ものづくり 2024年12月13日

フロッピーのカプセルトイが欲しかったので自作してみた。

最近では、いたる所にカプセルトイのマシンが置かれている。景品も趣向を凝らしたものが多いが、個人的に心惹かれるのはいろんなモノをミニチュア化したフィギュアである。工具や日用品など、様々な種類のミニチュアフィギュアが発売されている。

ただ、私が本当に欲しいアレのカプセルトイをまだ発見できていない。欲しくてたまらないアレとは、「フロッピー」のミニチュアである。

世にないなら作ってしまおう。

フロッピーのミニチュアが欲しい

フロッピーは、かつて主流だった記録メディアである。いまではアプリの「保存ボタン」と言った方が馴染み深いだろう。
(以降、フロッピーとは「3.5インチフロッピーディスク」を指す)

手元にあったフロッピー。一時期流行ったスケルトンカラーに時代を感じる
フロッピーは保存アイコンになるくらいなので、見た瞬間に「フロッピーだ!」と分かる特徴的な形状をしている。正方形に近い形もかわいいし、シャッター部分をカシャカシャと動かすのも楽しく、個人的にはポジティブな印象しかない。

見るからにグッズ化に向いていそうなフロッピーであるが、モチーフにしたものってあまり見たことがない。みんな欲しくないのだろうか。私は欲しい。ないなら自分で作ろうじゃないか。

そんなわけで、「フロッピーがカプセルトイ化されたら、きっとこんなグッズになるだろう」というのを想像しながら、自分が欲しいフロッピーのミニチュアを作ってみた。

その1:ミニチュアフィギュア

カプセルトイも値段によって精巧さやギミックに差がある。昔は100~200円が多かったけれど、最近では300円~500円が主流になり、さらには1000円や1500円のものも登場している。

いろんな価格帯のものを考案していきたいが、まずはギミックのない安価なミニチュアフィギュア(300円想定)を作ってみよう。

実物のフロッピーを参考に、多少のデフォルメを加えて3Dモデリングを行った
それを3Dプリンタで出力したら、単純なミニチュアフィギュアの完成だ
ボールチェーンを付けると、キーホルダーとして使える
フロッピーを持ち歩こう!
そう、欲しかったのはこれである。カラーバリエーションも作りやすいし、何よりかわいい。つくづくミニチュアフィギュアに向いているモチーフだと思う。
何色か作ってみた。ほら、かわいい。ラベル部分は付属シールを自分で貼る形式にするといいかも
実物のフロッピーとの比較。約1/4の面積である
裏面も忠実に再現している
本題とは関係ないが、実物のフロッピーのラベルに「win2k disc4」と書かれているのに時代を感じる。おそらくWindows2000の起動ディスクだったはずで、フロッピー4枚組のうちの4枚目であろう。容量が少ない(このフロッピーの場合は1.44メガバイト)ため、何枚ものディスクに分割して保存し、何度も手動でディスクチェンジしていたのだ。

フロッピーを見ていると、20年以上前のことを思い出して懐かしい気持ちになる。最近では「平成レトロ」が脚光を浴びているので、フロッピーブームも来るんじゃないかと妄想している。
ちゃんとカプセルに収まるサイズになっている。2枚組にすると満足感があっていいかも
あったらいいな、フロッピーミニチュアフィギュアでした

その2:光る!フロッピードライブ

次はもう少し価格帯を上げて、ギミック付きのカプセルトイを作ってみたい。500円想定だったら、こんな感じだろう。

ミニチュアフロッピーとドライブのセットである
フロッピーは先ほどよりも一回り小さいサイズ
ドライブごとカプセルに収まるサイズにする必要があるため、フロッピー自体はさらに小型化が必要で、ミニチュアのミニチュアといった大きさになった。これはこれでかわいい。

そしてこのドライブにはギミックが付いている。フロッピーを差し込んでみよう。
小さなフロッピーをドライブに差し込むと……
アクセスランプがチカチカ光る!
フロッピーを差し込むとアクセスランプが光り、イジェクトボタンを押すとフロッピーが取り出せてアクセスランプが消える
アクセスランプは、フロッピーへの読み書きをしている最中に光るランプである。実物もこんな風にチカチカと点滅する光り方をする。なかなか良いギミックでしょう。
もちろんカプセルに収まるサイズで、フロッピー1枚付き
500円でこれがあったら絶対欲しい
この小さいサイズにギミックをギュッと収めるのに少し苦労した。中身がどうなっているのか紹介したい。

