ものづくり 2026年04月24日

小学生のロボコンが抜群に面白いのはなぜか!?その答えがここにある「小学生ロボコンを振り返る会 2025」

小学生がガチで作ったロボットで競う、小学生ロボコン(以下、小ロボ)。
小学生だからと侮るなかれ、これが「まさか」と思うほど面白いのだが、まだまだその面白さが世の中に伝わり切っていない気がする。
 
そんな歯がゆさを抱えた4人が集まり、小ロボのスポンサーでもあるセメダインの主催のもと、2025年全国大会の映像をもとに小ロボの魅力について語りあう会が都内某所で開かれた。題して「小学生ロボコンを振り返る会」。
 
「ロボコンって技術に詳しくないと楽しめないんでしょ?」と思ってる人も、「高専生や大学生のロボコンの方が高度でおもしろいでしょ」って思ってる人も、ぜひ読んでみてほしい。考えが変わりますよ!
会場の様子
参加者

松浦 匡…科学技術館で学芸員を務める傍ら、小学生ロボコンでは競技設計から審判や審査員なども担当。小学生ロボコンを深く愛するが、巧みにルールの裏をかきにくる小学生達とはある意味ライバル関係でもある。

伊藤 燎…元・小学生ロボコン実行委員会。委員会の退会 を経て現在はいちファンの立場だが、「私に勝てるぐらい小学生ロボコンが好きだという人はかかってきてください」と語るほどの熱気を保ち続けている。

ギャル電…ギャルによるギャルのためのテクノロジーを提案する電子工作ユニット。小学生ロボコンは初心者だが、ワークショップなども多く手掛け、小学生のものづくりと接する機会は多い。

石川大樹(筆者)…ロボコンのパロディから始まったイベント「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」を主催。近年、高専ロボコンのゲスト審査員も務める。本業は編集者・ライターで、今年は小ロボのレポート記事も執筆。

小学生ロボコンは他のロボコンとどう違うか

小ロボは2019年度に始まり、今年で第7回(※1)ということになる。
大会としての特徴はだれでも参加できること、そして予選段階では個人戦であること(※2)。出場のために特定の教室やクラブに所属する必要もなければ、チームメンバーを探す必要もないのだ。
 
※1 以下、取材時点の直近回である小学生ロボコン2025を指して「今年」と呼びます。また、開催回数は2018年のプレ大会を含めると2025年で8回目となります。
※2 全国大会はチーム戦。予選が終わって全国大会出場が決まった時点で、チームが組まれる。

小学生ロボコンはこんな大会(全国大会より)
そして個人的にはむしろこっちが最大の特徴だと思っているのだけど、ロボットに使っていい材料がかなり限られている。
公式サイトより、使える材料の一覧(モーターや車輪、電池等を除く)。ほか、3Dプリンター、レーザーカッター、CNCフライスなどの自動工作機の使用もNG。
松浦
石川さん(※筆者)に毎回怒られるんですけど……材料に「そら怒るやろ」という感じの制限がかかっています(笑)
「お金をかけたら強くなる」を避けたかったんですね。高い機材や部品を使えば高度なことができるけど、そうじゃないとしょぼいロボットしか作れない、だと良くないと思って。
 
 
モーター等のロボットに不可欠な部品(これも指定がある)を除けば、ダンボールや竹串など、たいていの家にある、買っても100均で買えるような材料の範囲だ。
 
いっぽうで一番重視されているのは何かというと、「アイデア」。そのため、たとえ兄弟姉妹であっても同じコンセプトのロボットで出場するのは避けるようお願いをしているそうだ。
 
そんな「門戸は広く、アイデア重視」なルール設計が小ロボに何をもたらしているかというと……出場者層の厚さだ。
 
松浦
親がゴリゴリの工作系、みたいな子は必ずしも多くないですね。
おうちの方にきくと「私はロボットとか何もわからないんですけど、好きなようにやらせたらこんなことになっちゃって」って言うんです。
伊藤
ものづくりがめちゃめちゃ好きな子は多いですね。
図画工作が得意とか、紙で何か作るのが好きで…の先に小ロボ出場がある。
 
松浦
いろんな子がいますよね。ロボットを接着剤で完璧に美しく仕上げてくる子もいれば、大事な部品をセロハンテープでベタって貼ってあって「ここをテープで!?」って言いたくなるような子もいて。
 
伊藤
大胆な子はいますね。予選会で、直前まで動かないから大丈夫かなと思って見てたら、途中でヤケになって「ここ切っちゃえ!」っていきなり部品を外し始めちゃったり。
 
松浦
サイズ制限が30cm x 30cm x 30cmなんですけど、小学生は安全を見て29.5cmで作ったりはしないんですよ。ぴったり30cmで作る。
でも工作精度の問題もあるし、練習してるとだんだんひしゃげてくるから、30.5cmになる。だから出場前に端っこ5mmをその場で切る、みたいなのはあるあるです。
 
ギャル電
でも、小学生なのにちゃんとロボットを仕上げて、予選に来るだけでも偉いと思う。いや参加要項読んで理解できるだけでも偉い(笑)
 
年上の大会である学生ロボコン、高専ロボコンと比べても圧倒的に参加者層が多様で、厚い。それゆえに、出場者もそのロボットも、いろんな個性が集まるのが小ロボなのである。

