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家庭用
2026年03月05日
スーパーカー消しゴムをセメダインで改造して戦ってたら小学生の頃の自分が現れた
2025年某日
そして最後がレースです。ノック式ボールペンで後ろから弾いて、先にゴールした方が勝ち!以上の3つの種目で争ってください!ちなみにレギュレーションはこんな感じです。
そう、平成5年生まれの僕は、これまで一度もスーパーカー消しゴムで遊んだことがありません。名前くらいは知っていたが(『こち亀』の知識)、語り継がれる伝承の中でしか聞いたことのないアーティファクトを手に入れた気分だ。
多すぎるって。
とりあえず細筆を使って塗布してみたのですが、どうしても塗りムラが出てしまいました。この状態だとあまりスムーズに進まなさそう。
図からもわかる通り、押す力に対して逆向きにかかるのが摩擦力だ。ではなぜ、このような力が生じるのか、それには物体と床面の接触面で何が起こっているのかをミクロの世界で知る必要がある。
秋葉原にやってきた。この街にはそういった懐かしのホビーを販売する中古ショップがたくさんあるので、そこを巡るしかない。
スーパーカー消しゴムレースがはじまった
Oさん
お集まりいただきましてありがとうございます。本日は皆さんにお願いがあります。
ヨッピー
嫌です。
Oさん
話も聞いてないのに。
pato
これ、デスゲームやらされる流れだよね。
ヨッピー
絶対そうだ。このあと全員目隠しでどこかの地下空間に連れて行かれる。「それでは、お互いの鼻と口を接着剤で塞いでください。先に窒息した方が負けです」
たかや
「接着剤と割り箸を使ってビルの谷間に橋をかけ、その上を歩いてください」
pato
あー!ありそう!それだ!
ヨッピー
セメダインはとんでもない企業だな!
Oさん
落ち着いてください。デスゲームではないです。今日はぜひ皆さんに、スーパーカー消しゴムで遊んで頂きたくて。ちゃんと企画書も持って来ました!
Oさん
ちなみに、スーパーカー消しゴムはご存知ですか?
pato(49才)
わかりますよ!でも遊んだことはないなー。もう少し上の世代な気がする!
ヨッピー(45才)
僕は遊んでましたよ。田舎のおばあちゃんの家に大量にあった。
たかや(32才)
僕はまっっっったくわかりません。
Oさん
そのスーパーカー消しゴムなんですが、実はセメダインとも密接な関係があるんです。
ヨッピー
あああああああああなんか記憶にあるわーーー!タイヤに接着剤塗ってすべりを良くするやつ、確かにやった記憶がある!
pato
子どもの遊びにはやたらとセメダインが登場しますよね。メンコを改造したりミニ四駆を改造したり、食卓が接着剤でグチャグチャになって母親から「接着剤禁止令」を出される。
ただ、どちらかと言うと僕は「キン消し※」の世代だから、キン消しをセメダイン使って魔改造してたなあ。
キン消し……キン肉マン消しゴムのこと。当時爆発的な人気を誇ったアニメ「キン肉マン」の登場キャラクターの形をした消しゴム。
ヨッピー
そうそう。キン肉マンの腕をカッターで切断して、セメダインでくっつけて腕が6本ある「アシュラ肉マン」とか作ってた。
pato
ロビンマスクの体にラーメンマンの顔をくっつけると滑稽でなんか面白いんだよな。
ヨッピー
そしてスーパーカー消しゴムもキン消しも「消しゴム」って名前の癖にぜんぜん消しゴムとして使えないんですよ。
pato
そう!余計に真っ黒になる!
たかや
なんの話をしてるのかまったくわからない……。
Oさん
そんな風に子どもの遊びと接着剤は密接な関係にありますが、今では接着剤もかなり進化していますし、当時使っていた「セメダインC」よりも、さらにスーパーカー消しゴムに向いている接着剤が誕生しているかもしれないので、それを皆さんに調査して頂きたくて!
ちなみに、皆さんに競って頂く種目は以下の3つです!
・より遠くに飛ばせたほうが勝ち
Oさん
ひとつめはシンプルに、ノック式のボールペンで弾いてより遠くに進んだほうが勝ち、というゲームです。より摩擦係数を下げられる接着剤を見つけられるかどうか、がカギになります!
