ものづくり 2022年03月31日

小学生ロボコン2021-2022全国大会にいってきた!(後編)

2022年3月6日、小学生ロボコン2021-2022全国大会が池袋サンシャインシティ噴水広場で開催されました。リアルとオンラインのハイブリッド開催となった全国大会には全国各地で行われた予選会を勝ち抜いた23人名の小学生が競技部門とアイデア部門に分かれて自慢のロボットで競技に挑みます。前半は、「競技部門」の競技が開催され、花田勘太郎さん、金田理史さん、金子史哉さんの上位3名が決勝ラウンドに進出します。

※「競技部門」の詳細はこちら
 

ここからは、「アイデア部門」の競技と、競技部門の決勝ラウンドをご紹介します!
 

アイデア部門

小学生ロボコン全国大会、アイデア部門では、①ボール回収②段差攻略③ホテルにボールを届ける の3つから、好きなミッションだけを選び、自身のアイデアをパフォーマンスを行います。審査員による「アイデア」「実現できたか」「すごい!」の3つの採点基準による総合得点で順位が決まります。

▼アイデア部門の審査方法

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▼パフォーマンス順

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ミッションコンプリートやタイムアタックにこだわらないからこそできる、自由な発想が満載です。
ここからは出場者のアイデアを見ていきましょう。
 

1.高田 有さん

親ロボットと子ロボットの2台構造、ボールの自動装てん機能など沢山のアイデアを詰め込んだ大きな箱型のロボットです。制作時間がたりず、実現はなりませんでしたが、滑車とモーターをつかって機体の上昇に成功しました。モーターの動力はそこまで強くなく、これだけでもすごいこと!完成が期待される一台です。

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2.樋口 泰志さん

プラダン製アームによる超ダイナミックな「しなり」が目を引く一台です。このしなりを最大限生かし、ホテルの窓へとボールを運びます。さらにこのアームは2倍近い長さに展開させることが可能であり、床にギリギリつくほどにアームをしならせて、その勢いでテラスにボールを届けます。これだけアームが激しく動いてもロボットが倒れないのは低重心に作られているから。アームだけでなく、足回りも作りこむことで、やわらかい素材を採用したアイデアを見事実現させました。見ていて楽しいロボットです。

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3.津田 竜希さん

動滑車によるエレベーター型の昇降機能を用いたロボットでホテルにボールを届けるミッションに挑戦しました。ボールを装てんした筒を上昇させ、筒が傾くことでボールが窓に流し込まれます。箱型のロボットは壁が丸く切り抜いてあり、動く時のロボット内の動きが審査員にもよく見えるように出来ています。レギュレーションにある材料だけでこの仕組みをここまで正確に動かすことは非常に難しく、精巧さと意匠性の美しさに、公式ロボットキットの制作を担当した解説役の和田さん・花守さんも驚いていました。

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4.山本 桜大さん

のびるアームとアームの傾きを利用してテラスにボールを届ける「のびるくん」、ボールを射出し3階の窓に届ける「てっぽうくん」、1階・2階の窓にボールを流し込む「おとどけくん」の3つの機構づくりにチャレンジしました。おとどけくんは、ボール装てん部をモーターで動かすのではなく、ボールを装てんしたボックスを下から押し上げて傾けることでボールを窓に入れる仕組みになっています。1つのモーターで2つのボックスを動かせるようにしたことで、足回りにモーターを使いながら、他のギミックも動かすことに成功しました。

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5.平田 眞一郎さん

各階の窓、テラスそれぞれに異なるアプローチでボールを運ぶことにこだわり、4つの機構を詰め込んだ意欲作です。テラスにはのびるアーム、3階部分には射出機構、2階部分ではボールを装てんしたレールを傾けて流し込む鹿威し機構、1階部分は滑り台の要領でそれぞれボールを運びます。ギミックが多い分操作も複雑になりますが、操作マニュアルを作ることでミスをなくすなど正確に操作させるための工夫が散りばめられており、見事にすべての動作を成功させました。フィールドの背景を宇宙空間にし、ロボット本体も金色に装飾するなど「Hotel The Moon2」の世界観を表現した作りこまれたパフォーマンスでした。

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6.金子 茉尋さん

ミッションの特性上、大型の機体が多数を占めるなかで唯一「小さいロボット」でミッションに挑みました。両手で抱えられるサイズのかわいらしいロボットは操作性が抜群。小回りが利き、大型ロボットが苦戦する段差もすいすいと昇ります。小さな機体には釣り竿のようにアームが収納されており、バネ(?)の力をつかって100cmちかくまで一気に展開します。回収されたボールは機体内で小さなボックスに収納され、そのままアーム先端からくす玉スタイルでテラスに運ばれます。小型ロボットから120cmの高台にどうやってボールを運ぶのか?を見事に実現したアイデア部門に相応しい1台でした。