光る!フロッピードライブの中身

フロッピードライブを構成している部材
光るギミックは、ボタン電池、スイッチ、LEDで実現している。ものすごく単純だ。

ただ普通のLEDだと点滅が実現できないため、今回は「キャンドルLED」という勝手にゆらゆらと点滅してくれるLEDを使用した。
電池に直結するだけで、キャンドルライトのようにやさしく点滅してくれる。まさにアクセスランプにうってつけ
結線もかなり簡単である
フロッピーを差し込むとスイッチが押されて通電し、キャンドルLEDがチカチカと光る。このシンプルさがまさにカプセルトイ! という感じがして、個人的に気に入っている。
イジェクトボタンは、押すと奥にある部材がシーソーのように動き、
その動きによってフロッピーが排出できるようになっている。これまた単純
手なぐさみにチカチカと光らせたくなる、そんなカプセルトイが完成した

その3:保存ボタンとして使えるフロッピードライブ

さらに価格帯を上げていこう。最近では1500円のカプセルトイも売られている。そのほとんどが精巧なフィギュアであるが、今回は精巧さではなく、電子部品を使う方向で高級化していきたい。

作ったものはこちら。見た目は先ほどの500円版と全く同じである
しかし背面を見るとUSB端子が付いている
こんな風に、実際にPCと接続できるのだ

このミニチュアフロッピーにデータが保存できれば面白いのだが、さすがに実現が難しかったため、違う機能を持たせた。それは「保存ボタン」としての機能だ。

PCに接続した状態でミニチュアフロッピーを挿入すると、
PC上では「Ctrl+s」、つまり上書き保存のショートカットが押されたことになる
上手な見せ方ができず少し分かりづらくなってしまったが、
・フロッピードライブにミニチュアフィギュアを差し込む
・PC上では「Ctrl+s」のキーが押されたことになる
・上書き保存ができる
という動作ができるガジェットなのだ。

つまり、例えばWordで文章を作成したあと、このミニチュアフロッピーを差し込むことで上書き保存(Ctrl+s)ができる。保存アイコンがフロッピーであることにちなんだ機能というわけだ。

中身もほとんど500円版と同じであるが、電池の代わりにマイコンボードを搭載している
使っているのは、「RP2040」というマイコンを搭載した小型ボードである
このマイコンに、「スイッチが押されると、PCにCtrl+sのキー操作を送れ」というのをプログラムしている。仮想的なキーボードとして振る舞うことで、キーボードを触らずにショートカットキーを押す動作が実現できるのだ。

RP2040は「Raspberry Pi Pico」に搭載されているマイコンで、比較的安価に入手が可能。このボードも中国の通販(Aliexpress)で200円だった。価格的には、なんとかカプセルトイの範疇に収まるのではないかという素人の予想である。

ちなみにアクセスランプは同様にチカチカ光るようになっている
こちらもカプセルに収めましょう。高機能なガジェット的カプセルトイであった

あったらいいな、フロッピーのカプセルトイ

そんなわけで、3種類のカプセルトイを価格帯別に想像しながら作ってみた。

カプセルに収めると満足感がある
3つ目は少し説明が難しいなと感じたので、バランスが良くて万人受けしそうなのは2つ目までだろうか。実際にちゃんとしたクオリティでこんなカプセルトイがあったら、全種コンプリートするまで回してしまいそうだ。いつか発売されることを願っている。

あと今回は3.5インチのフロッピーディスクにしたけれど、フロッピーには5インチや8インチもあり、それぞれ見た目が異なっている。ミニチュアフィギュアのバリエーションでインチ違いがあると、より物欲が刺激されそうだ。
それはそうと、妄想を形にする作業は楽しい!

 斎藤 公輔:1983年徳島県生まれ。大阪在住。散歩が趣味の組込エンジニア。エアコンの配管や室外機のある風景など、普段着の街を見るのが好き。「デイリーポータルZ」などで記事を執筆中。

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