・消しゴム相撲
Oさん
2つめはスーパーカー消しゴム相撲です。スーパーカー消しゴムを定規で弾いて相手の車にぶつけ、相手を押し出したほうが勝ち!こちらはむしろ、摩擦係数をあげてグリップ力を強くした方が有利かもしれません。
・消しゴムレース
ヨッピー
優勝したらどうなるんですか?
Oさん
セメダイン公認スーパーカー消しゴム王の称号が貰えます。
ヨッピー
ぜんぜん嬉しくない。
たかや
令和の時代にその称号を貰って、どこで自慢するんですか。
pato
お前ら、もう少しやる気を見せなさい。
Oさん
とりあえず、各自接着剤を選んでスーパーカー消しゴムを改造して持ってきてください!
ヨッピー
えーーー。
滑るスーパーカー消しゴム作り ~ヨッピー編~
というわけでなんだか知らないけど、「スーパーカー消しゴムを接着剤で改造して対決で勝て」というよくわからないミッションを受けることになった。なので改造に使う接着剤を選ばなくてはいけない。
いけないのだが……。
接着剤の種類が多すぎる。分厚いカタログにぎっしり乗ってやがる。もはや狂気の沙汰だ。
考えてみると、レースでは摩擦係数を減らすというのが大事だし、逆に相撲は摩擦係数を増やすのが有利だろう。
考えてみると、レースでは摩擦係数を減らすというのが大事だし、逆に相撲は摩擦係数を増やすのが有利だろう。
なので摩擦係数を減らす方向では「なるべく滑らかで、硬い素材を使って接地面積を少なくするのがセオリーでは」と思い、ふたつの接着剤を選んだ。
これがそのふたつである。エポキシ樹脂は固まるとかなりカチカチになるし、「メタルロック」もなんか硬そうだから摩擦係数が低いのではないかと思った。
更にもうひとつ、秘密兵器的な接着剤も投入したので、それは試合当日までの隠し玉、ということにしておいて次のバトンをとっとと繋いでいきたい。何故ならどうせ死ぬほどの長文を書いてくるやつがいるからである。
▼ヨッピー使用接着剤(品番)▼
①エクセルエポ(CA-121)
②メタルロック(AY-123)
③隠し玉
滑るスーパーカー消しゴム作り ~たかや編~
そんなわけで、急に「スーパーカー消しゴムを改造してこい」と命令されました。
「遊んだことすらない」って言ってるのにめちゃくちゃだ。
改めまして、ライターのたかやと申します。
今回は通販で購入したため、当時出回っていた実物とは多少クオリティも異なるのかもしれませんが…。想像してたよりも車のディティールは細かい。こんなん、小学生は超好きじゃん。かっくい~。
まぁ、消しゴムとしての機能面で考えれば、ぜったい使いづらいだろうけど。
指で弾いてみるとこんな感じ。車体全体がゴム素材のため、「キュキュキュ~…ゴインッ」みたいな感じで、いまひとつ滑らかには走りません。
なるほど、だからこそ、当時の小学生は接着剤を塗布して動きをスムーズにしていたと。僕も昔は、セロテープや輪ゴムを駆使して『いかにビーダマンの締め打ちを強力にできるか』に情熱を燃やしていたので気持ちはわかります。
ここから、良さ気な接着剤を選んでいくわけですが…。ただ……
「耐衝撃」「耐水性」「速乾」。「木・紙・布・皮用」「金属・陶磁器・ガラス用」。「屋内用」「屋外用……ばかばかばか!
接着剤の成分について明るいわけでもないのに……こんな無数のバリエーションの中からチョイスするの、ムズすぎ。
とはいえ、僕はライターとして活動する中で、アナログ工作やミニチュア作品を制作する機会が多いんですよね。セメダインさんの接着剤にもかなりお世話になってます。長年の工作経験をもとに、最高の組み合わせを決めていきましょう!