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7.山田 陽向さん

風の力をつかってボールを送り出す唯一無二のアイデアを披露しました。扇風機の工作キットから発想を得たそうで、風でボールを押し出すことで、ボール装てん箇所を動かすことなくボールを運ぶことができます。ボールを送り出すほどの風をつくるにはモーターの回転数もかなり必要になるため、限られた資材で敢えてアイデアに挑み、形にしたひらめきと技術力が高く評価されました。テラスまでの上昇に用いたパンタグラフジャッキの完成度の高さにも注目です。

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8.荒木 巧天さん

1つのモーターで色々な動きができるロボットです。注目は、ゴムの力をつかった巨大なアームの展開。背面から前方に繰り出すにあたって、ゴムの力も強すぎず、弱すぎず絶妙に調整されており、試行錯誤が伺えます。アーム先端には両面テープが仕組まれており、テープに貼られたボールをテラスに押しつけてボールを取り外します。巧みな操縦技術で見事にテラスへのボール運びに成功し、小学2年生と思えない発想力と実現力に拍手が送られました。

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9.串田 大芽さん

紙をメインにしたシンプルかつ軽量な機体にはアイデアが沢山詰め込まれています。スタイリッシュな機体にとりつけられたアームはがホテル前で展開し、テラスにボールを届けます。ボール回収とボール運搬のミッションをクリアした発想力・技術力にくわえ、残り時間を配慮して段差攻略をパスする判断や、パフォーマンス前のアピールタイムで注目ポイントを紙に書いて説明するなど、卓越したロボコニストとしての一面をのぞかせました。

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10.宮本 昊さん

「柱をのぼるロボット」と自在に動かせるショベルカー&ロボットアームが合体した驚きの一台です。ロボットが道をつくりながら柱をのぼるユニークな機構に加え、上下左右自由に動き開閉できるロボットアームがボールを掴みホテルに運びます。本当に4つのモーターだけで動いているとは思えないハイレベルなギミックの数々に会場からはどよめきが起こりました。宮本くん本人の操縦技術も非常に巧みであり、足回りの駆動、昇降の駆動、ショベルカー本体の操縦、ロボットアーム先端の操縦と非常に複雑な操作を難なくこなし、見事制限時間内でのボール回収ミッション・ボール運搬ミッションをクリアしました。

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競技部門の決勝ラウンド

アイデア部門の後は、競技部門の決勝が行われます。予選でミッションコンプリートまでのタイムが短かった上位3名が、再度ミッションコンプリートまでのタイムを競います。

競技順はこちら ↓

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花田 勘太郎さん

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金田 理史さん

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金子 史哉さん

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結果発表!

「競技部門」と「アイデア部門」の結果と、各賞の受賞者の発表です!

▼アイデア部門
優勝 宮本 昊さん
準優勝 山田 陽向さん
協賛企業賞 HONDA特別賞 平田 眞一郎さん
NOK特別賞 津田 竜希さん
Cygames特別賞 金子 茉尋さん
パーソルR&D特別賞 樋口 泰志さん
セメダイン特別賞 串田 大芽さん
Z会グループ特別賞 山本 桜大さん

アイデア部門の優勝はロボットアームと昇るロボットで114点を記録した宮本さん

▼競技部門
優勝 金子 史哉さん
準優勝 花田 勘太郎さん
協賛企業賞 HONDA特別賞 金田 理史さん
NOK特別賞 大畠 春輝さん
Cygames特別賞 谷口 來生さん
パーソルR&D特別賞 亀田 陽斗さん
セメダイン特別賞 中川 瑞生さん
Z会グループ特別賞 長谷川 弓さん

競技部門の優勝はわずか37秒でミッションコンプリートした金子さん

締めの言葉

2019年から始まった小学生ロボコンですが、昨年までのオンライン大会から、この全国大会でようやくリアルとオンラインのハイブリッド開催となりました。

アイデア発想から制作、パフォーマンスまでのすべてを自分だけで行うという難しさのある小学生ロボコンですが、今年も沢山のロボコニストたちの「唯一無二のアイデア」を見ることができました。

アイデアを実現する試行錯誤こそ、ロボコンの醍醐味!これからも皆さんのアイデアと愛を詰め込んだとロボット達と、リアル開催される大会のフィールドで出会えるのを楽しみにしています。

小学生ロボコン2021-2022全国大会に出場した皆さん、お疲れ様でしたー!
 

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また、全国大会の様子はYoutubeにアーカイブされています!
出場者全員の機体・パフォーマンスを余すことなく見られますよ♪

小学生ロボコン2021-2022全国大会のYoutubeはこちら


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