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ものづくり
2026年01月23日
【高専ロボコン2025大会レポート(前編)】~唯一無二。アッと驚く発想と戦略で優勝をつかんだチームとは?
今年も「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト」(通称:ロボコン)の季節がやってきました。毎年、大相撲の聖地・国技館で開催されるこの全国大会では、国内の高専から勝ち抜いてきた強豪チームが素晴らしい戦いを披露してくれます。今年のロボコン2025の競技も選りすぐりの27チーム(エキシビション2チーム含む)が「Great High Gate」をテーマに熱い戦いを繰り広げました【★写真1】。
ロボットが自在に動き回る競技フィールドには、対戦相手ごとに青と赤ゾーンがあります。各ゾーンには下の図のように、作業エリアとゲートエリア、自チームだけが箱を取れる専有ボックスエリア、3つのパイロンが置かれたエリアのほか、競技相手も箱を取れる共有ボックスエリアがあります【★写真3】。
【★写真5】ゲート構築の写真
【★写真11】
箱積みは高いほど高得点になりますが、崩落リスクと作業時間を取られてしまいます。戦術的には、お題のようにゲートを高く積み上げて高得点を一挙に狙うのか【★写真13】、あるいはゲートの高さは妥協して周回で堅実に得点を稼ぐのか、そのあたりのバランスを上手く取ることが試合の勝敗に繋がったようです【★写真14】。
【★写真13】
【★写真15】
準々決勝1試合は、神戸市立高専と明石高専ということで、手の内を知る近畿の同郷対決となった。
一方の明石高専「箱積明人」【★写真17】は、ご当地名物のタコをイメージした装飾が印象的なロボットでした。こちらも前試合で370cmの高いゲートを立てた実力派です。本試合でも共有ボックスエリアから水色の箱と細長い黒の直方体を機敏な動きで運んでいきました。続いて、緑色の箱でゲートの土台をつくり、その上に高いゲート(緑1個+水色3個+黄色5個)を設置して、前試合と同様に370㎝というハイゲートづくりに見事に成功。同校は最終得点435点を叩き出し準決勝に駒を進めました。
【★写真18】
準々決勝の第2試合は、奈良高専と旭川高専の戦いでしたが、まったく戦い方が異なる強豪同士の激突となりました。奈良高専は高さ370cm超の高いゲート構築能力と俊敏性を持つチーム。試合ではロボットが共有ボックスエリアを超高速で2往復してボックスを回収。次に長い柱となるボックスを立て(E回収)、箱を持ち上げて380cmという圧巻のゲートを完成させました【★写真19】。しかし得点は445点となり、旭川に僅差で及びませんでした。同校は技術力の高さに定評があるチームですが、昨年はトラブルで惜敗。今回はトラブルなく戦えて、本来の実力は発揮できたようでした。「どこよりも高いゲートを建てる」というテーマに取り組んだ同校に対して、観客は惜しみない拍手を送りました。
【★写真21】
【★写真24】
【★写真27】
一方の旭川は約40秒でゲートを構築し、今回も残り時間すべてをゲートくぐりに専念しました。台車が何回も回り続けるため、搭乗者は目が回って忍耐が求められるように見えましたが、本人は苦ではないとのこと。実は正確に円を描きながら細いゲートを正確に回れる工夫が凝らされていました。この秘密については後編で紹介する予定です【★写真29】。試合では高さ210cmという無難なゲートをつくり、5点の周回得点をどんどん積み重ね、最終的に525点を叩きだし、ついに決勝まで進むことになりました。
【★写真30】
作戦を変更した熊本高専はアームで直方体の箱を取るときに、不覚にも箱を落としてしまい、強制リトライで競技時間をロスしてしまいました。そのあとに水色の箱を搬送し、2つ柱にリフトアップ。320㎝のゲートを構築して、本当にギリギリの時間で台車の通過に成功しました。手に汗を握るような展開でしたが、最後は20㎝高いゲートづくりに成功した同校に軍配が上がりました。産技高専は僅差で負けてしまったものの、本当に良い戦いを繰り広げてくれました。
【★写真34】
【★写真36】
