ものづくり 2019年12月11日

高専ロボコン2019全国大会にいってきた!- 後編 -

アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト、通称「高専ロボコン」の第32回全国大会が2019年11月24日(日)に両国国技館で開催されました。
高専ロボコン全国大会、後編は準々決勝から決勝までの戦いを追っていきます。

まず、準々決勝トーナメントはこちら☟

二回戦で大分高専に破れた香川高専(詫間キャンパス)がワイルドカード枠で復活。地区大会からの試合すべてで満点を獲っている強豪校です。連続パーフェクトをどこまで伸ばすのか、期待が高まります。

ルール変更

準々決勝からはルールが変更され、得点エリアが大幅に増加。さらに竿ごとに干せる洗濯物が限定されます。バスタオル・Tシャツの枚数が増えるため、[取り込み]→[装填]→[干す]までをいかに素早くこなすかがポイント。パーフェクトは25点満点!

高さ1.0mの物干し竿 ⇒ Tシャツ(1箇所につき1点)のみ干せる。得点エリアは8箇所
高さ1.5mの物干し竿 ⇒ バスタオル(1箇所につき2点)のみ干せる。得点エリアは4箇所
高さ2.0mの物干し竿 ⇒ シーツ(1箇所につき3点)のみ干せる。得点エリアは3箇所

準々決勝から物干し竿の得点エリアが変更

ベスト8

準々決勝第一試合

(×)一関高専「らび!らん」【赤・4-23・青】奈良高専「飛鳥」(〇)

会場を沸かせたのは奈良高専。自動ロボットの腕にTシャツ8枚をすべてかけた状態で物干し竿にアタック!一度に8枚すべてのTシャツをかける「朱雀掛け」で会場を圧倒しました。タオル2枚の横掛け、自動ロボット2機によるシーツ掛けもきまり、高得点をたたき出しました。
一方、1回戦、2回戦と安定した強さを見せていた一関高専は、ここにきて手動ロボットの回収に異変が起こります。大会後のツイートによると、回収に使用しているヘッドギアの一部が砕けていたことが判明。連戦による疲労がここにきて現れる形となったようです。なんとかタオル1枚を横掛けしたところで無念のタイムアップ。

準々決勝第二試合

(×)熊本高専(八代)「洗匠」【赤・6-25・青】小山高専B「干し鳥夫婦」(〇)

ここまで連続パーフェクトを続ける九州地区王者VS関東甲信越地区王者の「実質決勝」の呼び声も高い一戦。両者ともに順調な滑りだしから、あっという間に洗濯物を回収しました。小山高専Bは、自動ロボットにシーツとタオル3枚をセットしてアタック!危なげなくシーツを干した後はそのままタオル掛けに移行。無駄な動きのないタオル掛けも美しく、その間にTシャツも掛けきり今試合もパーフェクトの25点を獲得しました。熊本高専(八代)も負けてはいません。小山高専Bとほぼ同時に回収を完了したあとは自動ロボットがシーツを掛けにいきます。しかし、ここで自動ロボットに何らかのトラブルが発生し痛恨のリトライ。その後リカバリーができず、Tシャツ6枚を掛けたところで試合終了です。

準々決勝第三試合

(〇)産技高専(品川)「クマノミランドリー」【赤・14-2・青】大分「令和さるかに合戦」(×)

続いてはクマノミVSさるかにの生き物対決です。クマノミの手動機は何度も往復してこまめに洗濯物をとりこむタイプ。安定した足回りとスピード感が際立ちました。残念ながら洗濯ばさみが外れてしまい、シーツで得点エリア全てを覆うことは出来なかったものの、着々としたTシャツ干しで点を重ね勝者となりました。
強豪校香川高専(詫間)を唯一打ち破った大分高専でしたが、度重なるリトライが響き得点が伸びません。シーツにアプローチするも干しきれず、シーツに大きく描かれたさるかに合戦の画を見ることはかないませんでした。

