家庭用 2021年11月19日

黄色くならない、白くならない! UVレジン素材やガラスドームの失敗しない接着方法。

ガラスドームやビーズなど、クリアな素材に接着剤を使い、白く曇ってしまったことはないでしょうか?また時間が経つと黄色く変色してしまうことも…。そこで、今回はそんな仕上がりの悩みについて、実際に「セメダイン」さんの本社にお邪魔してお話を聞いてきました。(取材・文 中前結花)

【前編】接着剤で大切なのは「使い方」。 目的別の使い分けで理想のハンドメイドアクセサリーを。

ライタープロフィール:中前結花

エッセイスト・ライター。元「minneとものづくりと」編集長。ものづくりやラジオに関するコラムを連載中。ハンドメイドクリエイターの作品は、自宅に400個以上。趣味は、雑貨のリメイクや個展めぐり。コーヒーと読書。
Twitter:https://twitter.com/@merumae_yuka


 

目次

  1. 黄色くなってしまうのはどうして?
  2. 白くならない接着剤は?
  3. 布のほつれ止めに使える接着剤は?
  4. レジンはレジンでくっつけた方がいいの?
  5. ガラスドームは何でつける?
  6. 接着剤の使用期限は?
  7. 接着剤の早見表

「セメダイン」さんに聞いてきました。

前回は、目的別の接着剤の使い分けや正しい使い方 をセメダインさんにおしえていただきました。

今回は接着後、時間が経ってしまったあとの「変色」などのトラブルに関する悩みについてセメダインさんに詳しく聞いてみました。

 

劣化を防いでくれるのは、正しい知識。

前回は目的や素材に合った接着剤の選び方や、正しい使い方をおしえてもらい、たくさんの作品を制作することができました。

しかし一見、とても良い仕上がりに見えますが、少し心配になることも。

正しく接着剤の選び方や使い方を理解することで、ペラッと剥離してしまうようなことは防ぐことができそうだと思えました。

「ただ、硬化させて見てみると、稀に色が少し変わっていたり、時間が経つと大きく変色していたりすることがあって、これは修理の術がなくとっても悲しくなってしまうんです」

そうお話ししてみると、セメダインさんがひとつの作品を見せてくれました。

Q1.黄色くなってしまうのはどうして?

 

「こういう変色ではないですか?」

「そうです、まさにこんなふうに黄色くなってしまうことがあるんです!」


実は、この黄色く変色してしまう理由は「紫外線」なんだとか。太陽光だけでなく、蛍光灯などでも長時間浴びていると、このように色が変わってしまうことがあるそう。

そして、これを解決するには、ふたつの方法があるようです。

ひとつは、黄化を起こしにくい接着剤を使うこと。
2液タイプで接着力も強い『エクセルエポ』は、変色がおこりづらく、安心して使うことができそうです。

さらに、黄化とはほぼ無縁で仕上がりの美しい『ハイグレード模型用』。1年以上 、太陽光にさらして他の接着剤と比較してみても、接着時と変わらない透明感がよくわかると思います。
ぬいぐるみのような布には向きませんが、雑貨類のデコレーションやもちろんプラモデル、ミニチュア作品の制作などにもぴったりです。

そしてもうひとつの解決方法は、ずばり「はみ出さないこと」
はみ出している部分が紫外線に反応し黄化するため、はみ出さないように適量を適切な場所だけに使用するのも大事なポイントだと学びました。

 

しかし、もうひとつ色に関する疑問が。

Q2.白くなってしまうのはどうして?

 

 

「黄色ではなく、接着後すぐに白く変色してしまうこともあるんです。あれはいったい、どういう現象なのでしょうか?」

「クリアな素材が曇ってしまったようになるんですね」

とセメダインさん。まさに、そういった現象です。

これは「瞬間接着剤」を使ったときにだけ起きる現象だそうで、主成分に“シアノアクリレート”というものが入っていると、多くの場合はこのように白化してしまうのだそう。

瞬間接着剤は短時間でピタッとくっつき非常に便利ですが、作品制作には注意が必要ということですね 。リスクを避けたい時は、瞬間接着剤ではない接着剤(スーパーXゴールドなど)を使うと安心です。
しかし硬化までに時間がかかるものは、どうしても「うまく接着できているか」「ズレていないか」が気になってしまいます。

 

そんなときは、マスキングテープやクリップなどを使って、(押しつける必要はありませんが)接着部分をきゅっと押さえておくと、ズレてしまう心配もなく安心して待つことができるそうです。

ここで接着剤がはみ出ていると、マスキングテープも一緒に接着してしまうので注意しましょう。

 

Q3.布のほつれ止めには使えますか?

「糸ほつれなどを防ぐために、軽く接着剤で布の端を保護したい場合があるのですが、きちんと役割を果たしてくれるか、透明の仕上がりになるかが心配です。そういったときは、どの接着剤を使えばいいですか?」

という相談には、

「中に染み込んでしまって布の接着には向かない『ハイグレード模型用』ですが、浸透力がある分、糸ほつれの防止などには役立ちますので、少量を軽く塗りつけて数時間置いてみると良さそうです。変色する心配も少ないです」

との回答をいただきました。

Q4.UVレジンはUVレジンで付けたほうがいいの?