そんなこんなで僕が採用した製品がこちら。
1つ目は「木工用速乾(CA-239)」。
ほとんどの人が、「木工用接着剤」で真っ先にイメージするのがコレじゃないでしょうか。僕も普段の工作でめちゃくちゃ使ってます。勝手知ったる使い心地だからこそのピックアップ。
ここで、下手に使い慣れてない接着剤を選んで、“不運(ハードラック)と踊(ダンス)”っちまう結果になるのがもっとも避けたい展開。手堅く勝利を目指させていただきます。
そこで、木工用接着剤を少量の水で溶いてから塗布。そうすることにより、水溶き木工用接着剤がいい感じの膜(まく)を作り、タイヤ表面を滑らかにすることに成功。
こういった細かい配慮に気を回せるのは大人だからこそ。見晒せ、当時のキッズたち。これが大人だ。舐めるなよ。
2つ目は「スーパーXG(AX-014)」。とにかく万能なので、自分の工作で多用させてもらってます。万能ゆえに、スーパーカー消しゴムでも活躍してくれるんじゃないかと。
さすが「速硬化」タイプ。すぐに固まるので、塗膜の厚みをキープしたまま形が崩れない。「タイヤの曲面が安定=ブレない走り」を期待できそう!
3つ目は「パーフェクトデコ(HL-003)」。
ハンドメイド作品のデコレーションやネイルパーツの固定、アクセサリー修理などなど、“細かな工作”に適した接着剤です。僕も過去の工作で何度か使ったことがあります。そして、自分が目をつけたのは「粘度の高さ」。
こういったデコレーション用途の接着剤、乾燥すると“弾性”が生まれるんですよね(あくまで僕の感覚だけど)。
先ほどの2つが「乾燥するとツルツル・カチカチ」になるのに対し、こちらは「乾燥すると堅めのゴムのようになる」イメージ。つまり、グリップ力が増す(かもしれない)。そのため、相撲バトルなら優位に立てるんじゃ?という目論見。
やはり勝負はあらゆる局面を想定してこそ。抜かりはありません。
以上! 僕がピックアップした接着剤となります!
ビギナーなりに、なかなか盤石なチョイスをできたんじゃないかと。 後輩の立場ですが……遠慮なく優勝を狙いにいくぞ!!!
▼たかや使用接着剤(品番)▼
①木工用速乾(CA-239)
②スーパーXG(AX-014)
③パーフェクトデコ(HL-003)
滑るスーパーカー消しゴム作り ~pato編~
絶対に勝ちたい!
なにに勝ちたいのかというとスーパーカー消しゴム対決だ。この対決にどうしても勝ちたい。
申し遅れましたが、ライターのpatoです。参加者のひとりとして頑張ります。
冒頭からの説明であったように、古き良き懐かしい遊びで対決することになったのだけど、この種の勝負は基本的に負けてはいけないことになっている。
僕自身は絶妙に年代がズレていて実際にスーパーカー消しゴムで遊んだ経験はないのだけど、それでも負けてはいけないことだけは理解している。
主に子ども時代に経験したオモチャを使った古き良き遊びは、基本的に勝つヤツが格上ということになっているからだ。
そう、ああいった遊びは単純な遊びの要素だけではなく、人間としての格を決定づける要素が含まれている。強い奴はヒーローだったし、弱い奴はどこかバカにされていた。それこそ子どもの世界という狭い範囲だけど僕らにとってはそれが重要だった。
先日、このスーパーカー消しゴム勝負の説明を受けにセメダイン本社まで赴いたわけだけれども、まあ、今回の対戦相手、言っちゃ悪いけど、たかや君にヨッピーですか? なんというか子ども時代の遊び対決が弱そうな人たちが相手だった。子ども時代にシュウォッチ※の連打数、町内会記録を持っていたほどの遊び王だった僕が負けるわけがない。
※シュウォッチ……1987年にハドソンから発売された連射能力測定機能付きの時計。当時「高橋名人」の全盛期で、10秒間に何回ボタンを連打出来るかで子どもたち(主に男子)の間でのヒエラルキーが決まった。
ということで、正攻法で勝利への道を模索しつつ、搦め手、汚い手なども駆使して絶対に勝ちたいと思う。これに勝つということはすなわち格上であることの証明に他ならないのだ。絶対に勝ちたい。
ということで全身全霊を賭して勝つための対策を講じる。まずは正攻法から考えよう。
今回の対戦の趣旨は早い話、スーパーカー消しゴムの摩擦係数をいかにコントロールするかという戦いになる。