ルールの裏をかいたり、かかれたり

そして話題は今年の大会に。まずは松浦さんから今年のルールについて紹介してもらった。

予選のフィールド
左のビーチ(スター島とよばれる)がスタート地点。ここから
●土台(紙コップ)を海上に押していく
●橋(割り箸)を持ち上げて、土台と土台にかける(上に乗せる)
●できるだけ長い橋をかけて、右の都会(ネクス島)までつなげる
という競技だ。
これは全国大会の様子だが、こんな感じで橋をかけていく
運営サイドとしては、こういったルール作りにも葛藤があるという。できるだけ多くの出場者に活躍してほしい半面、簡単すぎると満点続出で勝負にならないからだ。
 
松浦
土台をスター島から押し出すだけで、ポイントがもらえます。押すだけなので、ロボットが前進さえできれば0点にはならないという設計です。
いっぽうで橋をかけようと思うと、①コップの上まで橋を持ち上げて、②いい位置で降ろして、③ロボットが逃げる、っていう3段階の動作が必要になります。複雑ですけど、慣れた子なら1~2本はかけられるだろうな、という難易度設定です。
 
石川
その難易度の調整ってどうしてるんですか?
 
松浦
ユカイ工学さん(※)の高専ロボコン出身の方にジャッジしてもらってます。
「この競技ならこういう機構でロボットが作れそう」という想定までしていて、その機構が複数パターン考えられるようにしています。
唯一絶対の最適解があるのはよくないから。
 
※ 小ロボの協力企業であるロボットメーカー。小ロボ公認の材料キットも販売している。
 
そして、ロボコン名物の(といきなり常識みたいに言われても困ると思うが実際そういうところがある)「ルールの隙を突く攻防戦」がここでも繰り広げられる。
 
松浦
「もし、こういうことをしてくる子がいたらどうする?」って話をすごくするんです。
その中で「それは確かにルールの穴かもしれないけど、難しすぎるから、やれるもんならやってみろって感じだよね。ははは。」みたいに言ってたことがいざ予選はじめてみると実現してたりしますね。
 
伊藤
過去にピンポン玉を使った競技の年に、ロボットが床に接地してはいけないゾーンがあったんです。
床にはピンポン玉がいっぱい転がってるので、「ピンポン玉に乗ってサーフィンしたらそれは接地してないことになりません?」って話が出て。
でも絶対無理だろうから、やれるもんならやってみろであえて禁止しないでおこう……ってことにしたら、実際やる子が続出した(笑)
 
 ピンポン玉に乗って移動するロボット(2022年全国大会より)
松浦
でもいいんですよ。「やれるもんならやってみろ」って言ったものをやってきたのであれば、もうそれはもう「よくやったね」なの。
 
ギャル電
ロボコン英才教育のまず第一は「ルールの穴を見つける」。
 
伊藤
意地悪な大人が集まってルールを考えてるんですけどね。
 
松浦
最近ちょっと意地悪な大人が負けてます(笑)
意地悪な大人代表として、負けてることに反省する松浦さん

身近なもので作るストリートのロボコン

ところで、紙コップとか割り箸とか、競技に使われる器具も身近なものが多い。それについても思惑があるそうだ。
 
松浦
材料と同じで、お家で競技フィールドを作って練習するために、誰でも買えるものにする必要があると思ってます。
ちなみに去年の競技用品は大量の鉛筆と消しゴムでした。親御さんから「こんなに鉛筆買わされても」っていう声があって、今年はそれへの反省もあります(笑)

2024年大会より。たしかに多かった!
伊藤
買った鉛筆はこの先の人生で活用してほしいな。大学入試でもマークシートに使えるから。
 
松浦
競技中に落とすから、芯が折れてる可能性があるんですよ。
 
石川
それは絶対にダメだ(笑)
 
そして、先ほども紹介した材料制限。運営側としてはここにも葛藤があるのだという。まずは金属などの硬い部品が少なく、紙や薄いプラスチックが中心であることについて。
 
松浦
勝ち上がった子たちは全国大会までに、めちゃくちゃ練習をするわけです。
紙で作ったロボットで100回練習したら……。
 
伊藤
ダンボールなんてねえ、潰れてくんだから。
 
松浦
だけど、彼らは100回でも500回でも練習します。
意図的にバージョンアップするつもりがなくても、部品の修理・作り直しを重ねて姿が変わっていくのはよくある。
 
ギャル電
そんな材料でロボット作れるのは、いろんなロボコンの中で一番サバイブって感じがする。
「いま出先で急にロボット作んなきゃいけなくて!」みたいな時、その経験が役に立つよ。
 
石川
そんな状況ないよ(笑)
 
ギャル電
ストリートでは、ギャル電はたまにあるの(笑)
 
伊藤
スーパーの裏の資源ごみ回収のとこに放りこまれてもロボットは作れる、っていう。
 
ギャル電
モーターさえあればなんとかなるっていう。山の中で育った野生児が、木から削り出したゴルフクラブ一本でゴルフするのと同じで(※)。
 
※ 小学生にわからないたとえで恐縮ですが昔そういうマンガがあった
 
個人的には、こうやって材料が限られていることは、実は競技を観戦する側にもメリットがあるように思う。
 
石川
この材料だと、細かすぎる機構やプログラムで動くようなロボットは作れないじゃないですか。
するとロボティクスに詳しくない人が見ても「こういう仕組みで動いてるな」って一目でわかる。これが小ロボの面白いところだと思います。
まだ出たことない子も「これなら自分もできるかも」って思えそう。
モーターの回転を往復に変換する仕組みも、なんとなくわかる
松浦
そう思っていただきたいです。
 
伊藤
観戦した人が「こんな材料でこれができるんだ!」って知ることで、世界の見え方がちょっと変わるといいなと思うんです。
6Pチーズの箱をタイヤとして見たことないじゃないですか。でも一回見ると、次からチーズ見たときにその可能性を思い出すから。
そんな感じで運営側の想いが詰まりに詰まりまくったこのルールで、2025年の小ロボは行われた……というところで、この「振り返る会」第一部は終了。
続く第二部では、12月に開催された全国大会を振り返っていく。

全国大会・3人で力を合わせて長い橋を架けろ!

