ものづくり 2021年11月24日

高専ロボコン2021|東北地区大会観戦レポート

10月31日、高専ロボコン2021東北地区大会が開催されました。
今年の地区大会は、昨年同様にオンラインでの実施です。学生たちは、各学校から自慢のロボットを披露します。従来のようなロボットづくりができない環境下、学生たちは工夫と技術を凝らしたロボットを作り上げました。高専ロボコン地区大会のラストを飾る東北地区大会。アイデアと技巧が光る足回りのロボットが多数登場しました。

今年の競技は?

今年のテーマは、【超絶機巧(すごロボ)】!とにかくすごい!ロボット。みんな集まれー!
自分たちがこだわってきた技術、挑戦してみたい新しい技(ワザ)を徹底的に追求し、「すごい!技のロボット」を製作し、披露します。

審査ポイント
  1. チームがこだわった技術の難易度とその達成度
    A:技術の難易度と独創性
    B:技術の達成度
     
  2. ロボットのアイデアとパフォーマンスのすばらしさ
    C:ロボット全体の完成度
    D:パフォーマンスにおける表現力
審査方法
  • チームごとに順番にパフォーマンス
  • 審査員が1人につき8点満点で採点、審査員5人合計で40点満点
  • 今年のパフォーマンスは1発勝負!泣いても笑っても1回の発表で結果が決まります
パフォーマンス時間
  • 事前プレゼンテーション:30秒
  • 発表時間:2分以内

出場チーム紹介

No 出場校 ロボット名・プロジェクト名 No 出場校 ロボット名・プロジェクト名
1 秋田高専 Aチーム 白熱!クウェペナ 8 八戸高専 Aチーム UMIBOZU烏賊す
2 八戸高専 Bチーム Think Tank 9 仙台高専 広瀬キャンパス Aチーム 虎視tank²
3 一関高専 Aチーム かべはしるごみひろう 10 鶴岡高専 Bチーム 卒業への道
4 仙台高専 広瀬キャンパス Bチーム 君に合体 11 福島高専 Aチーム リスペクト
5 仙台高専 名取キャンパス Bチーム ディスクスナイパー 12 一関高専 Bチーム ロボウェイター
6 秋田高専 Bチーム ARA 13 鶴岡高専 Aチーム さくらんぼ採り隊
7 仙台高専 名取キャンパス Aチーム インディン 14 福島高専 Bチーム 氷上演舞

ここからは、知恵とアイデアが詰まった各校のロボットたちの一部を紹介します☟

秋田高専 Aチーム「白熱!クウェペナ」

トップバッターは秋田高専Aチーム「白熱!クウェペナ」。アフリカ発祥の子供あそびクウェペナをロボットで再現しました。クウェペナとは、ボールをよけながら間におかれた棒を拾うドッジボールと棒拾いを合わせたような遊びです。手動ロボットのアンティは交わされるボールをうまくかわして素早く棒を拾います。そんなアンティを狙うのは自動ロボット「レイダー」。 追尾プログラムが組まれており、アンティを狙ってボールを投げることが可能です。細かな制御が施されたレイダーは、パスの軌道も正確で、人VSロボットの白熱した戦いを繰り広げました。

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八戸高専 Bチーム「Think Tank」

高専生の考える「かっこいい」を追求したのは八戸高専Bチーム「Think Tank」。浪漫溢れる砲塔を積んだ多脚変形ロボットです。変形する脚、ロボットアニメのような操縦コックピット、遠隔操作で的を狙い変形する射出機構など搭載したギミックもすべて完璧に動き、射出によってターゲットを倒した時には喝さいがあがりました。脚の機構はなんと13回も作り直したそうで、どこまでも「やりたい!」「見せたい!」の気持ちを磨き上げたかっこいいロボットでした。

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一関高専 Aチーム「かべはしるごみひろう」

一関高専Aチーム「かべはしるごみひろう」は、その名の通り壁を走るロボットと、ごみをひろうロボットの2台です。(わかりやすい!)ゴミを拾う「F-forth」は、集まったゴミを金属探知機でアルミ缶とスチール缶を仕分け、さらに光センサーで光の透過性を計測し、ペットボトルを分別します。スムーズで正確な仕分け作業に注目です。そして壁をはしる「Z-one」は昨年の機体を大幅にアップデートした機体です。4輪駆動での垂直走りを実現するため、素材の選定、設計を見直しその機体は4・7kg→2.1kgまでの大幅な軽量化に成功しました。ギアを除いたすべてが高機能なメカメカしく美しい自作ラジコンです。今回垂直登りは実現しませんでしたが、昨年度のリベンジを果たすという目標に向け、すさまじい進化を見せたチームでした。

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仙台高専 名取キャンパス Bチーム「ディスクスナイパー」

仙台高専名取キャンパスBチーム「ディスクスナイパー」、動く的をカメラで検知して自動でフリスビーを飛ばして撃ち落とすパフォーマンスに挑戦しました。的も射出機構もすべてが自動制御で、かつ飛ばすのは安定した射出が難しいとされるフリスビーという非常にハイレベルなロボットです。本番では何かしらの不調が発生し、なかなか上手く飛ばなかったのですが、テストランでは鮮やかに百発百中をきめていた模様です。その様子をみても、高い制御の技術と正確な機構の設計が伺えます。

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秋田高専 Bチーム「ARA」

障害馬術と競馬をテーマにしたのは秋田高専Bチーム「ARA」。手動ロボット「イクゼコクギカン」が力強い足回りで秋田大障害4つの関門(心臓破りの坂・S字クランク・ラフロード・デーモン)を危なげなく乗り越えていきます。最後に待ち構える関門「デーモン」は自動で動く障害物。イクゼコクギカンは自身に搭載されたカメラでターゲットを認識して狙い、撃ち落とす予定でしたが残念ながら不発でした。そんな状況を臨場感たっぷりに伝える実況中継はまるで本物の競馬中継のよう。デザイン性と完成度の高いパフォーマンスとなりました。(ちなみにARAのロゴマークは秋田名物のなまはげ。芸が細かい)

