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家庭用
2021年11月15日
接着剤で大切なのは「使い方」。 目的別の使い分けで理想のハンドメイドアクセサリーを。
はじめてのハンドメイドに挑戦するとき、「どんな道具を使えばいいのかわからない」「上手く接着できない」…といった悩みはつきもの。そこで、今回は接着剤の正しい使い分けや正しい使い方を、実際に「セメダイン」さんの本社にお邪魔して聞いてきました。(取材・文 中前結花)
ライタープロフィール:中前結花
エッセイスト・ライター。元「minneとものづくりと」編集長。
ものづくりやラジオに関するコラムを連載中。
ハンドメイドクリエイターの作品は、自宅に400個以上。
趣味は、雑貨のリメイクや個展めぐり。コーヒーと読書。
Twitter:https://twitter.com/@merumae_yuka
目次
「セメダイン」さん本社に到着!
雑貨のリメイクやアクセサリー作りにハマり、近ごろ接着剤を使用することが多くなりました。しかし、なんだか使えば使うほどに悩みポイントが増えてきてしまうのです…。
ハンドメイドに挑戦する初心者のみなさんも、きっと同じような悩みに直面しているはず。
こんなとき、わからないことは詳しい人に聞くのがいちばんです。
というわけで、今回わたしは実際にセメダインさんの本社にやってきました!
まずは、適した「使い分け」を聞き込み。
日ごろから、ビーズやボタンを使ったアクセサリー作りや、ペン立てのリメイク、植木鉢の皿を使ったリングボックス作りなど、気軽なハンドメイドを楽しんでいます。
しかし、少々困った悩みが。
「どの素材にどんな接着剤を使えばいいのかがよくわからず、修理ばかりする羽目になってしまうんです。初心者にもわかりやすい“使い分け”をおしえてください!」
そんなお願いをしてみたところ、
「しっかり接着するには、『適した使い分け』と『正しい使い方』がとっても大事なんですよ」
とセメダインさん。使い分け×使い方……?
ますます詳しく知る必要がありそうです。おしえてください、セメダインさん!
紹介してもらったのが、この3種類。
左から、『スーパーXゴールド』『エクセルエポ』『ハイグレード模型用』です。
それぞれ、どんな特徴があるのでしょうか。
スーパーXゴールド
まずは、「1本あれば安心!」というほど、抜群の用途の幅広さを持っているのがこの、『スーパーXゴールド』。
なんと言っても、水飴のようなモッタリとしたテクスチャで留めやすく、貼った後は1〜2分で固定できるので、初心者でも使いやすいのがポイント。
プラスチックや樹脂粘土はもちろん、金属やガラス、布、UVレジンなど幅広い素材で使用することができます。ゴムのような弾力があり、衝撃に強いのもうれしい。
迷ったときには、この『スーパーXゴールド』を使用するのがいいかもしれません。
エクセルエポ
続いては、2液タイプの『エクセルエポ』。
わたしは、これまで混合させるタイプの接着剤は使用したことがありませんでした。
この『エクセルエポ』は、金属やガラスなど硬い素材同士の接着が得意で、その接着の強度が特長とのこと。
A剤とB剤を等量に混ぜて使用するものなので、多少手間はかかりますが、小さい接着面積でもしっかり強度をだしたい販売用のハンドメイド作品や、ピアスパーツの固定などには、この接着剤がおすすめです。
金属やガラス以外にも、陶磁器、プラスチック、UVレジンなどの接着にも使うことができるとか。
今回、パレットとして下に敷いて使用したのはクリアファイルを切り取ったもの。
多少、匂いがあるので気になる方はマスクなどをして作業してくださいね。
ハイグレード模型用
最後は、『ハイグレード模型用』です。
「模型用」とありますが、小さなプラモデル専用の接着剤でしょうか?
「どこが模型に向いているかというと、とにかく“仕上がりがきれい”なんです」
とセメダインさん。折り紙の上にポツポツとこぼしていくと、たしかにその液はとてもサラサラとしていて、糸引きやベタつきが一切ありません。
さらに、固まる前であれば水拭きできれいに拭き取ることまでできてしまいます。
その分、固定するまでに2~3時間を要しますが、糸引きなどで汚れず、はみ出しも拭き取れる『ハイグレード模型用』は模型やハンドメイドの細かな造形物の制作パーツにぴったりだと感じました。
金属やUVレジンの接着にも使用できるとのことです 。また、黄変しにくいのも特長の1つです。
これら3つの早見表はこちらになります。用途に合わせてぴったりなものを選びましょう!
※いずれの接着剤もおよそ24時間で最終強度に達します
接着力を最大化させるためのコツは?