決勝に進んだ両校は本当に実力が伯仲していたので、両者に優勝旗を贈りたいぐらいでした。熊本高専は残念でしたが、本当に素晴らしい試合を繰り広げてくれました。次回こそは優勝に期待したいです! そして、ここまで戦ってきたすべての高専生に感謝の意を表したいと思います。とても見ごたえのある素晴らしい試合でした。
【★写真37】
【準優勝】【ロボコン大賞】熊本高専
執筆者:ゴルゴ31(サーティワン)
【★写真1】
開会式の模様。選手宣誓を行ったのは呉高専 電気情報工学科4年の平田温聖(ひらたはるせ)さん。
競技の「Great High Gate」は、ロボットの実現場への適用を念頭においたテーマ
まずは今年のルールから簡単にご説明しましょう。お題となる「Great High Gate」は、製作したロボットによってさまざまな種類の箱を積み上げて高いゲートを構築し、そのゲートを人が搭乗した台車と共に通過するという難易度の高い競技です【★写真2】。
【★写真2】
第一回戦6試合目の様子。左右に大きく展開するロボットを用意した一関高専(奥)と、クリスマスの装飾のヘルメットで挑んだ木更津高専(手前)。
【★写真3】
競技フィールド。各チームのエリア境界には共有ボックスエリアがあり、使いたい箱を自由に取れる。このエリアでは箱の争奪戦になることもある。
各チームのロボットは、スタートゾーンを出て、まず3つのパイロンを作業エリア外に移動します。ここでパイロンを1つ移動するごとに5点が加わります。次にロボットは、各チームエリアの境界にある共有ボックスエリアに移動し、そこに置かれた種類の異なる箱(共有ボックス)を取ります。箱は40cm(水色)×3個、50cm(緑色)×3個の立方体や、(★)20cm×80cm(ピンク)や、30×100cm(黄色)の長方体が3個ずつ並べられています。その箱を作業エリアに運び、専有ボックスエリアにある30cm(黄色)×10個、40cm(水色)×5個、50cm(緑色)×2個の立方体(専有ボックス)と組合わせて、計画したゲートを構築していきます【★写真4】。ゲートは1分間のセッティング時に専有ボックスを使って半完成状態でつくり置きすることも許されています【★写真5】。
【★写真4】
共有ボックスエリアにある箱は数が限られているため、それらを取れるかどうかでゲートづくりも変わる。写真は都城高専のロボットが箱を搬送しているところ。
蜈蚣(ムカデ)のような細長い米子高専のユニークなロボット。セッティングタイムでつくり置きしておいたゲートを搬送しているところ
そして見どころとなるクライマックスのゲートくぐりです。人が搭乗する台車は占有ボックスエリアに置かれ、台車とロボットを連結したあと(ほとんどのロボットが自動連結)、ロボットが台車を牽引する形でゲートを通り抜けていきます。ゲート幅が狭すぎると(直方体の長さが限られているので、つくれるゲート幅もある程度は決まってしまう)、ロボットと干渉して箱が崩れてしまうため、ロボットや台車のサイズや機構にも工夫が求められます【★写真6】。
【★写真6】
カニをイメージした国際高専のロボット。オムニホイール付き台車でゲートを上手く抜けていた。
どのようなゲートをつくるのかは、チームごとの戦略に依りますが、前述のように共有ボックスをどれだけ取るかでゲートづくりも変わってきます。ゲートを構築して、そこをくぐり抜けると、ゲートの高さ(1cmにつき1点)に応じて得点が得られます。例えば高さ200㎝のゲートの通り抜けに成功すれば200点が加算されます。さらに2回目以降のくぐり抜けの場合は、ゲートの周回ごとに5点が加算されます。もし10回通り抜けられたら50点が加わります。
また3分間の試合終了時に、対戦相手よりも高いゲートが残っていたチームには、ボーナス得点として50点がもらえます。ただ試合中に箱が崩れてゲートとしての条件を満たさなくなった場合にはゲート得点もボーナス得点ももらえません(試合中にゲートを再構築して通過すればゲート得点は再計算されます)。
このように今回の競技では、実際の現場にロボットを導入する際に求められる多くの技術的な要素が散りばめられているのです。箱を把持するピッキング技術はもちろんのこと、搬送技術も工場の自動化に必要不可欠なプロセスになります。箱積みも現場で行われています。箱積みの順番も大切な要素です。このように「モノを掴む」「持ち上げる」「移動する」「箱を積む」という工程を組み合わせながら、効率良く、そして迅速にゲートを構築していかねばなりません。
