じました。上のバケットのサイズや角度が最適化されているのでしょう。
【決勝戦】大阪公大高専 vs 熊本高専(八代)
花守:いよいよ決勝となりました。大阪公大と熊本による2回目の決勝戦になりました。やはり鴉のようにロープを下から潜るタイプは細工が不要なのでスピードも速いですね。鴉のカバーがフルーツを入れたり、ロープを越えたりする兼用機能になっていて、機能美も感じました。これまでの作戦どおり、いち早く公大がセンターゾーンを制しました。
和田:一方、熊本は外周でフルーツを採りながら、脚を上げてロープを確実に越えていきました。とにかく外周をぐるぐる回りながら3周目まで挑戦して195点を稼ぎました。本大会で3周まで動ける能力があったのは、大阪公大や和歌山ぐらいでしょうか。あと数秒あれば、熊本も3周目のフルーツを採って帰還できそうでしたが、一歩叶わなかったのはすごく惜しかったですね(https://youtu.be/dDdRVrF7438?t=21601)。
最終的にセンターすべてのフルーツを採って、400点を取った大阪公大が優勝しました。おめでとう!。
ここまで、すべての戦いを振り返ってきましたが、やはり勝負の運に左右された戦いも数多くありました。戦いに「if」はありませんが「あのときトラブルがなければ」「こう戦っていたら」ということも脳裏をよぎったでしょう。最後に全国大会まで勝ち進んできた、すべてのチームの健闘を称え、観るものすべてに感動を与えてくれたロボコン大会に感謝の意を表したいと思います。今年も感動をありがとうございました!
井上猛雄
産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、株式会社アスキー入社。「週刊アスキー」副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにエンタープライズIT、ネットワーク、セキュリティ、ロボティクス、組込み分野などを中心に、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書は、「災害とロボット」(オーム社)、「キカイはどこまで人の代わりができるか?」(SBクリエイティブ)など。
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