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家庭用
2022年12月21日
〝プラモ接着の怖いワースト3〟を解決した「ハイグレード模型⽤」の開発者に直撃!!!
セメダインが「模型⽤」という名のもとに、とても狭い⽤途で世に送り出した接着剤「ハイグレード模型⽤」は、近年発売された接着剤の中でも最もモデラーに愛された接着剤と⾔っても過⾔ではありません。
通常のプラモデル⽤接着剤ではくっつかない「メッキパーツ」(接着部分のメッキを削る必要がある)、プラモデル⽤接着剤で貼ると曇ってしまう「クリアーパーツ」をテクニックの必要が無くキレイに接着することができるという特徴を持つ接着剤は、登場からユーザーの⼝コミやSNSをきっかけに多くのモデラーの⼿に渡りました。塗装したパーツを接着する際も、接着剤で塗料が溶けることが無いのでとっても快適。これまで怖いと思われた「仕上げ⼯程」の接着のストレスから解放してくれました。
こんなすごい接着剤を作った⼈は絶対に模型が⼤好きに違いないと思い、この度セメダインさんに突撃取材!!ハイグレード模型⽤の⽣みの親であるセメダインスタッフに直にお話を聞いてきました。
プラモデルの箱の中に⼊っていた接着剤でプラモ作りを楽しんで⼊社した最後の世代でしょう
丹:まず使ってみてとにかく衝撃でした。クリアパーツにべた~って塗っても曇らない。メッキパーツも削らないで接着できる。さらに塗料も溶け出さないし、デカール(プラモの表⾯にマーキングなどを施すことができる極薄のシールのようなもの)にもダメージを与えない。特に⼀番ストレスがかかる模型の仕上げ⼯程における接着作業の時に本当に役に⽴ちました。ハイグレード模型⽤のおかげで、本当にストレスが無くなりました。
セメダイン(以下セ):ありがとうございます。当社としても、このようにピンポイントな⽤途で商品を発売するのは本当に稀なことでした。ユーザーに本当に⼿に取ってもらえるのか……ハイグレード模型⽤の船出は期待と不安でいっぱいでした。
丹:プラモ製作における「怖い接着」ワースト3(クリアーパーツ、メッキパーツ、塗装後の接着)を克服できる接着剤だと知った時は「この接着剤を⽣み出したのは絶対に模型が好きな⼈に違いない!」と思いました。そこで今回お話を聞きたいと思った次第です。
セ:ありがとうございます。プラモデルは⼩さい時から本当に⼤好きです。昔ほどではありませんが、今でもコツコツ楽しく作っています。最近は各社のマテリアルも⼀気に進化していますよね。それらを使って実際に模型を作るのが本当に楽しいです。
丹:主にどのような模型を作られるんですか?
セ:⾞模型や⾶⾏機模型などですね。特に私⾃身がスーパーカーブーム世代なので、⾞模型が特に好きです。
丹:そうなんですね! ⾞模型は確かにクリアーパーツやメッキパーツ、塗装後のパーツ接着などハイグレード模型⽤の出番がとっても多くなる模型ですよね。
セ:確かにその通りです! でも私が⾞模型が好きだったからと⾔う理由だけで、ハイグレード模型⽤が⽣まれたという感じはありません。
丹:きっかけはなんだったのでしょうか?
セ:当時、模型や⼿芸など趣味についてSNSで盛り上がっているのを⾒て、このような世界で「安全で綺麗に接着できる接着剤」を使って欲しいなと思って開発しました。
ですので、ハイグレード模型⽤は溶剤を使わない⽔溶性で、ほとんど無臭であり、⽷を引かない取り回しの良い物という商品になっています。
特に⽷を引かない接着剤にしようというのは、私の過去の模型体験から来ている部分があります。昔はプラモの箱の中に、⼩さな袋かチューブに⼊った接着剤が同梱されていました。あれをうまく使うことができませんでした。接着剤が付いたままの⼿でパーツを触って指紋を付けたり、⽷を引いた接着剤がパーツ表⾯にぺたりと付いて汚くなったり……そんな苦い経験もあるので多くの⼈に綺麗にパーツを接着してもらえるものを作りたいと思ったんです。また私はおそらくですが、セメダインの社員の中でも「プラモの中の接着剤にワクワクした」最後の世代だと思います。だからこそプラモの接着剤に対する思い⼊れが⼤きいのだと思います。
乾燥時間の遅さが美しさをもたらす
丹:模型⽤接着剤の昨今のトレンドとして「速乾性」と⾔うのがありますが、ハイグレード模型⽤はそれと逆⾏して、乾燥時間は⻑めとなっていますよね?
セ:はい。接着剤の性能と⾔うのはAが得意ならBは苦⼿のように、トレードオフの関係性が多いです。ハイグレード模型⽤も乾燥に関してはゆっくりなのですが、このゆっくりさが接着の綺麗さを⽣みだします。ハイグレード模型⽤は⽔溶性で、その⽔が蒸発しながら接着剤が硬化していきます。じわ~っとゆっくり固まっていくことで、ムラなくキレイな接着⾯を⽣み出します。
接着時にうまくパーツが固定できないという⽅は、説明書にもあります通り、接着⾯にハイグレード模型⽤を塗ったら、1分~2分放置してください。乾燥が始まって粘りが出てくるので⼤きなパーツも接着しやすくなります。
丹:ハイグレード模型⽤は乾燥後もカチッと固まるのが好きです。
セ:これもハイグレード模型⽤の特徴です。クリアーパーツやメッキパーツはゴム系接着剤でも貼ることはできるのですが、乾燥後にぶにぶにします。ハイグレード模型⽤はぶにぶにせず粘度も無くなるので、乾燥後に埃が付いたりして汚くなることもありません。
ハイグレード模型⽤は、もしかしたら無くても良い接着剤かもしれません。でも、あると嬉しい、まるでラーメンのトッピングのように最後においしさと楽しさを追加してくれるような接着剤になったと思っています。これまで怖いと思っていた接着⼯程に、ぜひ⼀度使ってみてください。⽔溶性で安全性も⾼いので、お⼦様と⼀緒にプラモや⼿芸などされるときにも⼤活躍すると思います。
丹:本⽇はありがとうございました! これからもハイグレード模型⽤を使ってたくさんプラモを作っていこうと思います。皆さんもぜひゲットして使ってみてください。
ライター:丹文聡(たんふみとし)
1983年生まれ。12年務めた株式会社ホビージャパンで、月刊ホビージャパンの編集と広告営業を担当。その後フィギュアメーカー・マックスファクトリーで3年務めたのち、フリーランスの編集として独立。模型ウェブサイト「nippper」の副編集長も務める。
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