ものづくり 2024年09月30日

おもちゃの弓矢で流れ星を作ったら、 羞恥心のその先に行けた

流れ星。
それは奇跡のように映る、あまりにもロマンチックで美しい夜空の贈りものである。

今宵そんな奇跡を読者の皆さまにも届けていこう……。



どうも!初めまして、庭氏と申します。
(流れ星をイメージして走り込んでます)
 いきなりですが、 僕は学生時代にモテたくて天体観測を趣味にしてたものの、結局モテること はなかったという悲しい過去を持っています。

そんな夜空よりも暗い青春時代を送っていた僕の憧れに、流れ星を観るというものがありまし た。

1秒よりも短い時間に流れていってしまう流れ星にたまたま遭遇するのなんて、それこそ天文学 的な確率に思えます。

時は経って、いまや立派に社会を生き抜く大人になりました。

(たまにモグラを胸ポケットに入れて一緒に仕事をしています)
会社では会議のことをMTGと略すし、目次のことをアジェンダとか、予算のことをバジェット とか言って満足している生活を送っています。

あらゆる荒波を越えていく中で、ふと気づきました。

なぜ星が流れるまで待っているのだ、と。

大人だったら、流れ星くらい自分で流せばいいのです!

アイディアと工作力を持って、あの頃の寂しい僕の青春を照らす奇跡の星を、作ってみればいい!

僕の流れ星作りはそんな強い気持ちで幕を開けました。

15分で出来る流れ星の作り方

そんなわけで、本日使う材料はこちら!

最適なアイテムを苦労してでもかき集めようと意気込んでいたのですが、接着剤以外100円 ショップで揃いました。だいたい牛丼の大盛りと同じくらいの価格感です。

今回キーアイテムとなるのは、画像右上の弓矢。

そう、この弓矢に星をくっつけて発射する、それだけで流れ星を再現してみせます。

まずは星をつくっていきましょう。
そうやって宣言するとずいぶん大仰ですが、使うのは大地ではなくダンボールです。

ダンボールに星の型を描いて、
 (この間Amazonで爆買いしていて助かりました)
それを切り出していきます。
ここで自分の工作力を身をもって知ったのですが、きれいな星をうまく切り出すのが、めっ ちゃくちゃ難しい!!

まっすぐ切り出していたはずなのにいつのまにか線が曲がっていたり、
勢いづいて大きく(または小さく)切られてしまったり。

まるで自動車免許取り立てのときのカーブくらい、見積りから大きくずれてくる。

四苦八苦、自身の不器用さにうろたえながら、最終的になんとか形になった3つの星がこちら。
まるで幼子の工作記事みたいですが、社会人(8年目)の全力です。

平日はExcelショートカットを使いこなしてあっという間にグラフや数表を作っているのに、まさかダンボールを星型に切り抜くだけでこんなにも苦労をするとは。

ここまで想定から外れてくると、なんだか自分の知らなかった面を知れたようで嬉しくなってきました。
小学生ぶりの工作の難しさ、大人の全員に味わってほしい。

さて気を取り直して、この星たちに着色をしていきます。
 蛍光イエローで塗りつぶしていくうちに、いびつな星たちに愛着が湧いてきました。
会社に持って行きたいな。

いよいよ仕上げに入ります。

おもちゃの矢の先端についていた吸盤を大人の腕力でもぎ取り、
ヘラに接着剤をつけて、
ダンボールの星と弓矢(棒)の両方に接着剤を注入していきます。
あとは棒の先端をダンボールの隙間に差し込んでいくだけ。
流れ星の「星」の部分ができました。
(このあたりで自分の工作物の愛らしさにかなりはしゃいでいます。)

これだけではちょっと物足りないので、更にひと工夫をしましょう。

実際に星を飛ばしたときに躍動感が出るように、スズランテープを切って、
弓矢の棒の先端にくくりつければ……。
擬似流星(タレント名みたいだ)の完成です!!!
矢の部分を持ったら、まるで魔法のステッキのよう。

成人男性の休日に現れる物体にしては、妙にファンシーな世界観になってしまいました。

でもここまではただの下準備。

流れ星は流れてこそ意味が生まれます。
この星を僕自身の手でぶち飛ばして、流れ星を再現していこう!