それぞれの適した素材やシーンはわかりましたが、
「これを塗って、貼り付けるだけではダメなんでしょうか……?」
と尋ねてみます。すると、
「たとえば、中前さんは接着するとき表面の汚れをよく拭いていますか?」
と逆に質問が。指でささっと拭う程度で、しっかりと汚れを落とすような作業はできていませんでしたが、これも接着の強度に大きく関わってくるのでしょうか。
実は、接着する表面の状態はとても重要なのだそう。
きっちり拭き取るなどして細かな汚れや皮脂などの油分もすべて落としてから接着しましょう。脱脂にはアルコールが有効なんだとか。
また接着する面を、軽く紙ヤスリなどで傷をつけることで、接着剤が染み込む表面積が増え、より強度を向上させることができます。軽く数回こするだけでOKだそうです。
しっかりと接着の強度を出すため、貼った後はテープなどで仮固定して24時間以上動かさないでおくこともポイントです。
そしてまた、2液タイプの接着剤を混合液を作る混ぜる際にも注意するべきポイントがあるのだそう。
「パレットなどに、ライン状に出すことをおすすめします」
ということなので、1度自分でも試してみることに。
このように、2液を並べてライン状に出すと、たしかに「A液とB液が同じ量か」がとてもよくわかります。この混合液は、「同じ配分で混ぜているか」「よく混ざっているか」が、非常に重要だそうです。
よく混ざった混合液を作るしっかり混ぜるためにおすすめなのが、使う分だけ、2つのラインを上下にこねるように右側から混ぜる方法。
このように、同封のヘラを上下させながらよく混ぜると、同量ずつしっかりと使う混ぜることができます。
試しに、混ぜた混合液エクセルエポをつまようじに取って、手持ちのプラスチックパーツに乗せてみました。
金属のパーツにそっと乗せて軽く押し当てます。10分ほどで硬化が始まるとのこと。
実際にアクセサリーを制作してみる
実は、福岡県にお気に入りのマテリアルショップがあり、出張で出かけるたび、たくさんのパーツを買ってきてしまうわたし。
ですが、いつも集めて眺めているだけで、「はあ……」とうれしいため息をついては、特に何かを作ることもできていませんでした。
「今日、その素材たちを持ってきたので、制作のアドバイスをもらってもいいですか?」
とセメダインさんにお願いしてみたところ、
「もちろんですよ」
とセメダインさん。とってもやさしく心強い……。
まずは、「耳もとでゆらゆらと揺れるようなピアスにしたい」と考えていた傘のモチーフ。
同色の刺繍糸とワイヤーを三つ編みにして、ぐるぐると傘のハンドルに巻いてみました。
そして、大きなビジューの裏面をウェットティッシュとティッシュで拭き取り、「なんでも来い!」の『スーパーXゴールド』を乗せます。接着面が広い場合は、このようにチューブから直塗りでもOK。
同封のヘラできれいに伸ばし、均等にします。
そして、三つ編みにして紐を巻き付けたピアスパーツと、ビジューと同じサイズにカットしたフェルト(千枚通しで穴を開けました)を接着します。
すると、このように接着することができました。
1〜2分で固まるので、あっという間に完成です。2つのパーツを接着するだけで、こんなに素敵なピアスが完成しました。
さらに、もうひとつのビジューも使ってみることに。最近流行の「リボンタッセル」のピアスに挑戦してみます。
お気に入りのリボンの端を糸で軽くつまんで、準備完了。
「これも、『スーパーXゴールド』で接着しましょう」
とアドバイスをもらい、今度はつまようじで掬(すく)って、リボンの先に軽く塗ります。
その上からリボンタッセル用の金属パーツでぎゅっと挟むと、しっかり固定されました。接着剤で補強できているので、外れる心配がなく安心です。
今度は丸カンパーツを5連つないだものをピアスパーツに通して、フェルトと一緒に接着させます。
あっという間に、ビジューが華やかなリボンタッセルピアスが完成しました!
「接着の面で安心だと、作業がすいすい進みますね」
「そうですね、特に今回は『スーパーXゴールド』を使っていただいたので、硬化スピードが速く、作業がとてもスムーズだったと思います」
このモッタリとした質感は、まさに、それぞれのパーツをスピーディーに固定しやすく、とても便利でした。
サイズや素材の異なるパーツをたくさん接着したいときは…?
「実は、もっともっと買い貯めたパーツがあるので作ってみたいものがあるんですが……」
と厚かましくも、なんとさらにアドバイスをお願いしてみることに。
持ち込んだのは、黒いお菓子の缶3つです。これで、今回はとあるものを作ってみたいと思います。
「まずは、100均で購入してきたドアノブをこの缶にくっ付けたいのですが……」
とご相談すると、やはりこれも接着面積が広いので、『スーパーXゴールド』を使用することに。
缶の中央にぎゅっと押し当てて接着します。1〜2分で固定できてしまう速硬化性は、本当に感動的。ぜひみなさんにも試してみていただきたいものです。
次に、細かい金属パーツを使用したいと相談すると、
「では、『ハイグレード模型用』とピンセットを使って、丁寧に接着してみましょう」
ということに。クリアファイルのパレットに少量を乗せます。
つまようじで、接着したいポイントに点々と液を垂らしていきます。
つい静かに黙々と作業してしまうわたし。
順に『ハイグレード模型用』で小さなパーツをどんどん乗せていきます。
徐々に全体の仕上がりイメージできてきました。小さなビーズの接着でも「にゅっ」とはみ出すことなく、サラッと乗せることができるので、どれもきれいに仕上がります。
そして、側面にアンティークのボタンをつけたら、重ねて使うことができる、3段のオリジナルアクセサリーボックスの完成です。
集めているだけで、使うことのできていなかったパーツたちが、こんなにも輝きはじめました。
正しい理解で制作の幅が広がる
拭き取りもおざなり、同封のヘラやつまようじも十分に使わない……という横着ぶりにたくさんの反省もしましたが、接着面で迷うことはずいぶん解消された気がします。
アクセサリーボックスに今日作ったアクセサリーたちを入れれば、こんなに華やか。
制作することができる小物も、ぐっとレベルアップ!とても満足のいく仕上がりになりました。
完成後も、すっかりお気に入りのアクセサリーに。壊れる心配もかなり軽減されたので、安心してピアスとして使用することができています。
自分で選んだ素材を使い、自分で作ったアクセサリーは愛着もひとしお。
適した使い分けと正しい使い方がわかったので、ますますハンドメイドが楽しくなりそうです。
今日も福岡の思い出がゆらゆらと耳もとで揺れています。
後編では「黄色くならない接着剤は?」「レジンはどれで貼ればいい?」といったハンドメイドあるあるを質問していきます!
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