スーパーカー消しゴムは読んで字のごとくゴムでできている。ゴムは総じて摩擦係数が高いので滑りにくい。よってボールペンで弾き出したときもあまり飛んでいかないわけだ。
そこでセメダインなどの接着剤を底面に塗布し、ゴムより摩擦係数の小さい固まった接着剤表面で滑りをよくする。つまりは「どの接着剤がより摩擦係数をさげるのか模索してこい」というミッションなわけだ。単純にいうとそれだけ。
接着剤を3つ選んでね、とセメダインが扱う接着剤のカタログを渡されたのだけど、正直に言うと型番だけ表示されてもなにがなにやらわからない。
カタログが分厚すぎる。
えいや、と勘で選んでもいいのだけど、それだとちょっと記事としてあれなので、きちんと理論立てて摩擦係数が下がるであろう接着剤を選定してみよう。どうせヨッピーとかは勘で選定しているんだろう。そんな人たちに負けるわけにはいかない。
そもそも、根本から考えよう。
どうして接着剤を塗布すると表面の摩擦係数が下がるのだろうか。それを知るには摩擦というものを考える必要がある。なにごともその大元から考えればちゃんと答えにたどり着くようになっている。
摩擦とは「物体を動かそうとしたときに、動きに逆らうようにして反対側に働く力」だ。
どんな物体であってもミクロのスケールで見るとその表面に凹凸がある。そこでこの物体を右に動かそうとした場合、ミクロの凸凹がひっかかる。そのひっかかりによって逆向きに力が発生する。それが摩擦力だ。
この摩擦力Fは次式によってあらわされる。
F=μN
ここでμが摩擦係数となる。これが小さいほど摩擦力Fが小さくなる。いうなればブレーキがかからなくなるのでスーパーカー消しゴムは遠くに飛ぶわけだ。
では、この摩擦係数μをどうやって小さくするか。摩擦係数を決める要因は「材料の組み合わせ」「表面粗さ」「温度」「潤滑状態」などなどだ。この中で接着剤によって改善されそうなのが「材料の組み合わせ」と「表面粗さ」だ。その中でも特に「表面粗さ」について考えてみよう。
先ほどの図を使うとこうなる。
物体の表面を接着剤層が平らに覆うことで凹凸がなくなり、床面の凹凸とのひっかかりがなくなる。ひっかからないので摩擦力も低くなるというわけだ。
つまり、なるべく表面が平らになって固まる接着剤を選定して塗布すればいい。
どんな接着剤が硬化後に表面が平らになるのだろうか。それには「溶剤系接着剤」が良いだろう。接着剤はその接着機構によって以下の3つの種類に大別される。
① 乾いて固まる
接着剤に含まれる水やシンナーなどの成分が揮発することにより、残った樹脂分が固まり接着ができる。水や溶剤が揮発する原理を利用するので、水性接着剤や溶剤系接着剤ともいわれる。
② 湿気を吸って固まる
空気中の水分と反応して化学変化をして固まる。硬化するのが総じて速い。いわゆる瞬間接着剤とよばれるものはだいたいがこれ。
③混合して固まる
A剤とB剤、2つの液を混合して反応させることによって接着する。
他にも光によって硬化するものなど、その種類は多くある。
実際に確かめたわけではないけど、この3つの機構のなかから表面が平坦になる接着剤を選ぶとすれば、それは圧倒的に①の溶剤系接着剤だと思う。
多くの場合、表面を上側に向けて接着剤を塗布する。しばらくすると溶媒が揮発して、どんどん乾いてくる。その時に残る高分子成分が接着に一役買うのだけど、その高分子成分は固まる過程でレベリングみたいなことが起こり平坦になっていくと予想される。それがちょうど物体表面の凸凹を埋める形になると期待できる。
もしこれが空気中の水分で固まる瞬間接着剤や、2液を混合する接着剤の場合、硬化した固形成分の平坦化が十分に起こらない可能性がある。むしろ、乾燥を経ないので塗布したときのままの表面が残るかもしれない。あとあまりに硬化が速すぎるのも平坦化を妨げる。
ということで、溶剤系を選択することとし、数ある溶剤系の中から特にゴムと相性の良さそうな接着剤を選択することとした。
最初に選択したのが「575F」だ。
こちらの575Fはもちろん溶剤系接着剤で、おもにゴムや金属の接着に用いられるものだ。たぶんスーパーカー消しゴムとの接着の相性はいい。同じゴムだから。アセトンなどの溶媒が揮発して最終的にクロロブレンゴムが残って固まる。