1人でおもちゃの弓矢を飛ばすのはかなり恥ずかしい

弓矢を飛ばしても危険がない広いところを求めて、近所の公園にやってきました。

この撮影をしていた8月12日は最高気温が35℃を超える猛暑日で、日陰を歩いているのに汗が噴き出してきます。
とはいえ、流れ星が観れるならそんな暑さもなんのその。
それでは弓矢を構えて……

いざ、発っっ射!!!

ん??????

なんか……想定では「ヒュン!」と流れるはずが、「ボテっ」と落ちただけのような……。
(落ちている星もなんだか寂しげだ)
これでは流れ星じゃなくて、ただの落とし物だ。

もしかすると、ダンボール星が軽すぎて風にあおられてしまっているのか。

手元にたまたま磁石があったので、試しに裏側にくっつけてみた。
(こういう時さっとリカバリーができると工作得意みたいで嬉しい)
それでは、再びの発射!!!
おお!ちゃんと放物線を描いているのはいい感じだ。

飛距離は伸びたがなんだかパッとしない。
うーん、なんでだろう。


……いや、うすうす理由はわかっているのだ。


恥ずかしがっているんだ。僕が。


この時撮影をしていた公園はお盆休みということもあり、老若男女あらゆる人たちが憩いの時間を過ごしていた
(人々をやり過ごすために伸びている様子)

ちょうどこの撮影を始めたときにも、二人の男女がベンチに座って楽しげに会話していた。
そんないい雰囲気の横で流れ星を発射することが恥ずかしかったのだ。

これまでの写真を見返しても、明らかにこっそり発射している、その姿勢のせいで流れ星が中途半端になっていた。

そんな覚悟で!あの頃の色褪せた青春を送っていた自分を納得させられるか!!

やるぞ!!!本気の流れ星を!!!

羞恥心のその先へ

弓を高い位置に構える。

さっきまで虫取りをしていた親子がこちらに顔をむけている。
周囲が明らかに僕に注目しているのが伝わってきた。

しかし、今はそんなことを気にしている時じゃない。

ついに僕は、精一杯の気持ちを込めて、その矢(星)を放った。

当然だが高くから発射した分、星の軌道はよりそれっぽくなった。
ただ速度や見た目はあまり変わっていない。

しかし、それでも羞恥心を取っ払ったおかげか達成感は先ほどとは比べものにならないほどあった。
写真を見返している今でもやりきったな〜という気持ちになっている
(さっきまではおどおどと隠れるように回収していた矢も、堂々と手に取っていた)

自分はいま、やれることをすべてやって、「流れ星」を作りだした。

そんな強い気持ちが去来していた。
(達成感の顔)

なんだか清々しい。
これが、日本の夏か……。
(注:筆者は日本から出たことがありません)

星に願うな、自分に祈れ

当初の予定からは大きく外れて、自作した流れ星を置いてけぼりにして自尊心との戦いになっ てしまいました。
だが、少なくとも今の僕は学生時代の暗い自分よりも胸を張ってやり遂げたという強い自負を感じます。
 
実際の流れ星に遭遇しなくても、おもちゃのダンボール流れ星がなくても、人は前を向いて歩いていける。

この記事を通して、そんな勇姿を感じ取っていただけると嬉しい。
 

(念の為、発射時視点も載せておきますね。)
ちなみに余談ですが、偶然この撮影をしていた8月12日はペルセウス座流星群の極大日(特に流れ星が観測しやすい日)だったそうだ。
 引用:https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2024/08-topics03.html 
僕はそんなことも露知らず、炎天下の公園でおもちゃの弓矢に星をくっつけて流れ星を射たということになる。

あれ、こんなに世界とすれ違う人っていますか?織姫と彦星か?


もしあの時へんな達成感を覚えずに、帰りみちに夜空を見上げていたら。
そんな奇跡を夢想せざるを得ません。

なんだか、むしろ流れ星への憧れが強烈に残ってしまう結果となってしまった。
今度は双眼鏡でも自作しようと思います。

真夏の夜空は夏の大三角や天の川が綺麗に見える、全天の中でも見どころが多い季節です。
もしまだ間に合うなら、ぜひ夜空に注目してみてください。
想像よりも綺麗な流れ星が突然目の前をよぎるかもしれません。
 
もし流れ星が見えたら僕にも教えて。独り占めしないで。頼むから。
 

ライター・ブロガー:庭氏(にわし)
東京都在住。会社員をしながらライターとして活動し、時々Webメディアへやってみた系記事を寄稿している。
普段は自身のブログサイト(sinenai.com)で細々と活動中。主な移動手段は徒歩。

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