ものづくり 2021年12月24日

高専ロボコン2021全国大会にいってきた! -後編-

アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト、通称「高専ロボコン」の第32回全国大会が2021年11月28日(日)に両国国技館で開催されました。
2年ぶりとなるリアル大会では【超絶機巧(すごロボ)】をテーマに、「すごい!技のロボット」がパフォーマンスを繰り広げます。引き続き、各チームのアイデアが光るロボットをご覧ください。

 

→前編はこちらから

 

 

あのパフォーマンスをロボットで

徳山高専「一波万波」

徳山高専「一波万波」が披露したのはドミノアート。人がやると時間がかかり、かつ細心の注意が必要なドミノ並べを、ロボットを使ってスピーディーかつ正確に行っていきます。おそらく世界初のずらして並べる機構も見事成功!惜しくも途中で一部が引っかかり倒れてしまったものの、2分間で700を超えるドミノを並べ切りました。並べたドミノは上から見ると「ROBOCON」、倒すと「超絶機巧」になるという、デザインの工夫にも注目です。

群馬高専「DOT」

だるま落としをロボットにやらせてみよう。それもフルパワーで!群馬高専「DOT」がこだわったのは、Theパワー。圧倒的なパワーを生み出すために制作したのは、星型エンジンとフライホイールによる桁違いの動力をもったローリングハンマー(横型ハンマー)と、ギアチェンジ機構を搭載したタテ型ハンマー。一撃が振り下ろされるたび、その迫力に観客からは拍手が巻き起こりました。

 
一関高専「ロボウェイター」

一関高専「ロボウェイター」がチャレンジしたのは人がやっても難しいテーブルクロス引き。やわらかい素材はロボットが扱うのが難しく、さらに積まれたペットボトルも軽量なため、引き抜くには一層技術が必要です。地区大会では3段タワーで崩れてしまったテーブルクロス引きですが、なんと今回は4段タワー(ペットボトル20本!)に挑戦!正確な動作でタワーを崩すことなくテーブルクロスを引き抜くことに成功しました。

 
香川高専高松キャンパス「8236」

香川高専高松キャンパス「8236」がロボットで再現したのは流鏑馬。自動認識による的の追尾、本物の馬の動きを再現した四つ足ロボットによる移動、マスタースレーブ制御による矢の射出などいくつもの技術を高いレベルまで磨きあげ見事的を打ち抜きました。地区大会では見せられなかった動きながらの矢の射出にも成功し、会場が歓声に包まれました。

 

ちびまるが可愛い

沖縄高専「昇琉」

無茶なことをする!をテーマに、リフティング&オーバーヘッドキックに挑戦したのは沖縄高専「昇琉」。リフティングロボットシーサー君は鼻に仕込んだカメラでボール(風船)を認識。自動で落下地点に入り、超音波センサーで検知して的確なタイミングで足を振り上げます。国技館の照明に苦しめられながらも調整を重ね、連続12回のリフティングを披露しました。オーバーヘッドキックは不発だったものの、チャレンジする気持ちが伝わってくるパフォーマンスでした。

※オーバーヘッドキックの成功動画はこちら

 
熊本高専熊本キャンパス「ゴリラ3

熊本高専熊本キャンパス「ゴリラ3」はゴリラ型ロボットがバスケットボールのパス&シュートを決めます。
ゴールに付いたARマーカーを検知して距離をはかり、自動で狙いを定めてシュートを放つというすご技。照明の影響でシュートの軌道が逸れてしまったシーンもあったものの、人間からのパスをつかむ、人にパスを送る、ゴールに向かってシュートを打つという、難しい動作を敢えてバランスとるのが難しいゴリラ型で挑んだ意欲的かつハイレベルな作品です。

 

ゴリラの顔がすごい

ユニークな操縦で魅せる

大阪府大高専「機巧神コウダイオー」

高専生みずからが操縦する手動ロボット。そのロマンあふれる操縦方法で観客の心を鷲掴みにしたのは大阪府大高専「機巧神コウダイオー」。コックピットに座った高専性が操縦する巨大ロボットコウダイオーが、操作に合わせて変形!移動!ロケットパンチ!!タックル!!!!見事敵ロボットを打倒しました。高専生たちが楽しんで取り組んでいることが伝わってくるパフォーマンスでした。

 

 

誰もが憧れるコックピット型操縦席

沼津高専「aider」

昨年度ロボコン大賞を受賞した沼津高専「aider」は、遠隔操作技術が見どころです。バランスボードによる重心移動でロボットを操作し、装着型コントローラーの動きにあわせてロボットアームが作動します。外からは見えない場所に取り残されたどーもくんを、ロボットを遠隔操作して助けるパフォーマンスに挑戦しました。通信の干渉が起こったのか、思うように作動しなかったシーンがありましたが、実際の災害現場などでも活躍が期待されるような完成された技術が光りました。

人とロボットの競演

長野高専「雨のミュージカル」

長野高専「雨のミュージカル」は、音楽にあわせてカエルロボット「ぴちゃん」が傘を使ったパフォーマンス。扱いの難しい傘を持ちながら、会場を軽やかに動き回ります。滑らかな動きで観客をひきつけたあとは、開いた状態の傘を真上に射出し、高専生がキャッチするという離れ業を披露。装飾も華やかで、演出力が光ります。