第2部は、全国大会を見た松浦さん、伊藤さん、筆者石川がそれぞれ選んだ、「ロマンを追い求めたロボット/チーム」の発表からスタート。
 
その前に、全国大会のルールをざっくり説明しておきたい。全国大会は3人一組のチーム戦ということで、橋を架けるのは予選会と同じだが、フィールド形状と進行が大きく変わる。

全国大会のフィールド
周囲3カ所にあるビーチや火山などの島が、それぞれのロボットの開始地点であるスター島。スター島から3人で橋を架け、フィールドの中心を目指す。
中心にいるプログラミングロボット(※)にある土台が橋の連結点である。ここで3本の橋がつながると橋の長さが一気に長くなり、高得点が狙える。
 
※ このロボットは競技前に出場者がプログラミングで動かすのだが、本稿では触れないので単に金色の土台だと思ってもらってOK
 
競技時間の最初の3分は、3人のメンバーが各1分、順に競技をする個人プレーの時間。そのあとの1分半が協力プレーの時間、という進行になっている。
 
ルールもご理解いただけたところで、筆者石川、伊藤さん、松浦さんの順に「ロマンを追い求めたロボット/チーム」を発表していくことにしよう。

ロマン①:いくらなんでも操作がうますぎる

まず、僕が選んだのは、「海線勝丼JAPAN」チーム。
 
石川
まず作戦が独特で。
他のチームは前半の個人戦からちょっとずつ橋をかけていくんですけど、このチームだけ前半はほぼ橋をかけず、土台のコップをひたすら並べるんです。で、後半にバーって橋をかけていく。
 
 
松浦
橋があると動き回るのに邪魔だから、前半はあえてかけないっていう選択ですね。
 
そんな作戦のユニークさ面白さにくわえて、このチームは全員異常に操縦がうまい。だからすごい操縦テクで次々とコップを並べる様子が圧巻だった。
競技映像を見ながらふりかえっていくことにしよう。

・がんばれペン太くん(満重結仁 4年生)
石川
くちばしの穴でコップを運ぶんですけど、前後に同じ機構がついてるから、前進とバックで2倍の作業ができます。
ただそれって理論上の話で、実際は車と一緒でバックのときって極端に操縦が難しいはずなんですよ。それなのにめちゃめちゃ自由自在で。
 
伊藤
単に後退だから難しいのにくわえて、ケーブルついてたりして前後のバランスが違うから、操作感も違うと思うんです。そこもしっかり吸収してる。
 
ギャル電
すごいスピードでコップを、スポ、スポってね。

伊藤
的確な距離で綺麗に置いていくんです。
 
石川
あとかわいいんですよ。見た目だけじゃなくて、動きまで愛嬌がある。
橋を運ぶ様子。かわいいんだこれが。
・カブリッジ(後藤光成 6年生)
石川
T字のツノにうまく、最大4つのコップをひっかけて運びます。
ツノは動かないからコップを挟む機能とかはないんですけど、それなのに自由自在。
前後左右に振り回すだけで「4個持ってたのを3つ置いて1個だけ持っていく」なんて器用なことをやってる。
 
松浦
構造にも工夫があるんですよね。端にちょっとだけスタイロフォームがついてて、ダンパー(※)になってたり。
 
※ 衝撃を吸収する部品
 
ギャル電
今、おしりでコップをちょっと押した!
 
石川
そう、ツノだけじゃないんですよ。全身使ってすごいコントロールしてる。
 
伊藤
この選手、絶対に自動車教習所のクランクのとことか、得意ですよ(笑)
 
石川
他にグッと来たのは、橋を上下から挟んでしっかりホールドするんですけど、下から挟んでるアームの根元、結束バンドを使って柔軟性もたせてるんですよ。
限られた材料をこうやって活かすの、グッときます。
 
矢印部分の結束バンドがアツい
伊藤
柔らかいから、置くときも人が手でスッと置くのに近い動きができますよね。
・シーラカンスくん(秋田燈史郎 5年生)
石川
こっちはコップを抱え込んでいくパターンですね。

伊藤
ローラーのゴムがカラフルなのがおしゃれ。こだわりですよね。
 
ギャル電
兜!こだわりがあって、普通にめっちゃかっこいいな。
 
左が秋田くん。手作り兜だ!
松浦
こういうの作ってくる子いるんだけど、待機場所に忘れていったりするんですよ。
 
一同
(笑)
 