もう1つ重要な要素があります。今年のロボコンの課題では、単にロボットがゲートをつくるだけでなく、ロボットに台車を連結させ、台車に搭乗した人と共にゲートを通り抜ける必要があります。実は、ここもハードルになるところでしょう。ロボットと人の協働作業という点で実現場への適用を考慮した課題になっているのです。近年、ロボットと人が同じエリアで共同作業する機会が多くなりました。これに伴って、人に危険を及ばさない協働ロボットの安全性がますます重視されます。競技では、台車に人が乗ってゲートを通り抜けるときに、万が一ゲートが崩れ落ちると、ヘルメットを被ってもケガをするリスクは捨てきれません。そこで安全面に対しては、競技のプレイヤーだけでなく、運営側も安全に十分に配慮しており、分厚いガイドを用意して十分に気を配っていたようです。
各高専ごとに工夫を凝らしたユニークなロボットを分類してみると……
さて今回のロボットですが、高専ごとに多種多様な工夫が凝らされたユニークな機体で参戦しました。メカニカル的な分類としては、箱を取るために鉛直方向にリフトアップするスカラー型のロボットや【★写真7】、旭川高専や東京高専のように自由度の高い多関節型で箱を持ち上げるロボット【★写真8】に大別できるでしょう。また箱の把持の方法で見ると、ロボットのハンド部で箱の両端を挟み込むタイプや、空気圧を利用した吸盤で箱を吸い付けるタイプ【★写真9】、箱をロボット内部に取り込んで落とさないようにするタイプ、これらの方式を組み合わせたロボットなどもありました。
【★写真7】
リフトアップに「ロジャーアーム」を採用した仙台高専(広瀬)。複数段の枠組みがスライドしながら昇降していく仕組み。明石や都城なども同じ機構を採用。
【★写真8】
東京高専は多関節ロボットを製作。箱をピッキングするときに自在に取れるメリットがある。このタイプをつくった高専はあまり多くなかったようだ。
【★写真9】
大量の吸盤を用意し、箱を吸いつけて搬送する呉高専のロボット。吸盤付アームでボックスを引き寄せ、本体の吸盤でホールドすることも可能。
また戦略(戦い方)に直結することになりますが、ゲート構築のアプロ—チからも分類ができそうです【★写真10】。たとえばゲートを丹念に作り上げる方法と、あらかじめ1分間のセッティングタイム時に専有ボックスを部分的に手で積み上げて、「作り置きしておく方法」【★写真11】もありました。こちらではゲート構築を数回に分けて完成させる工夫を凝らしたチームも見られました。また広島商船では厳島神社の大鳥居のように、ゲートトップに2本の長い箱(E)を載せるというチャレンジを試みていました【★写真12】
【★写真10】
ゲート構築のアプロ—チからの分類。これは司会のアナウンサーが考えたもの。図の「E回収」とは細長い箱を取って、ゲートの柱にする戦略のことを指している。
鈴鹿高専の独特なつくり置きゲート。あえて大きな箱を上に配置し、中央に挟んだ箱とのバランスを取っている。搬送時に箱が崩れるリスクもあるが効率の良い方法だ。
【★写真12】
独特な大鳥居にチャレンジした広島商船。写真は、長い箱を取ろうとしているシーン。この2本の長い箱を柱の中央に置いて、鳥居のような形にする作戦だ。
熊本(八代)は戦略としてE回収を採用し、高いゲートづくりで高得点を狙った。3段階に分けてグレートハイゲートの構築に挑戦。
【★写真14】
小山高専は、ゲートの高さは150㎝ほどだが、いち早くゲートづくりを終え、残りの時間でゲートを周回しようという作戦。バランス良く得点を積み重ねて勝利した
準々決勝~チリも積もれば山となる!? いかに得点を稼ぐかという点が勝敗の鍵に
ここからは実際の試合の模様をレポートしていきましょう。途中は割愛して準々決勝から見ていきます。試合前には敗者復活の「WILD CARD」が発表され、審査員の評価が高かった熊本高専(熊本キャンパス)が蘇りました。
【準々決勝その1】
神戸市立高専「凱船門」vs. 明石高専「箱積明人」(スタックメイト)【★写真15】