準々決勝第四試合

(×)大阪府大高専「OSAKA OBASAN」【赤25-(審査員判定)-25青】香川高専(詫間)「again」(〇)

ワイルドカードで復活を果たした香川高専(詫間)は、今試合でも安定した動作を披露しました。他チームに比べ装填に若干の時間を要するものの一度動き出してしまえばスキのない動きで確実に得点し今回もパーフェクトを達成。その名の通りagainを果たしました。
大阪府大高専のおばちゃんはとにかく高速!反則リトライをものともせず、シーツ、タオル、Tシャツをすべて高速で掛けきり、残り数十秒を残しての、おばちゃん初のパーフェクト25点満点を獲得しました。素晴らしいパフォーマンスを見せましたが、惜しくも審査員判定で敗れ、「美しさ」を基準とする今年のルールに涙をのむ結果となりました。

ベスト4

img_kousenrobocon2019_zenkoku2_020.jpg

準決勝第一試合

(×)奈良高専「飛鳥」【赤16-25青】小山高専B「干し鳥夫婦」(〇)

いよいよベスト4の対決。自動ロボット2機で魅せる奈良高専と圧倒的な安定感の小山高専Bが激突します。満点対決が期待されるなか始まりましたが、なんと奈良高専が冒頭のTシャツ回収でまさかのリトライ!自動ロボット1台に不調があったのか、Tシャツ8枚、タオル2枚を干したものの、シーツを干しきることができず竿の近くで無念のタイムアップ。その間に着実に得点を重ねた小山高専Bがパーフェクトを達成し、決勝へ駒を進めました。

準決勝第二試合

(×)産技高専(品川)「クマノミランドリー」【赤10-25青】香川高専(詫間)「again」(〇)

準決勝でも産技高専(品川)自慢の足回りでスピーディーに洗濯物を回収し洗濯物を干していきます。しかし、今回も洗濯ばさみが外れてしまいシーツを広げて干すことができませんでした。タオルとTシャツで得点するものの香川高専に追いつくことができずベスト4で敗退です。
香川高専(詫間)はここでも安定した動きをみせ、制限時間間際にパーフェクトを達成し勝利を収めました。動き出してからの安定感が桁違い!ワイルドカード復活からの決勝進出をきめました。

エキシビション

さて、決勝が始まる前に、皆さんが「もう一度見たい!」と期待するロボット達が再登場し、「エキシビション」という形で自慢の技を披露しました。

小山高専A「おやまちロケット」

宇宙飛行士をモチーフにした小山高専Aの「おやまちロケット」は、手動ロボットの見るからに「ロボット!」という出で立ちが特長的なチーム。2本の腕をつかって人のように洗濯物を掴んだり、Tシャツを干したりします。さらに見どころは、自動ロボットとの「合体」!自動ロボットの力で物干し竿の高さまで「たかいたかい」してもらった手動ロボットがバスタオルを干します。さらに自動ロボットは、2回戦で不発だった風を使ったシーツ干しを披露。会場は大歓声に包まれました。

都城高専「ハッとトリック!ポッポちゃん」

もう1チームには、会場で子どもたちにも大人気だった都城高専の「ハッとトリック!ポッポちゃん」が選ばれました。バスタオルのパタパタ干し、一度にTシャツ8枚をかける「走るハンガー」、極めつけはポッポちゃんの帽子から飛び出しシーツ!エンターテインメント性あふれるポッポちゃんの技の数々に会場は魅了されっぱなしでした。

決勝

(×)小山高専B「干し鳥夫婦」【赤25-(審査員判定)-25青】香川高専(詫間)「again」(〇)

決勝戦はいずれも地区大会からすべて満点を出している強豪チームの対決です。25点同士の決着も当然想定され、いかに美しく干すかが勝敗の分かれ目になりそうです。

いよいよ運命の決勝戦です。5秒前!(4!)3!2!1!スタート!