クロロブレンゴム系接着剤と呼ばれる一連のシリーズの中で、もっとも粘度が低いものを選択した。
粘度が低いということは接着剤の流動性があるということなので、表面の凸凹を埋めるように広がる。粘度が高く流動性が悪いと凸凹を埋める前に硬化が始まるおそれがある。
2本目にチョイスしたのがこちら。
ニトリルゴム系の接着剤「542」。パッケージが品名や注意事項などを書いただけの白い箱しかないことからもガチで業務用の接着剤だと思われる。
こちらもさきほどの575Fと同じアセトンが揮発する接着剤で、同程度の粘度をもつ接着剤だ。ただし、さきほどの575Fが揮発後に残る成分がクロロブレンゴムなのに対して、こちらはNBR(ニトリルゴム)だ。ほぼ同条件の接着剤で残る高分子成分が異なるとどうなるか知りたかったためにチョイスした。
3本目にチョイスしたのが「201F」だ。
こちらも溶剤系の接着剤で、粘度も同程度だ。ただし、揮発後に残る高分子成分が塩化ビニル系樹脂になる。上記2つがゴム成分が残るのに対してそうでないものが残った場合にどうなるのかを知るためにチョイスした。
これら3つの接着剤を試験用の消しゴムに塗布し、一定の力で押し出した時の移動距離を測定した。結果を示す
201Fを塗布した試験片だけが大きく移動距離を伸ばしていた。未処理のものと比べると2倍以上になっている。期待どおり、接着剤表面の平坦化が起こり、摩擦係数が低下したと考えられる。
一方、542、575Fの接着剤を塗布したものは移動距離が伸びていない。それどころか未処理のものより低下している。これら2つは揮発によって残る接着成分がいずれもゴムである。ゴムは一般的に柔らかい材質であるので、床面の凹凸と絡み合って摩擦が増大すると考えられる。
よって、ゴム成分が残るタイプの接着剤は塗布によっ て摩擦係数が増大すると考えられる。ただし、これらの結果は物体の材質、床面の材質、押し出す力によっても大きく変わる可能性があるため、あくまでも現在の条件での結果と理解することが大切だ。
この結果より、スーパーカー消しゴム勝負には「201F」を使うのが適切と分かった。しかしながら、まだまだ不十分である。おそらくもっと摩擦係数を下げられる可能性があるからだ。
そこで、201Fを塗布した試験片に対して、乾燥後にさらに201Fを塗布して繰り返し試験を行った。塗布回数ごとの移動距離の変化を以下に示す。
塗布回数が増えるにしたがって移動距離が増加している。これは繰り返しの塗布によって平坦化がさらに進んだためと考えられる。
一度の塗布では平坦になりきれなかった表面が繰り返しの塗布によって平坦になるためと考えられる。6回の塗布で移動距離に変化が見られなくなったので、この条件では平坦な表面を実現するのに六度塗りが必要であることがわかる。
ということで、結論として、スーパーカー消しゴムに塩ビ系接着剤である201Fを六度塗りすることにより、めちゃくちゃ摩擦係数が下がる可能性があることがわかった。
ただし、勝つためにやることはこれだけではない。長い解説にすっかり忘れたかもしれないが、これは人間としての格を賭けた戦いなのだ。負けるわけにはいかないし、勝つためにまだできることはある。
もう一度、摩擦力の式を思い出してみよう。
F=μN
ここで摩擦力Fは摩擦係数μに比例すると述べた。摩擦係数μが小さくなればFも小さくなるからだ。しかしながらもう1つ忘れている。Nを小さくしても摩擦力Fは小さくなるのだ。
では、このNとはなんなのか。
もういちど、物体にかかる力を見てみよう。
物体には重力mgがかかり、それと釣り合う形で垂直抗力Nがかかっている。この垂直抗力Nはm(物体の質量)×g(重力加速度)となる。ここを小さくしても摩擦力は小さくなる。
ただし、Nを小さくするのに、gはほとんどいじれない。gは重力加速度なので地球上でやる限りそうそう変わらない。よってmである物体の質量を小さくすれば摩擦力も小さくなる。
つまり、軽いスーパーカー消しゴムを使えばさらに摩擦力を小さくできる。
そこで登場するのが、今回の戦いに使用するスーパーカー消しゴムだ。これ、Amazonで購入したのだけど、これを見たスーパーカー消しゴムを知る世代の人々が口々に言う言葉がある。
「なんかデカい」
これ、子どもの時に遊びに使ったスーパーカー消しゴムより大きいらしいのだ。令和の時代にネット通販で入手するスーパーカー消しゴムは大きいらしい。