準々決勝1試合は、神戸市立高専と明石高専ということで、手の内を知る近畿の同郷対決となった。
神戸市立高専【★写真16】は、300㎝超のゲートをつくれる能力を持つロボットでした。ロボット全体のサイズを大きくしつつも、共有ボックスの回収部が薄くなるように製作していました。まずは共有ボックスエリアに向かって、水色の箱と細長い黒の直方体を取りに行いきました。その後に黄色い箱を4つ縦に並べ、ゲートの柱を2本ぶん立てようとしたところで、一方の柱が崩落。そこで時間配分を考慮して作戦を急遽変更し、190㎝の低いゲートをつくって、周回して得点を稼ごうとしました。台車には小柄な女性部員が搭乗しましたが、残念ながら途中で時間切れとなり、明石高専が稼いだ得点までは届きませんでした。
【★写真16】
300cm超のゲートを作るはずだったが、このシーンの直後に一方の柱が崩れてしまい作戦変更を余儀なくされた。実際の試合でハイゲートを見たいところでした。
【★写真17】
ハイゲートづくりのために、2×2本のアームで箱を挟み込んでゲートをドッキングする明石高専のロボット。「箱積明人」(スタックメイト)の名前のとおりの出来映えだ。
【準々決勝その2】
奈良高専「金剛」vs. 旭川高専「天旋」
【★写真19】
奈良高専はハイゲートのために長い直方体を立てる通称「E回収」にトライして柱をリフティング。段階的に高いゲートを立てる方式は他校でも見られた。
対する旭川高専は、ゲートを約1分間で素早く用意し、ゲート周回によって得点を積み重ねていくスタイルでした。二回戦ではなんと57回も周回して、圧巻の最高560点を叩き出して勝ち上がってきました。搭乗者は戦いのために5kgも減量したそうです。同校の強みは共有ボックスを一切使わず、専有ボックスだけでゲートを建てるため、相手の妨害を受けず、自分たちのペースで試合を運べる点にあります。あらかじめ構築したゲートにロボットの吸盤を吸い付けて、さらにシートをゲートの下に差し込んで搬送する方式です。これまでのようにゲートを完成させて周回を始めました。あとはグルグルと回り続けるだけ。同校は485点という高得点で勝利しました【★写真20】。
【★写真20】
周り続ける旭川。同じ軌道を回り続けると誤差が生じるものだが、実は単に周回するだけではなく、機構部にも大きな秘密の工夫があった。詳細は後編にて!
【準々決勝その3】
鈴鹿高専「鈴観音」vs. 産技高専(荒川)「破天荒」【★写真21】
準々決勝第3試合は、鈴鹿と産技(荒川)の両チームがゲートを事前に作り込む同じ戦法で臨みました。
鈴鹿高専チ—ム・鈴観音は。猫の可愛いオブジェが目を引くロボットでした【★写真22】。同校のゲートは、柱の中間に大きな箱を置く独自の積立て方式を採用。また搬送方式も一旦ゲートをリフトアップし、ロボットアームで把持した2つの箱(水色)を90度に回転させてからゲート下に土台として配置する工夫を凝らしていました。試合ではゲート積み上げまではスムーズでしたが、途中でバランスを崩して箱が壊れてしまい、あえなくタイムアップになりました。
【★写真22】
鈴鹿高専はゲートくぐりには成功していなかったが、他校には見られないユニークな2人乗りの台車に大きな注目が集まった。
産技高専(荒川)も毎年非常に高い技術をロボットに盛り込む「こだわり派」のチームです。前試合と同様に、あらかじめピラミッド形の高いゲートを作り置きしておき、細いロボットアームでボックスを器用に挟んで土台のボックス(緑色)上に載せて搬送するアプロ—チを採用。ここまでの試合では320cmのゲート構築とゲート通過に成功しましたが、本試合でも安定した戦いを見せ、300㎝のゲートづくりに成功し、355点をゲットして勝利を収めました。
【★写真23】
産技高専(荒川)はピラミッド形で箱をつくり置きすることで、バランスが良くて崩れにくい配置を工夫したゲートを構築。
【準々決勝その4】
富山高専(射水)「ゲートパス」vs. 熊本高専(熊本)「強奪名星」(ロブスター)【★写真24】
準々決勝の第四試合は、少人数ながら堅実な作戦で得点をゲットしてきた富山高専(射水)と、最高420cmという高さのゲートを構築できる実力派の熊本高専(熊本)の一騎打ちとなりました。富山高専はタコを、一方の熊本高専はロブスターをモチーフにしているロボットで、見た目も面白かったです。
