ものづくり 2026年06月19日

3種の接着剤を使いこなせ!セメダイン使い分け工作選手権

 接着剤、いろんな種類がありますよね。

 

セメダイン公式サイトより。これはごく一部!
 セメダイン公式サイトより。これはごく一部!
 正直、初見ではどれを手に取っていいか迷ってしまいます。でも一歩踏み込んでそれぞれの特性を理解すると、これまた個性があって、面白いんです。
 
そんな接着剤選びを積極的に楽しんでいくための企画を考えました。
その名も、「セメダイン使い分け工作選手権」!
 
実際やってみたところめちゃめちゃに盛り上がりましたので、当日の様子をレポートしていきたいと思います。
 

セメダイン使い分け工作選手権とは?

 というわけで5月の某日、貸し会議室に4チームのメンバーが集まりました。

 会場の様子(これは真剣に工作中の風景)
 会場の様子(これは真剣に工作中の風景)
 まずは選手権のルールをざっくり説明しましょう。
セメダイン使い分け工作選手権ルール
「お題」として用意された4種類の接着剤のうち、最低3つを使いこなして、作品を作っていくという工作バトル企画です。
 
集まってくれた出場者はこの4チーム!
 筆者が主催しているイベント、ヘボコンのコミュニティから応募してくれた4組
 筆者が主催しているイベント、ヘボコンのコミュニティから応募してくれた4組
まったくの工作初心者から、おもちゃドクター(ボランティアでおもちゃの修理をする活動)経験者まで、幅広いメンバー層です。
 
各チームにお題として配られた接着剤はこちら。
使い分け選手権で使用する接着剤の種類と説明
おなじみ木工用には「これね~」の声、そしてチューブが2本入ったEP001Nには参加者に「???」の表情が浮かびます。この中から最低3つを使うのがルール。
 
では準備が整ったところで、さっそく工作タイム!
 
各チームの作業工程から見ていきたいと思います。

 

おもちゃドクターさんの場合

今回もっとも工作慣れしているのがおもちゃドクターさん。その名の通りおもちゃドクターの経験があるほか、ヘボコンでも優勝経験のある熟練者です。

おもちゃドクターさんはペットボトルをたくさん持参
 今回はペットボトルをたくさん持参
おもちゃドクター

今回は水を扱うので、漏れないようにしっかり接着したいですね。

 会場は貸し会議室。場合によっては損害賠償も考えられますので、何としても水漏れは避けたいところ。

おもちゃドクターさんは使い慣れた電動工具も持ち込み
 使い慣れた電動工具も持ち込み
蜂丸

それいいですね!

松村

あとで少し借りてもいいですか?

石川

人気者になっている…


ペットボトルとストローを組み合わせて手際よく加工していき、開始20分ほどで早くも接着タイム。

おもちゃドクターさん・第1接着ポイント
ペットボトルのキャップとストローをスーパーX ハイパーワイドで接着!


これはナイス接着!
 
ペットボトルのキャップとプラスチックストローはどちらもPP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)でできており、対応する接着剤が少ない素材。多素材に対応しているスーパーX ハイパーワイドがうってつけです。
 
その後も各パーツをてきぱきとスーパーX ハイパーワイドで組み上げていき、スタートから1時間ほどで、早くも装置が完成してしまいました。
これは何…?
これは何…?
果たしてこれが何なのかも気になりますが、その正体は後のお楽しみ。
 
それより問題は接着剤です。まだ1種類しか使ってないのに、作品、完成してません…?
石川

接着剤3種類使わないといけないんですけど、大丈夫ですか?

おもちゃドクター

大丈夫です。ちゃんと考えてあるので。


そう言うと取り出したのは…
作品名プレート!

おもちゃドクターさん・第2接着ポイント
紙製の作品名プレートを木工用速乾で組み立て!


素材との相性的には文句なしの組み合わせですが、用途がちょっとずるくないか!?!?!?
 
そしてこのあと、おもちゃドクターさんの手がぱったりと止まり、長考に入ります。どうやら3つ目の接着剤の使い道を考えていなかった様子。
 
再び動き出したのは、作業終了時刻の30分前。何やら竹串をカッターナイフで切りはじめ……
「井」の形に

おもちゃドクターさん・第3接着ポイント
3000多用途(瞬間接着剤)
で置台を組み立て! 


置台!!!またも作品本体でなくオプションでノルマを消化しました。ずるい。
 
ちなみに「竹串だったら木工用接着剤でよくない?」という疑問が浮かぶと思いますが、この時点で残り時間がわずかだったため、早く完成させるために瞬間接着剤を使う必要がありました。あくまで理屈は正しいんだよな…。
石川

瞬間接着剤を使うためにわざとギリギリまで時間稼ぎしてから作りませんでした!?

