ものづくり 2021年11月05日

高専ロボコン2021|東海北陸地区大会観戦レポート

10月24日、高専ロボコン2021の東海北陸地区大会が開催されました。
今年の地区大会は、昨年同様にオンラインでの実施です。学生たちは、各学校から自慢のロボットを披露します。従来のようなロボットづくりができない環境下、学生たちは工夫と技術を凝らしたロボットを作り上げました。総勢 チームが鎬を削る東海北陸地区。次々に飛び出す多彩なロボットたちから目が離せません!

 

今年の競技は?

今年のテーマは、【超絶機巧(すごロボ)】!とにかくすごい!ロボット。みんな集まれー!
自分たちがこだわってきた技術、挑戦してみたい新しい技(ワザ)を徹底的に追求し、「すごい!技のロボット」を製作し、披露します。

審査ポイント
  1. チームがこだわった技術の難易度とその達成度
    A:技術の難易度と独創性
    B:技術の達成度
     
  2. ロボットのアイデアとパフォーマンスのすばらしさ
    C:ロボット全体の完成度
    D:パフォーマンスにおける表現力
審査方法
  • チームごとに順番にパフォーマンス
  • 審査員が1人につき8点満点で採点、審査員5人合計で40点満点
  • 今年のパフォーマンスは1発勝負!泣いても笑っても1回の発表で結果が決まります
パフォーマンス時間
  • 事前プレゼンテーション:30秒
  • 発表時間:2分以内

出場チーム紹介

No 出場校 ロボット名・プロジェクト名 No 出場校 ロボット名・プロジェクト名
1 鈴鹿高専 Bチーム 鈴家物語 10 富山高専 本郷キャンパス Bチーム Hongo eats
2 石川高専 Aチーム 一心同体 11 富山高専 Aチーム オルテンシア
3 富山高専 本郷キャンパス Aチーム ロボドックラン 12 岐阜高専 Aチーム CROWNS
4 岐阜高専 Bチーム music cafe りたーんず!! 13 石川高専 Bチーム 箸割観音
5 富山高専 射水キャンパス Aチーム 軟体生物X 14 福井高専 Bチーム STDIO.Humans
6 鳥羽商船高専 Aチーム ROBO'S レストラン 15 豊田高専 Bチーム 庭師
7 沼津高専 Bチーム バッテリー 16 鈴鹿高専 Aチーム プロジェクトS
8 福井高専 Aチーム からくり流鏑馬倶楽部 17 沼津高専 Aチーム aider
9 鳥羽商船高専 Bチーム HighZen      

ここからは、知恵とアイデアが詰まった各校のロボットたちの一部を紹介します☟

富山高専 本郷キャンパス Aチーム「ロボドックラン」

富山高専本郷キャンパスAチーム「ロボドックラン」は、人間が投げたボールを追いかけ拾って持ち帰るメカドッグロボを作りました。画像処理を用いた物体検知を活用し、色と距離を同時に測ることができる高精度のRGB-Dセンサーを採用することで、目印となる赤いボール、飼い主を表す黄色いランプを見分け、フィールドを正確に動き回ります。見た目もかわいらしく、完成度の高いロボットでした。

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岐阜高専 Bチーム「music café りたーんず!!」

昨年度、多くの人の記憶に刻まれたあのチームが返ってきました。岐阜高専Bチーム「music café りたーんず!!」は昨年から大幅にパワーアップ!ギターとドラムとピアノを同時に奏で、ラヴェルのボレロを演奏します。楽器の配置、機構などを研究し、難易度のたかい複数の楽器の同時演奏を正確に行いました。
3台のスイッチを同時に入れることで拍子を合わせるアナログ同期方法にも驚かされました。

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富山高専 射水キャンパス Aチーム「軟体動物X」

富山高専射水キャンパスAチームの「軟体動物X」は、その名のとおり軟体なタコをロボットで表現しました。「今までなかったようなロボットをつくりたい」というマインドから、「素子」というオリジナルの部品を考案し、96個タコに搭載しました。圧縮空気を動力に、素子の袋が伸びる・縮むだけでモーターを使わずにタコのリアルな足遣いを再現しました。8本の足がそれぞれ別に動くよう、素子を簡単に制御できるアプリを開発し、プログラムの時間を短縮、微細な動きを可能にしました。

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鳥羽商船高専 Aチーム「ROBOsレストラン」

よくある技術の組み合わせで「すごい技術」を披露したのは鳥羽商船高専Aチーム「ROBOsレストラン」。一つ一つの動作の難易度はけして高くないものの、それを「レストラン」というストーリーに落とし込み、
机をふく、お冷とシルバーを配置する、スタイリッシュなフライパンさばきで調理をする、お皿に盛りつける、お塩を振るなど一連の動作と紐づけて「すごロボ」に昇華させました。アイデアと工夫が際立ったロボットでした。

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沼津高専 Bチーム「バッテリー」

昨年優勝校である沼津高専Bチーム「バッテリー」が挑んだのは、その名もずばりキャッチボールしてくれるロボット。高専生が投げるボールの軌跡を予測しながら落下地点に移動し、キャッチする難易度の高い技術に挑みました。ボールが落ちてくるわずか数秒の間に動く標的を検知して軌道の予測、移動を行います。また、キャッチにつかうグローブ(?)部分には、敢えて口径の小さいメガホンを使うなど、どこまでもチャレンジを続けた意欲的なロボットです。