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仙台高専 名取キャンパス Aチーム「インディン」

仙台高専名取キャンパスAチーム「インディン」は冒険をテーマにしたロボットによる障害物走です。“あの帽子”をかぶった走行ロボット「インディン」と、壁のぼりを得意とする「ジョーンズ」の2台がフィールドを自在に駆け巡ります。インディンは全国のチームでも珍しい「変形するタイヤ」を披露し、円形のタイヤを手裏剣形に展開することで段差のある道もスイスイと進みます。ジョーンズの腕には蝶番型の爪がついており、上下に動かすだけで壁をのぼることができます。「車輪の再発明」に行き着き、見事実現を果たした高い技術を詰め込んだロボットです。

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仙台高専 広瀬キャンパス Aチーム「虎視tank」

仙台高専広瀬キャンパスAチーム「虎視tank」はバスケットボールとお魚をテーマにした可愛らしくハイレベルな技術が見どころです。動き回るゴールを狙って自動ロボットがボールをシュートします。なんといっても注目は作りこまれた足回りです!2台のロボットにはそれぞれ異なる機構が採用されており、1台は円形断面全方位クローラー、もう一台は無限軌道の機構とオムニホイールを用いた機の併用。いずれもロボットの向きを変えることなく前後左右に動くことが可能です。動く的を自動でおいかけ、安定した足回りで追尾し、射出する一連の流れをスムーズに見せました。

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鶴岡高専 Bチーム「卒業への道」

単位回収という高専生の宿命(?)をテーマを選んだのは鶴岡高専Bチーム「卒業への道」。トミタ君が落としてしまった単位を拾ってきてくれる自動ロボット「タカシ君」をつくりました。アイデアの柔軟さはもとより、単位を拾うにあたってタカシ君には細かな自動制御が施されています。超音波センサーで自身の位置を計測、単位を探しだし、近づいて単位を拾い、拾った単位をトミタくんに届けてくれます。動きも非常に正確で、無事に2つ単位を回収したのでトミタ君の卒業が決まりました。おめでとうございます!

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一関高専 Bチーム「ロボウェイター」

一関高専Bチーム「ロボウェイター」が披露するのはペットボトル(必修単位)の回収・移動、そしてダイナミックなテーブルクロス引きです。ウェイターの手はやわらかい素材が採用されており、握った時にペットボトルの形状にフィットするようにできています。握ったペットボトル(必修単位)を落とすことなく確実に運びます。運び終わったあとに披露するのはいよいよテーブルクロス引き。ペットボトル3本をのせた状態で見事成功させました。テーブルクロス引きには扱いの難しい「布」をつかむだけでなく一気に引き抜く細かな調整が必要です。技術力と演出力が光った一台でした。

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福島高専 Bチーム「氷上演舞」

福島高専Bチーム「氷上演舞」がテーマにしたのはフィギュアスケートと音楽演奏。脚型のロボットは車輪ではなく、足を開閉することで前進や回転ができます。本番では無線トラブルでスケートロボが動かなくなってしまったのですが、そのトラブルを感じさせない卓越した演奏が印象的でした。演奏ロボットには絃が円柱状に張り巡らされ、60個のソレノイドで絃をはじいて演奏を行います。ハイスピードなトルコ行進曲を間違えることなく弾き切り、完璧な調節が行われていたことが伺えます。

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以上で全パフォーマンスの発表が終了です!

皆さんお疲れ様でした!沢山のすごい技術をありがとうございます!

表彰式

結果はこちら!

優勝 秋田高専 Aチーム「白熱!クウェペナ」
アイデア賞 福島高専 Bチーム「氷上演舞」
技術賞 仙台高専 名取キャンパス Aチーム「インディン」
デザイン賞 秋田高専 Bチーム「ARA」
協賛企業特別賞 本田技研工業株式会社 仙台高専 広瀬キャンパス Bチーム「君に合体」
マブチモーター株式会社 八戸高専 Aチーム「UMIBOZU烏賊す」
株式会社安川電機 鶴岡高専 Bチーム「卒業への道」
東京エレクトロン株式会社 福岡高専 Aチーム「リスペクト」
田中貴金属グループ 鶴岡高専 Aチーム「さくらんぼ採り隊」
ローム株式会社 仙台高専 広瀬キャンパス Aチーム「虎視tank²」
セメダイン株式会社 一関高専 Aチーム「かべはしるごみひろう」

優勝

他に類をみないユニークなテーマ設定と、それをハイレベルな技術で再現しきった秋田高専Aチーム「白熱!クウェペナ」です。

アイデア賞

フィギュアスケートを題材に、音楽とスケーティングの2つの切り口で再現を試みた福島高専Bチーム「氷上演舞」が受賞しました。

技術賞

車輪の再開発に挑み、見事走破させた仙台高専名取キャンパスAチーム「インディン」が受賞しました。

デザイン賞

広大なフィールドの再現度、実況のクオリティなど細部まで作りこまれたパフォーマンスを披露した秋田高専Bチーム「ARA」が受賞しました。

 

全国大会出場校

東北地区からは秋田高専Aチーム(白熱!クウェペナ)のほか、審査員が推薦した一関高専Bチーム(ロボウェイター)、仙台高専名取キャンパスBチーム(ディスクスナイパー」)の2チームが全国大会に出場します。国技館ではどんなパワーアップを見せてくれるのでしょうか。

全国大会は1128日に開催です!皆で応援しましょう!

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