おもちゃドクター

そんなことないです。ほんとにギリギリまで迷ってたんです!

  
 

チーム スターの場合

チーム スターは蜂丸さんと星野さんの二人組。蜂丸さんは工作初心者ですが、星野さんは保育園の先生をしており紙工作には慣れています。

蜂丸

電気で動くものが作りたかったので、石川さんに助っ人をお願いしました。

石川

電動部分の材料は買ってきました!組み立てからお任せします。


というわけで筆者からだいたいの設計の説明をして、接着剤のチョイスは二人に委ねました。すると、すぐさま3つの接着剤の出番が。
まずはスーパーXハイパーワイドを手に取って……

チーム スター・第1接着ポイント
ハンドスピナーとミシンのボビンをスーパーX ハイパーワイドで接着 


用意したハンドスピナーやボビンには素材名が書かれておらず、他の接着剤で接着可能かわかりませんでした。そこで最もカバー範囲が広いスーパーX ハイパーワイドを使用。納得感のあるチョイスです。
 
続いて……

チーム スター・第2接着ポイント
ボール紙に木材を木工用速乾で接着 


これは「まさに」という感じの用途ですね。文句なしです。
 
さらにさらに……

チーム スター・第3接着ポイント
木材にハンドスピナーをEP001Nで接着 


EP001Nはエポキシ系といって、2剤を混ぜて使うタイプの接着剤。特徴は肉やせしないことで、つまり厚めに盛るとその厚さのまま固まります。ここはどうしてもすき間ができてしまう形状だったので、EP001Nで穴を埋めつつ接着することを狙ったようです。なるほど~。
 
そしてついでにもう一カ所。
モーターの軸にもEP001N
さっき貼り付けたボビンと、このモーターの軸に輪ゴムをかけて、プーリー(滑車)として使う予定です。モーターの軸はツルツルなので滑り止めとしてEP001Nを塗っておくことにしました。
 
そんなこんなでいろいろくっつけて、筆者の構想どおりの装置が完成。実際に動かしてみましょう。
………ギュイン、………ギュイン、…ギュイン
 プーリーの回転を伝えるゴムが伸び縮みするため、回転がめちゃくちゃぎこちなくなってしまいました。
石川

ははは。思ってたのと違う!

蜂丸

えー!ほんとですか。

星野

でも、これはこれでかわいい。

武将猛牛

マイコン使ってプログラムで制御しないとこの動きはできないですよ、普通。


お前が考えたのに「ははは」じゃねえだろ、という感じもしますが、好評で良かったです。怒られたら平謝りするしかないところでした。
 
このあと、上にステージを取り付けて回転台にし、スマホスタンドを置くことで「360度撮影台」を作る予定でした。しかし何かインスピレーションが降りてきたようで、
突如、粘土細工に夢中に
量産されていく寿司たち
いったい最終形がどうなるのか、それは結果発表をお楽しみに。

 

松村さんの場合

松村さんは子供たちにレゴを使ったロボット作りを教えているとのこと。ある意味プロですが、今回のように部品をイチから作った経験はないそうです。

松村

先日、美術館で見た画家の展示に触発されています。


アーティスティックな作品が期待できそうです。
まずはEP001Nがどんなものか試してみる松村さん
「事前に試す」という慎重さが本日はじめて登場。硬化時間がかかるので、そのまま買い出しに出かけ、戻ってきたところ……
固まっているエポキシ接着剤にめちゃめちゃ笑顔に。
これ、他の接着剤と質感が違うから面白いんですよね。
 
続いて制作に着手。
おもちゃドクターさんから借りたドリルで透明のプラスチック板に穴をあけました。
部品の形状でピンときた方もいるかもしれません。リンク機構を作ろうとしています。リンク機構を動かすためには、2枚の板に1本の軸を通し、その軸が抜けないようにストッパーもつくる必要があります。
ここで第1接着ポイントです。
 

松村さん・第1接着ポイント
リンク機構の部品を3000多用途(瞬間接着剤)で接着 

①で板に軸を接着、もう一枚の板が軸から抜けないよう、②でストッパーを軸に接着
いずれも接触面が小さいので、強度的には厚塗りできるスーパーXやエポキシを使った方がいい気がします。ただ、限られた時間でサクサク組み立てていきたい今回はあえて瞬間接着剤を使ったのも英断。
動いてる。気持ちいい!!
しかしここでトラブル発生!
 