「ということは、当時の小さいスーパーカー消しゴムを入手したら勝てるのではないか?」
当然ながらそう考える。小さいということは軽いからだ。
おそらくバカの二人は同じところで購入しているので同様に大きなスーパーカー消しゴムを持ってくるはずだ。
なにせ、セメダイン本社でルール説明を受けた際に「使用するスーパーカー消しゴムのレギュレーションはなし。各自で好きなものを準備する」となっていた。このルールを聞いた瞬間に「軽いヤツ準備したろ」と考えていたので、詰め寄って何度も確認したから大丈夫だ。スーパーカー消しゴムはどんなものを用意してもいい。
ということで、必勝を期するため、皆さんのノスタルジーの中にある小さなスーパーカー消しゴムを探すことにした。
ただし、ネットでいくら探しても小さいものは見つからなかった。というか、多くの人々がスーパーカー消しゴムの大きさをあまり気にしていないようで、そもそも大きさの表記がないものがほとんどだった。
「ということは実店舗で探すしかない」
これだけ探しても当時の大きさのスーパーカー消しゴムが見つからないということは、もう製造されていないか、あるいはかなり製造数が少なくて見つけにくいかだと思う。だから、令和産のものを探すのではなく、当時のものを探すことにした。
結論からいうと、見つからなかった。スーパーカーのミニカーなどは豊富にあったし、懐かしのキン消しなどはワンフロアで大々的に販売する店などもあったけど、そもそもスーパーカー消しゴムが存在しなかったのだ。令和の時代に実店舗でスーパーカー消しゴムを見つけるのはかなり難易度が高い。
「たまに買取で入ってくることあるんですよ。その時は押し出し用のボールペンとセットで販売するんですよ。ただ、いまは在庫がないですね」
ある店舗ではそのように言われた。たまに入ってくるようだけど今はタイミングが悪かったようだ。
本当に丸一日、足を棒にして秋葉原を歩き回ったけど、スーパーカー消しゴムは見つからなかった。もう諦めるかと思ったその時、偶然にも素晴らしい消しゴムを発見する。
「もしかしたらこういうところにあるかも」
と何気なく立ち寄った100円ショップに、面白消しゴムとして売られていた賞品だ。
お寿司消しゴム。
これ、ちょうど令和のスーパーカー消しゴムの半分くらいの重さで軽い。しかも、そのフォルムが押し出して飛ばすのに最適ときている。
「これでいけるんじゃないか?」
いやいやダメだろ、あくまでもスーパーカー消しゴム対決だぞ、いくらなんでも寿司消しゴムはスーパーカーからかけ離れすぎている。
懐疑的な思いを抱えつつも、ちょっと実験してみたところ、ひっくり返してつかうともうほぼスーパーカーだった。
マグロやエビ、シャケはバランスが悪かったけど、タマゴを裏側にしてやった場合が最高のバランスだった。というか、颯爽と滑るそのフォルムはもうスーパーカーそのものだ。
「もうこれでいっちゃうか」
たぶん、これを持っていったら生粋のクレーマーであるヨッピーあたりがめちゃくちゃクレームをつけてくるだろうけど、「人によってのスーパーカーはそれぞれ、俺にとっては寿司のタマゴこそがスーパーカーだ」で乗り切れるだろ。これがスーパーカーだと言い張れば
「使用するスーパーカー消しゴムのレギュレーションはなし」のルールを盾に戦える。
ということで、寿司消しゴムで勝負に臨むことにした。
試験においても最も優秀だった「201F」を筆を使ってタマゴに塗布する。六度塗りが有効だったので、乾くのを待ってさらに塗布を繰り返す。そうすることでタマゴの表面がテカテカに光る消しゴムが誕生してしまった。これ、とんでもなく摩擦係数が低そう。これめちゃくちゃ滑るぞ。
我ながら、とんでもないもの作っちまったな。
スーパーカー消しゴムを使った対戦に向かう電車の中、何度かスーパーカー消しゴムの対決なのにスーパーカー消しゴムを持たず、寿司の、それもタマゴの消しゴムを持っている自分に言い知れぬ不安を覚えるのだけど、まるで鏡面のように仕上げられたタマゴの表面を見ていたらそんな不安も吹き飛ぶ。これは絶対に勝てる。こうしてスーパーカー消しゴム決戦に向かうのだった。
▼pato使用接着剤▼
①575F
②201F
③542
そしていよいよ決戦当日!