ワイルドカードで復活した香川高専(詫間)は地区予選から準決勝までをすべて満点で終えています。決勝でもその安定感はかわることなく、素早い回収からの確実なシーツ干し、美しいタオル掛けを披露し順調に得点を重ねます。ラスト数十秒を残して残るはTシャツ2枚。手動ロボットを操縦する学生のプレッシャーは計り知れませんが、見事に得点エリアにTシャツをかけ、決勝戦でもパーフェクトをたたき出しました。
対する小山高専Bは香川高専(詫間)にやや遅れをとりながらも、Tシャツ・シーツを完璧に干しました。バスタオルを干しきれば満点という場面で残り時間はわずか。会場が固唾を飲んで見守るなか自動ロボットがバスタオルを竿に掛けたところで得点は24点。ここで終了のホイッスルがなります。すかさず審判が洗濯物を確認、小山高専Bの得点は24点から25点に!ハイレベルな戦いにふさわしい納得の満点対決に会場は今日一番の歓声に包まれました。

やはり、勝敗は審査員の手にゆだねられます・・・

審査員判定は青が5票!優勝は香川高専(詫間)に決まりました。

惜しくも審査員判定で敗れた小山高専Bはインタビューで「タオルが機構に巻き込まれ、その分手間取ってしまった」と話していました。自在に形がかわり、時に妨害するものにもなる。それが布の難しさです。その強敵を制した香川高専詫間キャンパスが2019年度王者です!おめでとうございます!

表彰式

激戦を終えたロボコニストたちを称え、表彰式が始まります。

優勝校ならびに、素晴らしいアイデアを披露したチームに特別賞が贈られます。

そしていよいよロボコン大賞の発表

ロボコン大賞とは…誰もが想像し得なかったようなロボットを発想・制作し、唯一無二のアイデアを実現したチームに贈られる最も名誉ある賞。
ロボコン大賞が贈られるのは・・・

奈良高専!

人とロボットとの連携だけでなく、自動ロボット同士の連携という新しい洗濯物の干し方を私達に見せてくれました。「2台のロボットを自動で連携されるのは難しかったですが、地区大会で見せられなかったものを国技館で見せられてよかったです。」と語る奈良高専のロボコニスト。
自動ロボットが加わったことで競技の難易度は格段にあがりました。自動制御を完璧にこなすだけでなく、ロボット同士が協力するアイデアを実現し、カタチにする途方もない技術力を示した奈良高専が2年ぶり4回目の受賞です。おめでとうございます!

残念ながら観戦できなかった方へ

この激闘の様子は下記スケジュールにてNHK総合で放送されます!

2019年12月29日(土)AM10:05~10:59

 

このライブ感を皆さんと味わいたい!来年も高専ロボコン観に行こう!

試合結果はこちら☟

img_kousenrobocon2019_zenkoku2_019.jpg

表彰一覧
ロボコン大賞 奈良工業高等専門学校「飛鳥」
優勝 香川高等専門学校 詫間キャンパス「again」
準優勝 小山工業高等専門学校Bチーム「ホシ鳥夫婦」
アイデア賞 都城工業高等専門学校「ハッとトリック!ポッポちゃん!」
技術賞 熊本高等専門学校 八代キャンパス「洗匠」
デザイン賞 大阪府立大学工業高等専門学校「OSAKA OBASAN」
アイデア倒れ賞 長野工業高等専門学校「森のイテェやつら」
特別賞 本田技研工業株式会社 奈良工業高等専門学校「飛鳥」
マブチモーター株式会社 呉工業高等専門学校「蝸牛」
株式会社安川電機 都城工業高等専門学校「ハッとトリック!ポッポちゃん!」
東京エレクトロン株式会社 長野工業高等専門学校「森のイテェやつら」
田中貴金属グループ 岐阜工業高等専門学校「Lambdry」
ローム株式会社 明石工業高等専門学校「明石『超』乾燥」
セメダイン株式会社 鈴鹿工業高等専門学校「物ほっしー☆」

高専ロボコン2019全国大会 前編(予選第1試合・第2試合)

⇒Twitterこぼれ話(準備中)


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