松浦
慌てて周りのみんなが「忘れてる!忘れてる!」って。
 
ギャル電
後藤くん(写真真ん中)の腕についてるカブトムシもかわいい。それぞれのアクセサリーがあるの、めっちゃいいです。
 
よく見ると右の満重くんの腕にもペンギンがついている!
そして映像は後半の協力プレーに突入。
 
石川
このとき、ペンギンがカブトムシのエリアに行って作業してるんですよね。
事前に作戦を詰めてたんだろうなと思って。
 
伊藤
ちっちゃくて小回りきくから、並べた紙コップの間をすり抜けて素早く行動するのが得意なんでしょうね。
 
松浦
ここまで来るのに、彼らの練習は100回じゃすまないと思いますよ。
 
僕は今年初めて現場で小ロボを見たのだけど、期待していたのはロボットの機能・機構の作り込みのすごさばかりだった。けど、実際に見て一番度肝を抜かれたのが操作のうまさだったのだ。
こればっかりは単純な努力の量だろう。すごいロボットを作れるだけにとどまらない、小学生ロボコニストたちの底知れなさを感じた。
 

ロマン②:細部に神が宿るロボットたち

続いて伊藤さんの選んだ「ロマンを追い求めたチーム」。まずは「ゴールデンビッグブリッジ」チームだ。
 
伊藤
今回、一つ一つの課題がめちゃめちゃ難しいタイプの競技ではなかったと思うんです。
それだけに、細部に神が宿ってる、細かいこだわりに特化したロボットが多かったと思って。

・たこりん号(梶原太陽 4年生)
伊藤
この、いま紙コップを運んでるところが、牛乳パックをそのまま使ってるんです。
紙コップがないとき
伊藤
牛乳パックって紙工作の定番材料ですけど、基本、上は切られて下の箱部分が使われがちじゃないですか。これは上のとがった部分をうまく使ってるのがいい。
 
ギャル電
確かに!この山でめっちゃ紙コップをホールドできるぜ!みたいな。
 
伊藤
もうその気づき、素晴らしい。
そして、この美しい、プリンターの紙送りみたいな箸の押し出し!
先ほども貼りましたがこの機構。目のついている枠の中に箸を積んでおくと、下から1本ずつ送り出すことができる
伊藤
手作り工作の良さと、お菓子工場の動画を見るみたいな気持ちよさが同居してるんです。
 
ギャル電
めっちゃ気持ちいいですね。この押し出しの綺麗さ。
 
伊藤
それを動かすギアも片面ダンボールで自作してるんです。

石川
この押し出しの操縦って、「ボタンを押したら自動的に箸1本押し出して止まる」みたいにはなってないですよね?
レバーの操作で、「このくらいの時間モーター動かして止めれば、ちょうど箸を出せるな」みたいな時間軸でのコントロールだと思うんですよ。
 
伊藤
そう!そうなんです。
それを左右のタイヤ、腕の上げ下げと一緒にやってるわけですよね。

石川
モーター4つ(※)って、やりたい動きを考えたら「少ないよ!」って思うけど、同時に操作するには多いですよね。
 
※ ルール上、使えるモーターの数の上限
 
・ヘラクレスロボカブト(上村颯士 6年生)
松浦
名前のとおりヘラクレスオオカブトをモデルにしていて、カブトムシらしい動きで小回りが利きます。足元と頭にある2本の「角」が見事。
伊藤
上の角はペットボトルキャップとストロー製かな。工作精度の高さを感じます。モーターの軸に直結しているのでアップダウンの操縦もかなり繊細だと思いますが、見事な操縦技術ですよね。
石川
ちょっとでも長く回すと下の角に当たっちゃいますよね。スイッチを押す長さだけでコントロールしてるのはすごい。
松浦
ボディのヘラクレスオオカブトっぽい彩色も好きです。
 
伊藤
人間とロボットの連携プレーも感じました。今回、橋は資材置き場にあるものを選手自身の手でロボットに乗せるルールになってるんです。颯士さんがロボットに割り箸を渡して、ロボットが素早く走って橋をかけてくれる、という協力作業が毎回鮮やかで。美しいと思いました。
 
・AKIRA2.0改(吉沢明 5年生)
松浦
「AKIRA ELECTRIC」の開発したロボット、というイメージだと思われます。「AKIRA」をロゴ化したデザインが素敵。小ぶりに見えますが、一回の動作で複数の橋が架かるんです。
伊藤
そのために間隔を調整した状態で紙コップを運んでいく必要がありますよね。
そこでAKIRAのロゴ入りの板が降りてきて、紙コップを押さえることで逃さず運んでいます。同時に割り箸を挟んで掴んだまま降ろしてくる役割もしていて、かっこいいですね〜。
松浦
土台も、4個までのコップを調整して移動可能な絶妙なくぼみがついています。
伊藤
ここのカーブ、美しいですよね……。設計の工程が気になります。あるいはこれもトライアンドエラーの賜物なのか……。
あと、割り箸が前後にずれないためのストッパー(黒い突起)も気が利いています!結束バンドかな? 竹ひごは使いやすいんですが、細くてすべりやすいという欠点をきちんと解消しています。
 
 
そして「どうしても1チームに絞り切れなかった」という伊藤さんから、続いてもう1チーム、「アクアニマルズ」も紹介。
・ブリッジクラブ(石川弥瑚 5年生)
伊藤
カニのロボットなんですけども、ボディに折り紙のカニがいっぱいついてるのがまず良い(笑)
あとは、紙コップをホールドする腕。紙コップにジャストフィットなんです。
押すだけでも動かせるんですけど、ちゃんと抱きかかえて的確に動かしていくところが超好きですね。
 
松浦
左右のハサミの形が違うんですよ。モチーフがシオマネキ系なのかも。
 
伊藤
モーターのあまった軸に目玉が付いてて、アームを動かしたときにキョロキョロするんです。たまらん。
そして背中のベルトコンベアに大きな返しがついてるのも特徴的でした。
 
松浦
他のロボットは、控えめな構造のコンベアでスムーズに動くことを狙う子が多かったですよね。
同じチームのサメがまさにそうで……
・シャーク(齋藤有志 4年生)
松浦
箸をホールドしてほしいけど、ある程度滑ってもほしいっていうので、このコンベアはコピー用紙を買ったときに巻いてある外側の紙を使ってます。
 
伊藤
構造じゃなくて素材で解決したタイプ。
 
ギャル電
すごいな!
 