たかや
僕、スーパーカー消しゴムで遊んだ事すら無いのに……。
ヨッピー
まあでもあれだな。たかやは木工用、XG、デコレーション用とかなりベタなラインナップで勝負をかけて来たな。ちゃんと調査したのかよ!適当に選びやがって!
pato
その点、僕のは「575F」としか書いてないやつだからね。
ヨッピー
パッケージに情報量が少なすぎる。
pato
業務用だそうです。
pato
そして持って来たスーパーカー消しゴムがこれです。
ヨッピー
寿司じゃねえか。
どう見ても寿司。
ヨッピー
えええええええええーーーーーー!
これはずるいって!!!
pato
なに言ってんだよ!レギュレーションの説明聞いただろ!
pato
ほら!「自由」って書いてあるじゃん!
ヨッピー
「自由」かもしれないけどこれは「スーパーカー消しゴム」の定義から外れてるでしょ!
pato
Oさん!どうなんですか!?
Oさん
ま、まあ確かに「自由」とは書いてしまったので……。
pato
ほらーーー!
ヨッピー
マジかよ……!そんな事があって良いのか……!
一番飛ぶスーパーカー消しゴムはどれだ
Oさん
ではまず、距離対決から!
ノック式ボールペンではじいて、一番遠くまで飛ばせた人の勝ちです!
せーの!
結果はこう。寿司の圧勝!
pato
ほらーー!
ヨッピー
いやそりゃそうでしょ!だってそれ寿司だもん!明らかに軽いし!
車を変えて対決しても、やはり寿司が強い。
pato
それにしたって、たかや君がぜんぜん進んでないじゃん。やる気ゼロ!
たかや
何かが……何かがおかしい……。
ヨッピー
やっぱ知能の差が出るよね。進んだ距離の差は知能の差だよ。
1戦目はpatoの勝利!
ヨッピー
納得いかん!!寿司だし!!
【勝敗表】
pato 1勝
たかや 0勝
ヨッピー 0勝
続いてはスーパーカー消しゴム相撲
ヨッピー
まあいいや、その手で来るならこっちにも考えがあるんで。今回の相撲対決は、これで勝負します。
pato
おい!明らかに何かがはみ出てるやんけ!
ヨッピー
フッフッフ、これは靴底の補修材なんですよ。僕の隠し玉です!
たかや
あー、靴屋さんに売ってるやつだ。すり減った靴底を埋めるやつ!
ヨッピー
そう!これを盛り盛りにして、むしろ摩擦係数をMAXにしたやつで戦います!
pato
おい!卑怯だぞ!
ヨッピー
寿司持ってきた人に言われたくないわ!
試しにノック式ボールペンで弾いてもビクともしませんでした。ウケる。
というわけでこの、ヨッピー摩擦力マシマシスペシャルとたかやの汎用スーパーカー消しゴムで争います!
たかや
絶対勝てないじゃないですかこれ……。
たかやが定規で弾いてぶつけても初期位置からほぼ変化なし。
たかや
ビクともしないじゃないですか。
ヨッピー
じゃあ軽く、ぶっとばしちゃおうかな~~。
ヨッピー
えっ!何が起こった!?!?!?!?