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福井高専 Aチーム「からくり流鏑馬倶楽部」

福井高専Aチーム「からくり流鏑馬倶楽部」は2台の自動ロボットでの流鏑馬ロボットづくりに挑みました。見どころは馬ロボットと発射ロボットのドッキング&連携です。まず馬ロボットがセンサーで的の位置を計測し、射出ロボットを発射ポイントまで移動させます。到着すると馬ロボットから射出ロボットに信号が渡り、弓を引いて矢が発射されます。矢は外れてしまいましたが、流鏑馬の移動・発射の動きを全自動で行うという目標を高いレベルで実現しました。

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富山高専 本郷キャンパス Bチーム「Hongo eats」

富山高専本郷キャンパスBチームの「Hongo eats」はUber Eats」よろしく、食事を運んでくれる2台組のロボットです。料理の水平を保ちつつ坂道を上るほか、途切れた道に橋をつくりながら安定した足回りで移動が可能です。途中で落下してしまいましたが、細い道のうえを4つのプロペラでドローンのように移動する難しい技術にもチャレンジしました。(そして天ぷらそばのクオリティが高い!)

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石川高専 Bチーム「箸割り観音」

シンプルな機構で、シンプルな動作を芸術的に昇華させたのは石川高専Bチームの「箸割り観音」。荘厳な雰囲気のなか、観音様ロボットが割りばしを美しく割るパフォーマンスを披露します。モーター1つのシンプルな機構で箸を持つ、箸を割る、割った箸でお蕎麦を掬うすべての動作を行うことができる一方で、細く繊細な割りばしを狂いなく割る繊細な力加減の制御と位置調整が必要になります。割れた断面図も美しく、「割りばしを割る」というシンプルな動作をすごロボに見事落とし込みました。

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豊田高専 Bチーム「庭師」

技術とアートの融合で幻想的な世界を創りあげたのは豊田高専Bチーム「庭師」。茎をのばし、花を咲かせ、綿毛を飛ばし、命をつなぐタンポポの一生を巨大な自動ロボットで再現しました。タンポポの外装には折り紙の円筒ネジ折りが採用されているほか、DCモーターとウォームギアを動力に使うことでタテ方向の動きをつくるなど、随所に技術とアイデアが光りました。

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鈴鹿高専 Aチーム「プロジェクトS」

鈴鹿高専Aチームの「プロジェクトS」は全自動ロボット2台によるペットボトル射出とペットボトル回収です。射出ロボットは発射制度を極限まで高め、6メートル先の的にわずか1%以下の誤差でペットボトルを発射することが可能です。回収ロボット「××」は、ジャイロセンサー・ロータリーエンコーダー・レーザー距離計など様々なセンサーを組み合わせて「自分がどこにいるか」を正確に把握することで、ペットボトルを回収し、ゴミ箱まで確実に運ぶことができます。どちらも非常に高い精度で調整が行われており、技術力の光ったチームでした。

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沼津高専 Aチーム「Aider」

リモート制御の技術が光ったのは、沼津高専Aチームの「Aider」 。遠隔操縦で救助ロボットを火事現場に出動させ、ドーモ君を救出します。操縦は高専生がバランスボードの上にのって行います。重心移動に連動し、縦横無尽に移動が可能です。ロボットアームもまた、装着型のコントローラーによって操縦されており、高専生の腕の動きをトレスすることで細かな動きを実現しました。実際の災害現場などでも活躍が期待できそうな、臨場感あふれる素晴らしいパフォーマンスでした。

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以上で全パフォーマンスの発表が終了です!皆さんお疲れ様でした!

沢山のすごい技術をありがとうございます!

表彰式

結果はこちら!

優勝 鈴鹿高専 Aチーム「プロジェクト S」
アイデア賞 富山高専 射水キャンパス Aチーム「 軟体生物X」
技術賞 沼津高専 Bチーム「バッテリー」
デザイン賞 豊田高専 Bチーム「庭師」
協賛企業特別賞 本田技研工業株式会社 岐阜高専 Bチーム「music cafe りたーんず!!」
マブチモーター株式会社 沼津高専 Bチーム「バッテリー」
株式会社安川電機 石川高専 Bチーム「箸割観音」
東京エレクトロン株式会社 岐阜高専 Aチーム「CROWNS」
田中貴金属グループ 鈴鹿高専 Bチーム「鈴家物語」
ローム株式会社 沼津高専 Aチーム「aider」
セメダイン株式会社 富山高専 本郷キャンパス Bチーム「HONGO Eats」

優勝

全国大会の切符を勝ち取ったのは、自動制御と自動射出の精度を追求し、見事成功させた鈴鹿高専Aチーム「プロジェクトS」です。

アイデア賞

タコの柔軟な足先を表現するため、96ものアクチュエーターを自作した富山高専射水キャンパスAチーム「軟体生物X」が受賞しました。

技術賞

人とのキャッチボールという難易度のたかいチャレンジを行い、見事成功させた沼津高専Bチーム「バッテリー」が受賞しました。

デザイン賞

折り紙の技術をつかって温かみのあるたんぽぽ、綿毛を表現した豊田高専Bチーム「庭師」が受賞しました。

 

全国大会出場校

東海北陸地区からは鈴鹿高専Aチーム(プロジェクトS)のほか、審査員が推薦した熊本高専熊本キャンパスBチーム(ゴリラ3)、大分高専Aチーム(The Great Penguins Show)、沖縄高専Aチーム(昇琉)の3チームが全国大会に出場します。国技館ではどんなパワーアップを見せてくれるのでしょうか。

全国大会は11月28日に開催です!皆で応援しましょう!

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