松浦
なんで小学生がそれ見つけて来られるんだよ、っていう(笑)
 
伊藤
ここに来るまでには一体どれほどの汗と涙があったのか、って思うんです。作り変えては操縦を練習し、また作り変えては練習し、こうかな?みたいな。
もうその時点ですべてのロボットに鬼のようなロマンがありますよね。
 
・KAKERON(酒井かのん 6年生)
松浦
このつまようじ(写真矢印)、わかります?
このように使います
ギャル電
すごいすごい!この位置合わせ!
 
松浦
橋が重なっちゃうと得点にならないんです。
だから前の橋をかけたあと、爪楊枝でちょっと押して次の橋の置き場を作ってる。
 
石川
またピッて押した!
 
松浦
そうすると稲妻みたいに互い違いに置けるんです。
彼女は全国大会常連なんですけど、「ちっちゃいロボットこそかわいい」っていうこだわりの子。
ロボットは大きい方ができることは多いはずなんだけど、それはかわいくないからって、なんなら年によってはモーター3個だったりしますもん(※)。
 
※ ルール上のモーターの上限は4個。モーターの数=ロボットができる動き、なのでモーター3個だと機能が単純計算で4分の3に制限される。
 
ギャル電
かっけー!
 
伊藤
彼女は6年生で今年ラストイヤーなんですけど、泣ける話があるんです。
彼女が4年生の時に初めてチームメンターという制度が始まって、高専ロボコンや学生ロボコンのOB/OGの人にチームを見てもらうことになりました。
その時の最初のメンターが荒木さんという、高専ロボコンでカエルが縄跳びをするロボットを作って大賞を取った人。
今回のカエルはそれへのリスペクトらしいんですよ。
 
石川
えー、良い話すぎる!

ギャル電
激アツエピソード。
なんかね、忠義の表し方が武士みたい(笑)
 
伊藤
「その関係性!!」っていう。
 
ギャル電
リスペクトはするんだけど、自分のこだわりとして極限までちっちゃくはする(笑)
ソリッドさ、あります。彼女のロボ。
 
アツいエピソードが続々登場したが、いま出てきた小ささに関するこだわりも、メンターとの関係性も、何年も続けて小ロボをウォッチしたからこそ見えてきた物語。
小ロボは1年生から6年生までの最大6年参加できるため、一人の子の活躍期間が長い。毎年継続的に見続けることで、より楽しめる大会なのだ。
 

ロマン③:巨大変形ロボットというロマン

最後に、松浦さんが選んだ「ロマンを追い求めたロボット」。発表した瞬間に全員から「あ~」の声が漏れた、満場一致のロマンロボである。
 
松浦
ロマンのって話だったんで、これを。

Tectonicaチーム

・ビッグアームロボ(熊谷陸久斗 5年生)

伊藤・石川
あ~
 
松浦
ロボットのサイズ制限は30cmまで。ただ「展開」といって、スタート後に2倍まで広がることが許されています。
 
石川
ロボットが自分で展開しなきゃダメなんですよね?
 
松浦
うん。人間が手で広げたらダメです。
で、彼はスタンバイ時に自分の展開先にコップを配置して、競技開始と同時に展開した時点でもうコップを8個持って橋までかけた状態になるんです。そのままズズズっと持っていくだけという。
結果的には展開中に引っかかったりするんですが、ロマンに挑んだって意味では、自分の理想を貫いたなと。
 

展開→橋かけ→発進の様子

伊藤
「橋ができた状態で運んでいくのが一番安全じゃん」って、みんな一度は思うんです。でも実現はマジで難しい。
 
松浦
巨大変形ロボットとして、これ以上ないです。
 
ギャル電
最高。まじで美しい。
 
石川
僕、当日取材のために現場に入って(※)、開会前に出場者席で話を聞こうと思ったんです。最初に見せてもらったのがこれで、全然意味が分かんなくて(笑)
 
 
一同
(笑)

石川
今日の取材、ちょっと大変かもしれないぞ…思って。
実際動いてるとこ見て「こういうことか~!」ってなりました。

松浦
彼はやりたいことを、茨の道なのにきちんと実装して、理想を貫いた。
 
石川
こうやって、やりたい方法でちゃんと勝てるのが小ロボの良さですよね。
個性を潰して最適解に寄せなくてもいい。
 
松浦
個性って意味では、彼は小回りは全然利かないの。だから後半、最後の連結部分は仲間に任せるんですよ。
後は後方支援に徹する。
 
石川
チーム戦という形式が個性を支えてますよね。一体だけだと全てをこなせる構造っておのずと決まってきそうだけど、3体いることによって、個性的なロボットが集まっても補い合ってチームプレイできる。
 
 
そんなチームプレイを支える、チームメイトのロボットも見ていこう。

・北斗号(工藤洵介 4年生)