 
香川高専詫間キャンパス「DBZ」

地区大会からさらにレベルアップしたパフォーマンスで魅せたのは香川高専詫間キャンパス「DBZ」。人とロボットが協調し、ジャグリング(ボールジャグリング&ディアボロ)を披露します。人間とロボットの連携技だけでなく、「ロボットだからこそ出来る高難易度なジャグリング」も随所に散りばめられています。ボールが一つもぶつからないのも細やかなプログラミングがあってこそ。正確無比な調整が光る圧巻の2分間でした。

 
熊本高専八代キャンパスAチーム「AquaMarine」

地区大会でパーフェクトを獲得した熊本高専八代キャンパスAチーム「AquaMarine」は、海の動物たち&高専生が織り成すサーカスと新体操の融合パフォーマンスです。全国大会にむけてのアップデートが思うようにいかず悔しい思いをしましたが、冒頭の玉乗りロボットの完璧な制御や、ロボットが飛ばしたリボンを高専生がキャッチするなど、随所で技術力の高さがうかがえます。

これぞロボコン!

旭川高専「廻レ!機巧雪花!」

難しいとされる高速回転物体を見事制御したのは旭川高専「廻レ!機巧雪花!」。ミニゴマ、重ねゴマ、大ゴマと複数のコマを組み合わせた、美しい回転機構が見どころです。コマたちはコマ回しロボットの手を離れた後も安定して2分間回り続け、国技館に綺麗な雪の花を咲かせました。コマ回しロボットの動作に不発だった部分があったものの、次から次に仕掛けが起こる目が離せないパフォーマンスでした。旭川の雪原をイメージした美しい装飾にも注目です。

 
呉高専「鼯鼠物語」

呉高専「鼯鼠物語」はThe ロボコン!を思わせる重厚かつ多彩な動きが魅力的なチームです。自分たちで「見せたい動き」と課題を設定し、フィールドいっぱいに作りこまれた巨大なコースを3台のロボットがバトンをつないで走破します。凸凹道を進み、途切れた道をつなぎ、レールスイングで空中を渡り、ポールを昇る(機体の重さ10Kg!)というあらゆる動作を一つのミスもなくクリアし、抜群の安定感と優れた機構を見せつけました。

 

大トリを飾るのはアクセル姉さん!

小山高専「クアッドアクセラー」

26チーム目に登場したのは、小山高専「クアッドアクセラー」。ジャイロ効果でコマのように自立するフィギュアスケートロボット「アクセル姉さん」が前人未到のジャンプに挑みます。失敗すれば破損も免れない大技に果敢に挑み、見事着地を決めた瞬間、会場にこの日1番の歓声が響き渡りました。上半身の表現力や装飾、音楽に合わせた動きなど細部まで作りこまれており、発想、技術力、2分間の演技構成、そのすべてが高いレベルで実現された驚きのロボットです。

 

納得の100点満点!!!!!!

 

以上で全パフォーマンスの発表が終了です!

皆さんお疲れ様でした!

沢山のすごい技術をありがとうございます!

表彰式

激戦を終えたロボコニストたちを称え、表彰式が始まります。

そしていよいよロボコン大賞の発表

ロボコン大賞とは…誰もが想像し得なかったようなロボットを発想・制作し、唯一無二のアイデアを実現したチームに贈られる最も名誉ある賞。

今年のロボコン大賞が贈られるのは・・・

ジャイロ回転を利用した自立、そしてそこからのジャンプを成功させる離れ業を決めた小山高専!
優勝とロボコン大賞の完全制覇を成し遂げました。

大会結果はこちら!
ロボコン大賞 小山高専『クアッドアクセラー』
優勝 小山高専『クアッドアクセラー』
準優勝 呉高専『鼯鼠物語
アイデア賞 香川高専 詫間キャンパス『DBZ』
技術賞 香川高専 高松キャンパス『8236』
デザイン賞 大分高専『The Great Penguins Show
アイデア倒れ賞 石川高専『箸割観音
協賛企業特別賞 本田技研工業株式会社 鈴鹿高専『プロジェクトS
マブチモーター株式会社 熊本高専 八代キャンパスAチーム『AquaMarine
株式会社安川電機 沖縄高専『昇琉
東京エレクトロン株式会社 熊本高専 熊本キャンパス『ゴリラ³
田中貴金属グループ 長野高専『雨のミュージカル
ローム株式会社 熊本高専 八代キャンパスBチーム『RUN ONE わん!
セメダイン株式会社 苫小牧高専『ワンワンが来た!

残念ながら観戦できなかった方へ

全国大会の様子は下記スケジュールにてNHK総合で放送されます!
2021年12月25日(土)15:05~

★詳細はこちらから

 

例年のような競技スタイルではなく、決まったルールも正解もないからこそ生まれた「すごい」ロボットに沢山出会うことができました。アイデアを実現する試行錯誤こそ、ものづくりの醍醐味。来年も皆さんのアイデアを詰め込んだロボット達と会えるのを楽しみにしています。

 

お疲れ様でしたーー!


 

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