 

さらにここ数年、ずっと疑問に思っていることがありました。

「UVレジンで作ったモチーフなどは、同じUVレジンで接着したほうがいいのでしょうか?」

セメダインさんのお答えは、

「コーティングや軽く固定する目的であれば問題なく使っていただけると思いますが、UVレジンの場合、UVライトの光が当たらない部分は硬化しないので、金具などはくっつかない場合もあります。レジンをつけたい時も、接着剤での固定をオススメします」

とのことでした。

試しに、接着面の広いリングパーツとUVレジンで作られたモチーフをUVレジンで接着してみます。

UVライトが当たらなかった箇所はレジンが固まっていませんでした

一見きれいに接着できていましたが、少し力を入れて持ち上げてみると外れてしまいました。やはり、光の当たっていない部分は完全には硬化していないようです。レジンの接着に限らず、接着剤としてレジンを使うのは難しそうです。

UVレジンの正体はアクリル樹脂であることが多く、アクリル樹脂の接着も可能な『スーパーXゴールド』『エクセルエポ』や『ハイグレード模型用』を使うのがおすすめです。

ちなみに接着剤で接着した部分をUVレジンでコーティングして補強する、という方法は、強いUVが接着剤の劣化や黄化を招いてしまうので逆効果。基本的には避けたほうが良さそうです。

 

Q5.ガラスドームアクセサリーは?

「“ガラスドームの蓋はUVレジンでくっつける”という思い込みもありましたが、それも接着剤を使ったほうがいいということですよね?」

「そうですね。中に液体を流し込む場合も、流し込まない場合も、蓋は接着剤でしっかり接着するのがおすすめです。試しに『エクセルエポ』でくっつけてみましょう」

 

集中力を要する、大事なシーン……と思いきや、スッと蓋のパーツが乗って、10分も経てばくっついてしまいました。

「UVレジンで固めるほうが時短にもなるのかと思っていましたが、そんなに必要な時間は変わりませんね」

せっかくなので、ガラスドームに装飾パーツを入れるだけの簡単なアクセサリーを制作してみたいと思います。今回装飾として使用したのは、小さなドライフラワーとビーズやガラス片です。

作業時、貼って剥がせる両面粘着シート『レアタック』をパーツの下に敷くと非常に便利でした。

『エクセルエポ』の2液をよく混ぜて混合液を作り、つまようじで掬って蓋パーツのほうに適量乗せます。

あとはピンセットでガラスドームに乗せるだけ。これで10分待ちます。

丸カンを付けてフックピアスのパーツをつなげれば、簡単にピアスが完成してしまいますね。

ちょっとしたアレンジとして、リボンの飾りとして使ってみてもとてもかわいく仕上がりました。

Q6.接着剤はいつまで使えるの?

「ちなみに、接着剤に使用期限はあるんでしょうか?」

と尋ねてみると、

「基本的には、未開封で1~2年とされています。開封したものを少しでも長持ちさせたい場合は、使ったあと、少しもったいないですがほんの少し液を出して捨ててから、蓋やノズルをキッチンペーパーでよく拭き取って、冷蔵庫などに入れると長持ちしますよ」

とのこと。冷たくて暗い場所で保管するのが良いのですね。

それぞれの早見表がこちらです。

  多用途接着剤 エポキシ系接着剤 水性ウレタン系接着剤
品名 スーパーXゴールド エクセルエポ ハイグレード模型用
 
  1本もっておけば安心!
大体のパーツはこれ一本でOK
カッチリ強力につけたい時はこれ! はみだしても拭き取れる!
黄変が気になる場所はこれ!
液色 透明 透明 透明
固まり方 湿気に反応して固まる 2液を混ぜた化学反応で固まる
(混合後10分で硬化開始)
水分が抜けて固まる
硬化体 軟らかい 硬い 硬い
動かなくなるまで 2~3分 混合後15分程度 2~3時間
ニオイ なし あり なし
糸引き あり なし なし
黄変 あり 比較的おこりづらい おこりづらい
厚塗り
※薄塗り時より硬化に時間がかかります
×

※いずれの接着剤もおよそ24時間で最終強度に達します

 

これさえわかれば、接着剤選びも安心ですね。

必要なのは、ふさわしい接着剤と正しい使い方

「仕上がり後の悩みも、基本的には接着剤を正しく選ぶことで解決できることが多いんですね」

「そうですね。疑問や問題が無事に解決して良かったです」

基本的な知識をしっかり覚えておけば、せっかく作った作品が壊れてしまう、変色してしまう、といった悲しいトラブルは防ぐことができそうです。
“ふさわしい接着剤で、正しい使い方を”。
これがとても大切なんですね。

リボンの飾りとして使ったガラスドームは首元のおしゃれにもぴったりでした。
手作りの楽しさは、終わったあとも続くもの。
素材選びをするときの、あのわくわくとした気持ちが、長く愛用できるアイテムとなってずっと丈夫に残ってくれるとうれしいですね。


 

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