松浦
これはシンプルで良い。
 
伊藤
このチーム、みんな作りのうまさがすごいんですよ。
 
ギャル電
ベルトコンベアの箸を止める部分がすごい。形がすごい丁寧。
 
伊藤
橋を落とすとき、ベルトコンベアの先のスロープの角度をちょっと調整するんですよね。
 

見づらいですが向かって右の方

伊藤
ときめく~。嬉しくなっちゃうな。
私はリハーサルでこのチームが気になりすぎて、床すれすれまで這いつくばりながら見ました(笑)

・オカピラー(岡本宏英 6年生)

左右の床スレスレ、コップを持つ腕に注目

伊藤
この腕いいですよね。超好き。ちょうどコップがハマる角度を作りつつ、調整もできる。
 
松浦
狭いところを通るときは、40度ぐらいのとこまで畳むと、ちょうどコップ2個をいい感じで持っていける。
 
ギャル電
角度の調整もできるんだ。

箸を置く様子

伊藤
ヒー!
 
石川
この動きめちゃくちゃ良いですよね!
 
伊藤
うん。みんな箸は上から落とすんだけど、下からすくい上げてもいいんだ、という。
 
石川
どうやってそんなこと思いつけたんだ…。
 
そして勢いで松浦さんももう1チーム紹介。「BRIDGEメイカーズ」だ。

・橋かけ侍カップ丸(井上嵩丸 4年生)

伊藤
この、いたずら考えてそうな目がいいんですよ。

伊藤
箸を出す動き、めっちゃよかったですね。モーターを回して板を前後にスライドさせて、押し出してる。

顔の後ろに、モーターが回っている様子が少し見えます

松浦
タイヤも面白くて、メインは市販の車輪を使ってるんですけど、スタビライザー(※)としてペットボトルキャップを車輪にしてます。
左側(写真では右)が重いから、左だけなんです。タイヤを左右対称にしないのは、小学生の発想としてはすごいなと思う。
 
※ 姿勢を安定させるための部品
 
ギャル電
練習量めっちゃすごいから、やってるうちに「こっちがなんかいつも調子悪いんだよね」みたいにわかってきて、つけたのかな。すごい。

・G-LINE(山本桜大 6年生)

松浦
競技上は別にいらないんだけど、動くとアフターバーナーが出る(笑)
 

黄色い筒のうしろに注目

ギャル電
可愛い。後ろにピャって。
あとこの目の回りをモールで囲んでるとこがすごいかわいい(笑)
 
伊藤
彼はいつもよくわかんない生き物を生み出してて、毎回そういうセンスです。
これは何の生き物なのかな?みたいな。
 
松浦
なんで生き物っぽいのにアフターバーナーを吹くのかですよね(笑)
 
伊藤
アームにガイドがついてて、2個のコップをそれぞれ左右の端で運べるから、置いたときにちょうど橋をかけやすい間隔になるのもよくできてるポイントです。
 

・イタバネくん(クリスマスver.)(鈴木一矢 5年生)

松浦
これもね、ちっちゃいんですよ。
最低限のサイズだからコップは1個ずつしか運べないけど、箸は何本か運べて、安定感ある送り出しで着実に架ける。

ギャル電
すごい。送り出しの機構が美しいです。最小限だけど、ちゃんと置ける。
 
伊藤
そして、サンタ(笑)
プレゼントしょってますよね。
 
ギャル電
全体的に子供らしいかわいさがあるんだけど、機構がガチだから、見てて脳が混乱するとこあります。
ガチさと小学生らしさの共存っていうのは、他のロボコンに見られない良さかも。
 
石川
見た目には隙があるんですよね。
 
ギャル電
あと本人の「やりたいこと」が見れる。
個人がやりきって作ってて、色も出るから、同じ仕組みの機構を作ってても全然違うものになる。
素材の選び方とか、動かす順序とか、みんな違いますよね。
 
伊藤
結果的に、本人にしか操縦できないものにみんなたどり着いてる(笑)
 
ギャル電
考えてそうなったのもあるだろうし、壊れてメンテナンスしていくうちにここにたどり着いた、みたいなのもありそう。
 
石川
どれも予選に出たバージョンから、時期を追って見てみたいですよね。
全国でチーム戦になったことによって、ちょっと作り変えたりもしてるだろうし。
 
松浦
予選で一度会ったあとに全国大会でもう一回会って、「あれ、君のロボットそんな顔だったっけ?」ってなる子もいます(笑)
 
そんなわけで、「ロマンを追い求めたロボット/チーム」の発表はここまで。
各人のお気に入りを選抜して紹介するつもりが、結局このあと登場する1チームを除いて全部紹介してしまった。集まったメンバーの小ロボ愛が強すぎるのである。
 

もはや異例、とんでもなかったチーム「THK進架」

 最後の1チームを紹介する前に、小ロボの賞ラインナップについて少し触れたい。

 
全国大会の賞としては、まずチームに対して、
・競技得点+審査員の評価で決まる「小学生ロボコン大賞(チーム)」
・プログラミングロボット(※)の優秀チームに贈られる「プログラミングロボット賞」
 
※ 各試合の最初にプログラミングで動く自動ロボットにより中央の島を配置する時間がある。
 
さらに個人に対して、
・審査員によって決められる「小学生ロボコン大賞(個人)」
・ロボコニスト同士の投票で決める「MVR」(Most Valuable Roboconist)
 
があり、加えて協賛各社から贈られる特別賞もある。
 
その中で、今年はチーム賞の2つを「THK進架」チームが受賞、小学生ロボコン大賞(個人)をそのメンバーである津田樹希さん&本多功奈さん、MVRも津田さんが受賞。「THK進架」による4冠総なめという事態となった。