このあと電子工作でモーターを制御し、リンク機構を動かすはずでした。しかし松村さんの持参したモーターが故障。
しかも、ここまでで残り時間があとわずか。やばい…!
急遽、筆者が持ってきていた予備のモーターを支給
そして、上の写真にすでに写っていますが、ここで2番目の接着ポイント。

松村さん・第2接着ポイント
モーターの足にスーパーX ハイパーワイドでプラスチック板を接着。
そのプラスチック板にスーパーX ハイパーワイドでクリップライトも接着。


この板、素材はわかりませんが明らかにくっつきにくそうな見た目なので、安全を狙ってスーパーX ハイパーワイドを使うのは順当でしょう。ただし今からだと硬化時間が足りないので、ねじ止め(左)やマスキングテープ(右)を併用して補強している点も技です。
石川

あ、でももう時間ないですよ。
あと1個接着剤使わないと!

松村

大丈夫です。これがあります。

ベリッ

松村さん・第3接着ポイント
EP001N
をトレイの上で単体で固め、硬化後に剥がすことで素材に 


本日いちばんのアクロバティックな使い方が出ました。接着剤をそのまま素材にするという発想の転換です。
 
最初に試し塗りしたのがここで活きてくるという伏線回収展開もアツイ!!
3000多用途でネイルチップを貼り付け、オブジェが完成
こうして時間ギリギリで松村さんの作品も完成。
 
え、オブジェ?モーターはどうしたの!?ってなってると思いますが、最終的な完成形はまた後ほど。
 
 

武将猛牛さんの場合

スタートと同時に買い出しに出かけた武将猛牛さん。大量のプール用品を抱えて帰ってきました。

小脇に抱えたトートバッグの中には……
夏休み?
使おうと思った噴水が思ったよりデカくて苦笑い(100均あるある)
かぶってみる
ここまで、傍目には何が行われているのかよくわかりませんが、テキパキとなにかの実験が進んでいるようです。
石川

何つくるんですか?

武将猛牛

足踏みポンプを使って、空気圧で何かを飛ばしたいんですよ。

左:空気を噴射してカップを浮かせようとしている。
右:ビニール袋を飛ばそうとしている。
武将猛牛

ポンプの逆止弁が弱くて、思ったより勢いよく噴射できないな~


あいかわらず手際よく空気圧実験は続きますが、成果は一進一退のようす。
 
そして…
武将猛牛

はい!接着剤使います!

武将猛牛さん・第1接着ポイント
木工用速乾でカーテンを輪っか状に接着。 


急にぜんぜん空気圧と関係なさそうな素材が出てきたので笑ってしまいました。
 
その後、おもちゃドクターさんから提案が。
 
おもちゃドクター

これだったら飛ばせるんじゃないですか?

手渡されたのはゴムキャップ
実験してみると、これなら足踏みポンプの空気圧でスパーンと飛ばせるようです。
これで方針が固まったのか、製作が急加速。

武将猛牛さん・第2接着ポイント
足踏みポンプの口と、プラスチックの漏斗(ろうと)を、スーパーX ハイパーワイドで作品ボディに巻いたゴムバンドに固定


3種の異素材の接着は、なんでもくっつくスーパーX ハイパーワイドならでは。

武将猛牛さん・第3接着ポイント
パーツをぶら下げるための輪ゴムを3000多用途(瞬間接着剤)で固定


輪ゴムの素材である天然ゴムは接着しにくい素材。今回の選択肢ならスーパーXが望ましいですが、すでに時間切れも迫る状況下。ダメもとで瞬間接着剤というのは「心情的に汲める」選択肢でしょう。(この結び方で接着剤いるか!?という疑問には目をつむるとして)
 
そんなわけで、以上が4チームの制作過程。
ではそれぞれどんな作品ができたのか、いよいよ作品発表です!
 
 

作品発表

まずはおもちゃドクターさん。

一見、「ペットボトルロケットかな?」と思う見た目ですが、これ実は噴水です。
 
中に水を入れると、3層に区切られたペットボトルの中で圧力が働き、一番上のストローから水が噴き出すというのです。本当でしょうか!?
 
吹き出す様子は動画で見てみてください。
これは別名「ヘロンの噴水」と呼ばれ、1世紀ごろの物理学者、ヘロンが発明した装置。無限といっても永久機関ではなく、噴水が止まった後にボトルをひっくり返して水を移動させることで、ふたたび噴き出させることができます。
仕組みを解説するおもちゃドクターさん
さっきまでみんなで図画工作をやっていた室内が、一気に科学教室の空気に包まれました。
 
しかし、しっかりくっつけるという「静」のイメージを持つ接着剤から、こんな「動」な作品が生まれるとは。一気に盛り上がってきましたよ。
 
 
続いて、チーム スター。
なんとあれからさらにもう1種類の接着剤を追加、唯一の4製品コンプリートとなっています!

