建築用 2020年04月22日

有機系下地調整塗材を使う『タイルアジャスト工法』- タイル剥離リスクとライフサイクルコストを低減する新工法 -

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外装タイルの有機接着剤張り工法の普及とともに、建築外壁のタイル仕上げへの関心が高まっている。

セメダインはさらなる安全性と外壁の超寿命化を目指し、下地調整塗材の改善に着目。下地調整塗材にも有機材料を用いた「タイルアジャスト工法」を開発した。

img_nxt18_tileadjust_001.jpg 「今日、戸建住宅分野のタイル外壁は、約70%以上が弾性接着剤で施工されている。タイル用接着剤が選ばれる理由は、モルタルを用いた湿式工法に比べ、タイル剥落リスクが大幅に低減されるからだ。剥落の不安がない『安心・安全』が評価され、近年は有機系弾性接着剤「タイルエースPro」による分譲集合住宅や医療施設など、中高層建築物の施工事例も増えてきた」とセメダイン 事業本部 建築第一部統括課長の岡本洋明は話す。

 セメダインでは、さらに安全性が高い工法として、下地調整の段階から有機系下地調整塗材の「タイルアジャスト」を使用し、「タイルエースPro」で仕上げる「タイルアジャスト工法」を提案している。

 この工法によって、タイルの剥落リスクをさらに低減させることができる。

タイル剥落リスク低減のため下地調整材の改良に着目

 モルタルは、硬化後は変形しにくい特性があるため、日射、外気温・湿度の変化などで生じる下地やタイル自体の膨張・収縮に対応できず、タイルが剥離・剥落する可能性が指摘されてきた。その代替として、下地やタイルの変形に追従する弾性接着剤を用いた工法が開発されてきた経緯がある。

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 1990年、業界に先駆けてタイル用弾性接着剤を開発したセメダインは、剥落事故防止で評価が高い接着剤張りタイル仕上げのパイオニアだ。同社は、建設省官民連帯共同研究を経て、外装タイル張り用有機系接着剤のJIS原案開発からJIS化(2006年)にも関与・貢献してきた。

 同社製品の性能の高さは、2016年に発生した熊本地震でも、「タイルエースPro」を用いた外装タイルに剥落事故がなかったことからも分かる※1。耐久性については、90年に弾性接着剤で施工した最初期の物件も、その後の追跡調査(引張試験)で、接着強さは竣工当時とほぼ同等であることが確認されている。

 「長期的な性能保持が認められた弾性接着剤による施工でも、剥落のリスクはゼロとはいえない。張り付けに用いた接着剤は接着強さを保持しても、下地調整に用いたモルタルが、地震の揺れなどによる躯体のひび割れや、熱歪みなどによる下地の変形に追従できず破断するケースがあるからだ。

img_nxt18_tileadjust_008.jpg セメダインはこの課題に対応するため、より安全で確実な施工方法の研究を重ね、モルタルを使わない有機系下地調整塗材『タイルアジャスト』を開発した。

 この下地調整塗材で施工する『タイルアジャスト工法』は、張り付け部分だけでなく、下地調整塗材の層もゴム状の弾性をもって硬化するため、躯体、下地、タイルの各界面に発生する歪みなどを緩和し応力を低減、タイルの剥離・剥落をより高い性能で防ぐことができる」(岡本)。

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「タイルアジャスト工法」でビルのライフサイクルコストを大幅低減

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タイルアジャスト工法」は、安全性能の向上だけでなく、モルタルを使う下地調整に比べ省施工であることも大きな特長だ。

 コンクリートの目荒らし、高圧洗浄や吸水調整材が不要で、硬化不良によるドライアウトも起こらない。下地調整だけで工期を最大14日間短縮※2できるメリットもある。

 接着剤工法の課題とされるイニシャルコストに関しても、建物のライフサイクルコストで捉えるなら、維持管理費の大幅低減で「タイルアジャスト工法」のメリットが際立つ。

 中高層建築で外壁タイル張りが敬遠された理由に、建築基準法施行規則の改正による厳格化で、竣工後10年ごとの全面打診調査の義務付けがあった。調査のための足場などの仮設工事費が、ビルオーナーの大きな負担となるからだ。

 しかし、今年5月、建築物の定期調査報告における「外壁タイル」調査方法が、一定条件を満たす有機系接着剤による施工事例に関しては、大幅に合理化されることになった。

 国土交通省住宅局建築指導課から、各都道府県に通知された技術的助言では、有機系接着剤張り工法による外壁タイルは、全面打診の代わり、各階一カ所、引張接着試験を行い、規定の判定基準への適合を確認する方法で差し支えないとされた。

 「モルタル張りの場合、全面打診の費用増だけでなく、タイルの浮きや割れなど修繕を伴う場合が多い。それらを含め、試算では『タイルアジャスト工法』を採用した場合、調査費用はモルタル張りと比較して最大1/10※3まで低減される例もあった。

 耐久性に優れ、性能が均一な『タイルアジャスト工法』は、修繕時の張り替えはほとんどなく、新旧タイルの色味が揃わずパッチワーク状になり、建築の美観を損ねることもない」(岡本)。

 外装タイルは、建物の用途や使用部位の要求に応じたきめ細かい仕上げ対応が可能で、耐候性が高い上、火熱・磨耗に強く、躯体の中性化を抑制し、建物の長寿命化を実現する。また、タイル特有のデザイン性や表現力の自由さは、建物の価値向上や都市景観の美化への貢献も期待できる。「タイルアジャスト工法」は、中高建築の外装タイル導入の追い風になるはずだ。

※1 ※2 ※3:セメダイン調べ

 

セメダイン株式会社
事業本部 建築第一部 統括課長 岡本洋明

※日経BP社「日経XTECH Special」(2018/12/3)に掲載されたコンテンツを許可を得て転載しています。

※所属・肩書は掲載当時のものです。

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