小学生ロボコン公式サイトより

松浦
全国大会では各チーム2回ずつ競技をしますが、THK進架は両方満点。
 
石川
ほんとすごい。順にみていきましょう。

・クワガタ建設株式会社 建設用ロボット クワちゃん(本多功奈 5年生)

向かって左が前
 
松浦
車輪が目になってるのがかわいい。

ギャル電
夏っぽさ、いいね。
 
松浦
前後のブレードが120度ぐらいでつながってるんで、傾けると前も後ろも同じようにコップをホールドできるのがキモですね。
フラットな頭上には橋を10本以上入れられて、安定して送り出しができる。
前方左右には小さな腕が出ていて、ここにコップを沿わせることで、橋を架けるのに最適な幅の調整ができます。
 
伊藤
橋をかけつつ、次のコップの間隔も調整して、というのを同時にやってますね。
(映像を見ながら身を乗り出して)思わず立ち上がってしまう(笑)

・架けワシ(津田樹希 6年生)

松浦
この子が小ロボ大賞個人賞とMVRのダブル受賞。
オムニホイール(※)で縦横無尽に動きます。
 
※ 特殊な構造の車輪。詳しくは後ほどあらためて。

前後に動いたあと、方向転換なしで左右に動いている

橋の送り出し機構も両側に持ってて、前にも後ろにも落とせるんです。
そのためにモーター回して制御するんだけど、ついでに上のわしが羽ばたいて(笑)

ギャル電
優雅優雅。めっちゃ優雅。
 
松浦
「なんで?」って言ったら、「つけたかったから」って。

伊藤
で、これも橋の重なり防止のために割り箸を押せる玉がついてる。
もうなんか多機能すぎて胸焼けしてきます(笑)
 
松浦
この子についてはまた後で詳しく見ましょう。

・にゃん丸2号(小窪大智 3年生)

松浦
こっちは、コップと橋をセットで運べる。
 
ギャル電
かっけえ。
 
松浦
よくできてるのは、橋とその左右のコップを一気に運ぶだけじゃなくて、コップが既に置かれてる状況にも対応できるようになってるんです。
両端のコップがある場合、ない場合、片方ある場合、どれでもいける。
 
石川
橋を横並びで2本持てるのも良い。たしかこれともう一台ぐらいでした。
 
そして映像は後半のチーム戦へ。
 
松浦
後半の連携も完璧なんですよ。
このチームは最初の1分で各自のエリアの橋をほとんどかけちゃうから、後半は真ん中に橋をかけてつなげる以外、ほぼやることないんです(笑)
そうすると3台とも真ん中で作業が集中するんですけど、まずは小回り利かない方が後ろで待ってて、小回り利く方が橋かけて下がったと同時に次のが入る……とか。
 
伊藤
(映像を見ながら)速い速い
 
ギャル電
余裕がすごい。
 
松浦
で、最終的にこうなる。
 

得点になる橋すべてをコンプリートした

松浦
今回、自分の島と、真ん中の黄金の島と、横にあるシルバー島を繋いだら偉い、というルールだったんです。いろんな線の引き方はできるんですけど、彼らはこのスリーセブンの形にこだわった。
 
ギャル電
かっこいいな。
 
松浦
それからこの長い長いコントローラーね。

松浦
線が絡まないように長くするのが定石なんですけど、色が妙にカラフルで、みんな「何それ」って突っ込むわけです。
そしたら、これは予選会の時のフィールドだった。
何百回も練習したからもうボロボロなんだけど、「このフィールドを全国大会に連れてきてやりたかった」って。
 
ギャル電
そんな激アツエピソード!
 
伊藤
ロボットに愛着を持ってほしいという気持ちはずっとあるんです。
予選会から一緒に経験を積み重ねていって、全国大会まで連れていくという。
でも、まさかフィールドにまでこんなに愛着持ってくれるとは。
 
石川
家で練習に使ってた紙コップにもめちゃめちゃ愛着わいてそうですよね。
 
伊藤
本当に。その努力の証を、できるだけ取っておいてほしい。
 
松浦
各ご家庭には、ある意味ご迷惑ですけど(笑)
 

松浦
で、オムニホイールね。
 
このロボットの最大の特徴であるオムニホイールについて、ここで説明しよう。オムニホイールとは、方向転換しなくても全方位に移動できる特殊な車輪だ。
 
メインの車輪(黒い車輪)の周囲を、それと垂直に回る小さな車輪(ここでは発泡スチロールの玉)が囲むような構造になっている。この小さい車輪は動力がなく、空回りする。
 
で、上の写真をよく見ると左右の車輪のほかに、真ん中に横向きの車輪もあって、H型の配置になっているのがわかると思う。前進後退するときは左右の車輪を回して、左右に進むときは真ん中の車輪を回すわけだ。
ただ普通のゴムタイヤでこれをやると、向きの違うタイヤがブレーキになってしまう。
そこで効いてくるのが小車輪。これが空回りすることで進行方向以外の動きもブレーキにならず、全方位に動けるというわけだ。
 
オムニホイール自体はロボットにしばしば使われるもので、彼のオリジナルの発明というわけではない。ただこの制限された材料の中で自作してしまうというのは……ただごとではない。
 
松浦
今年からタミヤのギヤボックスが使えるようになったことで、やりやすくはなったんです。でもだからといって、こんなもん作れとは誰も言ってないし、みたいなね(笑)
 