チーム スター・第4接着ポイント
寿司を3000多用途(瞬間接着剤)で接着


途中で作品コンセプトを寿司に変えたのは先にふれたとおりですが、いつの間にかミラーボールまでついていました。インバウンド集客を狙った寿司屋の営業戦略だそうです。
こだわりのポイントは、寿司の造形。
2色の粘土を駆使したエビとトロに注目
そして、もちろん回転します!
一定速度で回らないこの素朴な動き。ちょくちょく止まってくれるので寿司が取りやすくてよさそうです。(取ろうとした時に急に回る可能性はある。)
 
ちなみに中身はこうなっています。
ハンドスピナーで回転テーブルを作り、それをモーターにつないだプーリーで回しています。
回転が断続的になるのは、モーターがゴムを引っ張った時に、ただゴムが伸びてプーリーが回転しない時間があるからです。伸縮性のない素材のベルトを使えばスムーズに回りそうですね。(輪ゴムを用意したのは筆者ですが…)
 
しかし造形面は見事でした!
 
 
続いては、松村さん。
美術館で、部屋によって照明が違う連作絵画を見てきたという松村さん。光の面白さを取り入れた作品を作りたいという思いから、これが完成しました。
明るいところで見ると謎オブジェですが、電気を消してライトで照らすと…
急に作品感が出てきました。
機構としては日の目を見なかったリンクが、急にかっこいいものに。
試し塗りのEP001Nとネイル。直線的なリンクとの対比が印象的。
失敗したリンク、捨てるつもりだった試し塗りが、どちらも作品として生かされているのが良いですよね。失敗作や不用品から美を見出す、そんな美学を感じます。
 
で、このライト、もちろん回ります。
ライトが回った瞬間、「おお~っ」と歓声が上がりました!
 
単に素材がピカピカ光るのも面白いのですが、よく見るとライトの回転に合わせて半透明の影が伸び縮みしたり、一枚目の動画ではリンクを通った光が緑色に変わっていたりと、かなり見ごたえがあります。
 
回転が速いので1回ではすべてを見届けることができず、何度も見ているうちにだんだん全貌がつかめてくるところも面白いです。
 
松村さんによると「ライトを持っている自分は、まぶしすぎて作品を見られないのが難点」とのことでした。
 
 
そして最後に、武将猛牛さんの作品。
 この作品には数々の無念が詰まっています。まずはそこから紹介していきましょう。
まず右下にある漏斗(赤丸部分)。本当はここから空気を噴射して飛ぶ予定でした。でもボディが思ったより重く、ポンプの空気も弱くて無理でした。
 
次に全身にまとったカーテン。ボディが宙に浮いたら、これがクラゲの傘のようにふわふわする予定でした。それも無理でした。
 
その挫折を乗り越えて生まれたのが、空気銃搭載の射撃ロボットです。
速すぎて見にくいけど、本体上部の漏斗からミサイルが出ている。
しかも、これだけではありません。
放っておくとだんだん空気が抜けて前傾してきて、また空気を入れると起き上がる。
この2つの動作を組み合わせることで、狙いを定めて射撃できる砲台が完成しました。
実際に的を撃ってみた様子がこちら。
おっと、正確さにはまだ課題が残りますが、それにしても電気も使わずに空気圧だけでターゲット合わせまで実装しているのは驚きです!

優勝は誰の手に!?

というわけで4つの作品が出そろいました。いよいよ優勝者を決めていきましょう!

 
各チーム1票、自分以外のチームに投票してもらったところ…。

これは…!
「回るインバウンド寿司」を作った、チーム スターが優勝!
全チーム中で唯一、4種類の接着剤を全部使ったところ、そしてビジュアル的な「映え」完成度の高さも評価されての受賞となりました。おめでとうございます!!!
 
というわけで、盛況に終わったセメダイン使い分け工作選手権。
 
用途を意識することで楽しく接着剤の種類を学べるだけでなく、接着剤が決まっていることで工作の材料も自然にいろんなものを使いたくなるという、工作好きにはたまらない遊びになったと思います。
 
工作好きの方、ぜひやってみてください!選手権を盛り上げる豊富な接着剤のラインナップ、セメダインに、あります。
おまけ。松村さんの回転ライトでバチバチに光るインバウンド寿司。

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