富山高専(射水)は、前試合で280㎝のゲートをつくり、安定した動きで得点を積み重ねました【★写真25】。この試合も堅実さは変わらず。共有ボックスエリアから水色の箱と黒細長い箱を運搬し、つくり置きしたミニゲートに水色の箱を置きました。ただゲートを通るときに少し焦ったのか、台車が柱と接触してゲートを崩してしまいました。もしゲート通過に成功すれば同点試合でしたが、残念ながらタイムアップとなりました。しかし昨年と同じメンバーでベスト8進出を果たしたことは賞賛に値しました。
【★写真25】
富山(射水)のロボットは22個もの吸盤を持ち、箱を吸い上げるスタイルで運搬する方式。とにかく無駄な労力を使わないようにしたとのこと。
一方の熊本高専(熊本)はワイルドカードで復活したチーム。もともと最高420cmという高さのゲートを構築できる実力派。同校も射水と同じように共用ボックスを取りましたが、本来であればもう一組の箱も取って高いゲートにしたかったようでした。先に相手に箱を取られてしまったので、作戦を変更したそうです。170cmの長い箱を2組のアームで挟み込みながら、つくり置きした150㎝の2本柱に置くことに成功しました【★写真26】。続いてゲートのくぐり抜けと、1回目の周回も成功して340点で勝利をつかみました。
【★写真26】
熊本(熊本)はグレートハイゲートを構築するため、つくり置きしたゲートに土台の柱をロボットが上手く載せ、成功した。
準決勝
いよいよ準決勝の試合になりました。ここまで来ると、どのチームが決勝に進んでもおかしくない試合が続きました。各チームのロボットは試合を重ねるにつれて、機体の負荷も掛かっているため、その耐久性も試されるようになってきました。
【準決勝その1】
明石高専「箱積明人」(スタックメイト)vs. 旭川高専「天旋」【★写真27】
準決勝の第一試合は、4年ぶりの全国大会を果たし、9年ぶりの準決勝への進出となった明石高専と、毎年どんどん強くなってきた印象のある強豪の旭川高専との戦いでした。
明石高専は300cm以上のゲートを構築して勝ち進んできたチーム。準決勝では対戦相手が高得点の旭川高専ということもあり、勝利を導くためにより高いゲートづくりにチャレンジする必要がありました。まず同校は細長い箱と水色の箱をピックアップ【★写真28】。続いて同様の箱を運んで、通称E回収にトライするも、途中で箱が倒れてしまいました。たとえミスをおかすリスクがあったとしても、自校と近畿勢の勝利のために困難な作戦に果敢に挑んだ姿勢に賞賛の声が上がりました。
【★写真28】
明石高専のロボット。ダブルアームで長い直方体の箱を把持したのち、それらをリフトアップしている様子。機構部が頑強であるため、搬送にも安定感があった。
【★写真29】
旭川のゲートくぐり抜け。かなり幅の狭いゲートを器用に通っていることがおわかりだろうか。この周回のテクニックと技術力は、同校の努力とアイデアの賜物といえる。
【準決勝その2】
産技高専「破天荒」vs. 熊本高専(熊本)「強奪名星」【★写真30】
準決勝の第二試合目は、産技高専と熊本高専の戦いでした。両チームとも全国大会に進むまでロボットを改良しながら進化を続けることで、ここまで駆け上がってきました。この試合では、より高いゲートづくりが勝負の分かれ目になりました。
試合直後に両チームは専有ボックスエリアで土台となる緑のボックスを取ろうとして小競り合いになりましたが、熊本高専が先に手を引いたため、産技高専が2つの長い箱を搬送できました。同校はピラビット型のつくり置きゲートを搬送し、一足先にフルスペックとなる300cmのゲートを立てることに成功し、最終得点が305点となりました。
【★写真31】
ピラミッド型のゲートを土台の箱に載せようとする産技高専のロボット。この瞬間は見ているだけでヒヤヒヤする。審判も慎重に見守っているようだ。
【★写真33】
残り10秒ぐらいのところで、グレートハイゲートをギリギリで完成させた熊本高専。まさに「お見事!」としかいいようがない戦いだった。
頂上決戦を制するのはどのチーム? 戦い方の異なるチームが激突!