ギャル電
あのリストの材料で作れるのか。
 
松浦
これで今回の競技がめちゃくちゃ有利になるかっていうとそうでもないんだけど……作りたくてしょうがなかったんでしょう(笑)
 
伊藤
彼にはお兄ちゃんがいまして。お兄ちゃんも卒業までずっと小ロボに一緒に出てたんです。
ラストイヤーの予選会に、謎の足回り機構で出てきたんですよ。「なんでそんなことわざわざしたの?」って言ったら、「やりたかったんです」って(笑)
 
松浦
その年も、その足回りだからってほとんど有利にならない競技だったのに。
 
ギャル電
やりたいことはやりたいんだからしょうがない。
 
松浦
で、そのときにお兄ちゃんと同じチームにいたのが、さっきの大きく展開するロボの陸久斗くん。
 
石川
なんか受け継がれてるな、いろんな形で(笑)
 
伊藤
チーム戦であることで、チーム内でかなり濃いコミュニケーションが生まれます。
メンバー3人でしか共有されない企業秘密があるだろうし、そこで継承されていくものがあるんでしょうね。
 

授賞式にて。左がクワガタロボットの本多さん、右がワシの津田さん

伊藤
(津田)樹希くんも初めて全国大会に出たのが3年生で、最後の6年生でここまで進化した。
 
松浦
一時代を築いたレジェンドでした。そのラストイヤー。
 
伊藤
今年は全国大会常連のラストイヤーが多かったんです。
寂しい半面、今回ニューフェイスも多かったこともあり、それをふまえて来年また見ると別の味がして楽しいと思います。
 
ギャル電
最近小ロボを知った人も、この記事で小学生ロボコン2025の復習だけしておいてもらえば、来年から新規ファンとして入りやすいですね。
 
 
というわけで小学生ロボコンの盛り上がりはたっぷり感じていただけたかと思うが、それと比例してこちら「振り返る会」のテンションも最高潮に達してきた。
 

立ち上がる松浦さん
座ってられない伊藤さん

最後に一人ずつ感想と小ロボに寄せるメッセージを一言ずつ言って終わる段取りだったのだが、熱がこもりすぎてこのパートだけで文字起こしが数千字あった。そんな「一言」を限界まで圧縮したものを掲載して、この原稿を締めさせていただこう。(圧縮率もつけました。大きいほど元が長いです)
 
ギャル電
ギャル電から言いたいのは、ロボットを持って予選に出た時点で、まず偉い。
だからハイレベルな全国大会を見て打ちひしがれた小学生がいたとしても、そこで落ち込まないでほしいなって思って。だって人のを見てまねすることで技術って飛躍的に上がるじゃないですか。
ガンガン真似してけばいいし、その中で絶対にその子の個性って出てくるから。それを見せてほしいなと思います。来年もルールブックをしっかり読み込んで注目したいです。(圧縮率50%)
 
石川
去年のこの会、そして全国大会と2回取材させてもらって、すごく小ロボのことがわかりました。と同時に松浦さん伊藤さんから漏れてくる「予選からずっと見てるからこその情報」がますます面白くなってきたんです。知れば知るほどもっと知りたくなる大会でした。
今後はメンターさんの話なんかも聞いてみたいなと思ってます。(圧縮率30%)
 
伊藤
ここで得た自信が彼らの将来、何かの時に背中を押す力になってほしいなと常に思っています。
「この場を乗り切れたから自分は大丈夫だ」って思ってほしい。
 
あと、私はロボコンを通じてみんなが将来ロボットを作る人にならなくても別によくて、その先の可能性を無限に広げる機会になってほしいと思っています。
シオマネキの生態にめちゃめちゃ詳しくなるとかでも良いし、私はずっとイベント屋さんになってほしいなと思って(笑)。
小ロボ楽しかったな。じゃあそういうイベントを企画する人になろうって思ってくれたりしたらすごく嬉しいなと思っています。
そういう、すごく長い目で、小学生ロボコニストの将来に私は期待しています。(圧縮率70%)
 
松浦
小ロボは小学生にいろんな体験をしてもらえる機会として、予選会では「この夏初めてロボット作りました」っていう子でも得点が得られる競技設計にしてます。その体験が何か次に繋がると嬉しいです。
 
一方で、全国大会は、もちろん勝ったり負けたりはあるけど、この大会に来てること自体がとんでもないんだっていうことはぜひ本人たちに伝えたいですね。身近にはそうそういない、自分と同じ熱量でこういうのが好きな仲間やライバルと出会ってほしい。そうしたらまた将来どっかでまた道が交わることもあるかもしれない。
 
こういうところで物作りと縁があった方々は、きっと将来もそれに何か関わってくれるでしょうし、あるいはここで得たものがその後の人生の糧になってくれると思います。小ロボがそんな場になってくれればいいなと思います。(圧縮率90%)
 
小学生ロボコン2025は現在YouTubeに公式映像がアップされているほか、
 
当サイト、CEMEDINE Styleにも僕が書いたレポートが掲載されている。
 
この記事を読んで興味がわいたという方はぜひ小学生ロボコンについて履修していただき、次の小学生ロボコン2026に備えてほしい。
 



ライター:石川大樹
「技術力の低い人 限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者、雑な電子工作作家。共著書に初心者向け電子工作本「雑に作る」(共著、オライリー・ジャパン)。
本業は編集者・ライター。よみものサイト「デイリーポータルZ」などで編集を担当。趣味はワールドミュージック収集です。
 

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