ヨッピー
ええええええええええええ!!!強く弾きすぎたせいでボディだけ分離して飛んでっちゃった!
ヨッピー敗退!
ヨッピー
マジかよぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!
pato
策士、策に溺れるとはまさにこのこと。
たかや
みんなズルい事ばっか考えすぎでしょ。
そしてたかや、この後の寿司カーとの対決でも見事勝利!
pato
うーむ、軽いと相撲では不利だな……。
【勝敗表】
pato 1勝
たかや 1勝
ヨッピー 0勝
最後はレース!
そして最後はレース!
障害物を避けながら、ノック式ボールペンを弾いて先に一周したほうが勝ち!
ヨッピー
よーしよし!いけいけいけ!
pato
やべえ!寿司がバランス悪くてひっくり返った!
たかや
あーーーダメだ!ぜんぜんダメ!
ヨッピー
おい!そうやってすぐ諦めるから人生が好転しないんだよ!
たかや
心を攻撃しに来ないでください!
そしてヨッピーが勝利!!!
ヨッピー
っしゃあああああああああああああああ!
【勝敗表】
pato 1勝
たかや 1勝
ヨッピー 1勝
pato
どうしよう?全員1勝で並んじゃったな。
ヨッピー
じゃあアレやりましょう。机の端、ギリギリにとめた方が勝ちっていうやつ。
ヨッピー
わかります?こうやって、手のひらで叩いて逆側の机の端ギリギリまで寄った人の勝ち。
pato
あーなんかこういうの消しゴムでやった気がする!
そしてこの対決では「寿司カーはかなり滑るからなー」と言いながらチョロ打ちしてしまったpatoさんが撃沈し、
「ヨッピーに、進行方向に顔を出されてプレッシャーをかけられる」という嫌がらせを受けたたかやがOBでこれまた撃沈。
最終的にヨッピーの勝利が確定!
ヨッピー
どうしよう。王になったのにあんまり嬉しくないな。
Oさん
そんな事言わないでください。
工作の楽しさ
ヨッピー
まあでも、思いのほか盛り上がりましたね。
pato
思ったんだけど、これって昭和の頃のオモチャじゃん?スーパーカー消しゴムを作ってたメーカーも「こういう風に遊ぶものだ」って考えて作ったわけじゃないと思うんだよね。
でもそれを手にした当時の子ども達が「こういうルールで遊ぼう」とか考えて今日みたいな遊びを始めたわけでしょ。それって素晴らしい事だよね。
ヨッピー
確かに、僕が小学生の頃とかはビー玉が爆発的に流行ってましたけど、色んなルールで色んな遊び方があったもんなぁ。
たかや
そんでpatoさんやヨッピーさんみたいにルールの穴をついて来る子どもが現れてまた新しい縛りが生まれたりとか。
pato
ミニ四駆の改造とかも今考えればメチャクチャだったんだよな。穴を開けすぎてシャーシを壊して号泣してるヤツが居た。
ヨッピー
ちなみに、今回我々が制作したマシンに使用した接着剤、セメダインが摩擦係数を測ってくれました。その結果を見てみましょう。
ヨッピー
結局我々が選んだ接着剤より、当時小学生が使ってたセメダインCが一番すべるそうです。
pato
俺たちは小学生以下か……。
ヨッピー
あと、開発の人から追加の報告もあります。
セメダイン 開発者より
3つのスーパーカー消しゴムの重量を測定したところ、寿司消しゴムが約8 g、スーパーカー消しゴムが約17gでした。この重量は、摩擦力に比例します。
そのため、同じ力で消しゴムを飛ばした際に、動摩擦係数が同一であれば、重量の軽い寿司消しゴムは2倍飛ぶことになります。
今回動摩擦係数は201Fとメタルロックで2倍未満の差でしたので、201Fを塗布した寿司消しゴムがメタルロックを塗布したものより滑ったのは妥当な結果であり、滑った距離対決における寿司消しゴムの勝利は、車体に寿司を選んだことに起因すると考えられます。
pato
どの接着剤を選んだかより、寿司を選んだことが勝った原因って開発者の人が言っちゃってるじゃねえか。
ヨッピー
悪が勝つ世の中になってしまった。
ーおわりー
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