ついに決勝戦です。ここまでのトーナメントの結果を振り返ってみましょう【★写真34】。さて全国の高専の頂点に立つのは、旭川高専か熊本高専(熊本)か、一体どちらのチームになるのでしょうか?
【決勝】
旭川高専「天旋」vs. 熊本高専(熊本)「強奪名星」【★写真35】
ここまで勝ち上がってきた旭川高専は、参戦メンバーが全員5年生ということで推測できるように、勝利のために並々ならぬ布陣を敷いてきました。一方の熊本高専(熊本)にとっては、一度は旭川高専に敗退したものの、不死鳥のようにワイルカードで蘇った因縁の対決となるもの。周回得点とゲート得点を競い合う、まったく戦略の異なる戦法に対して、観客は固唾を飲んで試合を見守りました。
最初に旭川が2つのパイロンを取って10点を先取。その後、つくり置きしたゲートを運んで210cmのゲートを50秒で構築しました。残りの時間2分10秒をすべて周回に使うという従来の戦法を忠実に実行しました。そして最後の最後までゲートを周り続けて、54回の周回得点を積み上げて490点を獲得しました。
対する熊本は、素早くパイロンを1つ取って、その後に共用ボックスエリアから水色の箱と細長い箱を搬送。同校は2つの直方体を縦に置くE回収にチャレンジ。その柱を、さらに高い土台にリフトアップし、なんと残り10秒のタイミングで420㎝という本大会の最高記録となるグレートハイゲートの構築に成功しました! 高さボーナスの50点が加算され、得点は475点に。しかし残念ですが、あと一歩及ばす。最終的に旭川高専に勝利の女神が舞い降りました。
【★写真35】
優勝の瞬間。今年は旭川高専が優勝したが、熊本高専(熊本)も多くの見せ場をつくってくれました! 感動をありがとう!
優勝した旭川高専のみなさん。優勝までの道のりは決して平坦でなかったはず。感極まった涙と笑顔がまぶしい。おめでとうございます!
閉会式&表彰式
全国大会で死闘を繰り広げた各高専チーム。どのチームも努力を続けて頑張ってきました【★写真37】。
今年の最終的な戦いの結果は以下のとおりです。栄えあるロボコン大賞には準優勝の熊本高専が選ばれました。グレートハイゲートというテーマで高いゲートを建てた実力が大いに評価されたようでした。さて後編では、エキシビションのロボットと、各チームごとのロボットの詳細、個人的に気になった面白いロボットなどについてピックアップしてお届けする予定です。お楽しみに!
【優勝】旭川高専
【★写真38】
ここ数年で大きく飛躍した旭川高専のみなさん。今回は戦略が見事に成功し大金星でした!
【★写真39】
実力はピカイチ。来年こそは同校にも勝利の女神が微笑んでくれますように!
そのほかの賞&協賛各社による特別賞を受賞したチームは以下のとおりです。
【アイデア賞】明石高専
【技術賞】奈良高専
【デザイン賞】国際高専
【アイデア倒れ賞】鈴鹿高専
【特別賞(本田技研工業)】富山高専(本郷)
【特別賞(マブチモーター)】米子高専
【特別賞(安川電機)】鹿児島高専
【特別賞(東京エレクトロン)】熊本高専(八代)
【特別賞(田中貴金属グループ)】一関高専
【特別賞(ローム)】東京高専
【特別賞(セメダイン)】神戸市立高専
【特別賞(デンソー)】小山高専
執筆者:ゴルゴ31(サーティワン)
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